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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第七話 異海から来た少女

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12

「じゃあもうあの爆発はねぇんだな⁉」

 

『はい! 同規模の爆発は起こせないとのことです!』

 

「わかった!」

 

 ヒミコは本部との通信を終えた。

 

 未だ戦いの最中(さなか)である。

 

〈アマテラス〉は(マガ)()(オニ)に接近戦を仕掛けていた。

 

(どうやらすぐには連発できねーみてぇだな……!)

 

 できたのなら既に打たれていただろう。

 

 こうしてむざむざと(ふところ)に入り込ませる隙など与えぬはずだ。

 

 あの()()――。

 

 聞くところによると〝逆具象化空間〟なるものを打ち出しているらしい。

 

 近くに結界柱がない以上、追加の爆発は起こせぬとのことだが……それでも脅威である。

 

 先は運よく(かわ)せたが、次もそうとは限らない。

 

(右――!)

 

 あれから一分近く()っている。既に次弾の装填は済んだはずだ。発せられる気でわかる。

 

 もし距離が開けば敵は再び胸の〝龍蛇(りょうじゃ)〟でこちらを焼き尽くす――否、削り尽くすだろう。

 

 だからこうして接近戦(インファイティング)で挑まざるを得ない。

 

 だが、

 

(クソ、コイツ……格闘もハンパじゃねえっ!)

 

 強い。その一言だ。

 

 限りなく人に近い平衡(バランス)の肉体だからだろうか?

 

 これまでのどの鬼よりも熟達した動きである。

 

 それだけではない。

 

(こっちの手が、読まれてる……⁉)

 

 どういう訳か、鬼はこの上ないほどに完璧な迎撃をしてきた。

 

 陽動(フェイント)は見透かされ、初動は潰され、隙は容赦なく突かれる。

 

 まるで()番隊時代、格闘戦の専門家に稽古をつけて貰った時のようなやり辛さだ。

 

 こちらが得物(御幣)を手にしてようやく互角である。

 

(このままじゃ……どーにもなんねぇ!)

 

 鬼の蹴りを御幣(ごへい)で受け止める〈アマテラス〉。

 

 その時、

 

(なんだ――⁉)

 

 突如として無数の御札が飛んできた。

 

 どれも黄色の霊気を纏っている。

 

(アイツ、戻ってきたのかよ!)

 

 ユイナの()る〈サグメ〉だ。

 

 ルリカ機を抱え後退したはずだが、その後、取る物も取り敢えずで引き返してきたらしい。

 

 ――とにかく酷い。

 

 滅茶苦茶な攻撃である。ユイナは後先考えず手持ちの御札を滅多矢鱈(めったやたら)に飛ばしてきた。

 

(チッ……!)

 

 ()しくも先の屋上での焼き直しが如く御札の一枚がヒミコの頬を――否、〈アマテラス〉の仮面を(かす)める。

 

 途端、身体中を駆け抜ける凄まじい電撃。

 

 これが御札の特徴だ。

 

 弓ほどの射程は持たぬが、様々な追加効果を付加できる。

 

(あのクソ女――!)

 

 ヒミコの怒りは頂点に達しかけていた。

 

 だが同時に、

 

(そこだッ!)

 

 この好機(チャンス)を逃せない。

 

 御札は鬼にも損傷(ダメージ)を与えていた。

 

 肉を裂き、精液(スペルマ)の如き白濁した血を撒き散らしている。

 

 そこへ〈アマテラス〉が御幣で斬り掛かるが――

 

(下がった⁉)

 

 敵ながら迅速な判断。

 

 鬼は素早く身を引き、後方へと跳んだ。

 

 狙いは二つ。

 

 第一に、〈アマテラス〉と距離が開いたことで、これまで相殺されていた〝(アマ)玉垣(タマガキ)〟が息を吹き返した。続々と飛来してくる御札はすべて、白き格子状の光壁に阻まれる。

 

 第二に、

 

(――まずいッ!)

 

 再度の射撃体勢。

 

 敵はどうやら〈サグメ〉を先に片づける腹らしい。

 

 正中線に沿って身体が真っ二つに割れ、胸から顔を出した龍蛇が(あぎと)を――。

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