06
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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ
対鬼戦闘司令本部 中央管制室
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「まったく、これじゃおちおち休んでもいられないわ……!」
ミヅキは松葉杖を使い中央管制室へと入った。
如何な常人離れした回復力を持つ緋ノ巫女とはいえ、先日の深手はまだ完治していない。
「シマメ――」ミヅキは先に来ていたシマメに近づくや否や声を潜めた。「どういうことなの……⁉」
何もかもが変則的な襲撃である。
これまでの戦いでは鬼が現れるのは決まって夜だった。
このような真昼での出現など一度たりとてない。
さらには、
「あの人からの〝お告げ〟はあった……⁉」
「ああ……」シマメが目を伏せながら続ける。「とはいえ今回は本当に直前だ。観測所からの報告の方が先だったかもしれない。お前の代わりに私が〝月読ノ巫女〟さまの下へ報告に行ってたんだが……その途中でいきなり禍ツ忌ノ鬼が来ると知らされた。つい数分前のことだよ」
「数分前……?」これまではどんなに遅くとも一時間前には〝お告げ〟が出ていた。この点だけをとっても異例な出来事である。「……あの人の様子はどうだった? 何かいつもと違った反応をしていたかしら」
「いや、変わらんよ。いつも通り、日中は目を閉じて祈りを捧げるばかりだ」
顔色一つ変えず、目蓋の裏の月神にのみ思いを馳せる母の姿がありありと目に浮かぶ。
ミヅキは寸前で舌打ちを堪えた。
「何もかもわからないことだらけね。この間の機械仕掛けの鬼といい……あれからまだ進展はないのでしょう?」
「ああ、すまん。アレの正体についてはまだ何も掴めちゃいない」
「そう」
――本当、だろうか。
不意に。
ミヅキの中に疑念が生じた。
明白な理由はない。ほとんど直感的にそう思ってしまったのだ。
(シマメが私に嘘を吐いている……?)ミヅキは心の内で自問した。(ううん、そんなはずがないわ……)だが即座に取り下げる。(そんなことをして、シマメに何の得があるというの……)それだけではない。(最低ね、私……昔からの友だちを疑うなんて……)
「おいミヅキ、どうしたんだ。急にぼうっとして」
「いえ、なんでもないわ。ごめんなさい」
「そうか? ならいいが……」シマメの視線がスズの方へ移った。「む。どうやら解析官の予測が届いたようだぞ」
直後、スズが甲高い声で報告する。
「第一結界柱付近にて、魄子連鎖反応が急速に局在化しています! 解析官の予測では〝禍ツ忌ノ鬼が一体のみ出現する〟とのことです!」
「禍ツ忌ノ鬼が一体だけ……⁉」
これまでの戦闘では必ず小型鬼と大型鬼が随伴していた。
それが。
何もかもが異例尽くしの今日に限って一体のみ。
「本当に……わからないことだらけだわ」
ミヅキは額に手を遣り嘆息した。




