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無論、ヒミコが身を挺してユイナを守ったのは、美しい友情や麗しき慈愛の心から――ではない。
純粋に。
敵を倒すためだ。
あっという間に距離を詰めた〈アマテラス〉は片腕だけで〈サグメ〉の首を絞め宙に吊り上げる。
「……よく聞け」
ヒミコは巨神の声帯を介し、低い声で告げた。
「てめーの御札で、なんとしてもアイツの隙を作れ」
「あ、あ――ッ!」
〈アマテラス〉と違って〈サグメ〉は神経接続方式ではない。
故に首を絞められたとて、操者のユイナには如何なる痛みも苦しみも生じない。
しかし、それでも。
「あ、あ、あ――ッ!」
恐怖か、はたまた戦慄だろうか。
ユイナの喉は嗚咽のように熱く、それでいてどこか甲高い呻きを漏らしていた。
だがヒミコはそんなユイナの態度など一向気にせず、
「しくじるなよ。しくじったらアタシがてめーを殺る」
言うだけ言って〈アマテラス〉は〈サグメ〉を乱暴に投げ捨てる。
眼前には禍ツ忌ノ鬼が迫っていた。




