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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第八話 触れた指先

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98/226

02

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 正午

 /結界封印都市ヒモロギ

  高等巫術学校 北校舎 屋上

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 空は生憎(あいにく)曇天(どんてん)だ。

 

 どんどんと黒味(くろみ)を増しているので、帰りにはザアザア()りかもしれぬ。

 

 そんな中、ルリカは屋上の手すりに身体を(あず)け、これ以上ないほど晴れやかな笑顔を浮かべていた。

 

 手には日室(ヒムロ)屋の餡麦餅(アンパン)。むしゃり、むしゃりと頬張る(たび)〝農家の皆さんありがとう、メシが美味(うま)くてたまらない〟のような顔で()()という名の幸せを噛みしめている。

 

 昨日(さくじつ)の戦闘で多少手傷を負ったようだが、なんのその、取り戻した心の平穏が肉体的損傷(ダメージ)を遥かに上回っていた。

 

「……お、来たか」

 

 ばたーん!

 

 そんな音が聞こえてきそうなくらいに勢いよく――だが実際にはまったくの無音で――突如扉が開かれた。

 

 ヒミコである。

 

 弾丸のような速さで飛び込んできた。

 

 そのまま〝ぐりん!〟〝ぐりん!〟〝ぐりん、ぐりん、ぐりん!〟と前後左右を見回すと、いきなりバッと身を伏せ匍匐(ほふく)前進。地べたを這い進む。

 

 ……長い黒髪も相まってか、まるで蜚蠊(ゴキブリ)じみた動きである。

 

 そのままルリカに近づき遮蔽物(しゃへいぶつ)に身を隠すと、ヒミコはようやく立ち上がり、

 

「……てめーに訊きてぇことがある」

 

 そう()げた。

 

 いきなりの本題である。

 

 人は心にゆとりを持てぬ時、往々にしてこうした態度に出がちだ。

 

「やれやれ神越(カミコシ)。前から思っていたが、どうもキミは人に物を頼む態度を知らないらしいな」仕方のないヤツだ、とばかりにルリカが首を振る。「だがな。私は今、気分がいい。それも最高に、だ。なので特別に答えてやろう。どうした?」

 

「アイツは――      」

 

「ん? どうした、聞こえないぞ。もっと大きな声で言ってくれ。それに〝アイツ〟とは誰のことだ?」

 

「あの方波見(カタバミ)とかいう金髪女だよ!」

 

「うむ。ユイナか。ユイナがどうした」

 

「アイツは………………()()、なんだな?」

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