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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第七話 異海から来た少女

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84/226

06

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 同刻

 /結界封印都市ヒモロギ

  対鬼戦闘司令本部 中央管制室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

「まったく、これじゃおちおち休んでもいられないわ……!」

 

 ミヅキは松葉杖を使い中央管制室へと入った。

 

 如何(いか)な常人離れした回復力を持つ緋ノ巫女とはいえ、先日の深手はまだ完治していない。

 

「シマメ――」ミヅキは先に来ていたシマメに近づくや否や声を(ひそ)めた。「()()()()()()()()……⁉」

 

 何もかもが()()()な襲撃である。

 

 これまでの戦いでは鬼が現れるのは決まって夜だった。

 

 このような真昼での出現など一度たりとてない。

 

 さらには、

 

()()()からの〝お()げ〟はあった……⁉」

 

「ああ……」シマメが目を伏せながら続ける。「とはいえ今回は本当に直前だ。観測所からの報告の方が先だったかもしれない。お前の代わりに私が〝月読(ツクヨミ)ノ巫女〟さまの(もと)へ報告に行ってたんだが……その途中でいきなり(マガ)()(オニ)が来ると知らされた。つい数分前のことだよ」

 

「数分前……?」これまではどんなに遅くとも一時間前には〝お()げ〟が出ていた。この点だけをとっても異例な出来事である。「……あの人の様子はどうだった? 何かいつもと違った反応をしていたかしら」

 

「いや、変わらんよ。いつも通り、日中は目を閉じて祈りを捧げるばかりだ」

 

 顔色一つ変えず、目蓋(まぶた)の裏の月神(ツキガミ)にのみ思いを馳せる母の姿がありありと目に浮かぶ。

 

 ミヅキは寸前で舌打ちを(こら)えた。

 

「何もかもわからないことだらけね。この間の機械仕掛けの鬼といい……あれからまだ進展はないのでしょう?」

 

「ああ、すまん。アレの正体についてはまだ何も掴めちゃいない」

 

「そう」

 

 ――()()()()()()

 

 不意に。

 

 ミヅキの中に疑念が生じた。

 

 明白な理由はない。ほとんど直感的にそう思ってしまったのだ。

 

(シマメが私に嘘を()いている……?)ミヅキは心の内で自問した。(ううん、そんなはずがないわ……)だが即座に取り下げる。(そんなことをして、シマメに何の得があるというの……)それだけではない。(最低ね、私……昔からの友だちを疑うなんて……)

 

「おいミヅキ、どうしたんだ。急にぼうっとして」

 

「いえ、なんでもないわ。ごめんなさい」

 

「そうか? ならいいが……」シマメの視線がスズの方へ移った。「む。どうやら解析官の予測が届いたようだぞ」

 

 直後、スズが甲高い声で報告する。

 

「第一結界柱付近にて、魄子(ハクシ)連鎖反応が急速に局在化しています! 解析官の予測では〝()()()()()()()()()()()()()()〟とのことです!」

 

「禍ツ忌ノ鬼が一体だけ……⁉」

 

 これまでの戦闘では必ず小型鬼と大型鬼が随伴(ずいはん)していた。

 

 それが。

 

 何もかもが異例尽くしの今日に限って一体のみ。

 

「本当に……わからないことだらけだわ」

 

 ミヅキは額に手を()嘆息(たんそく)した。

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