表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第六話 夜ニ浮カブ白キ月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/226

13

 夜に浮かぶ白き月がヒモロギを照らし出していた。

 

 堅牢な防壁で囲われたツクヨミ本部。中央には月魅(ツキミ)ノ塔が(そび)え立つ。

 

 今、本部に穿(うが)たれた大穴から、機械仕掛けの鬼と、そしてミヅキが飛び出してきた。

 

 鬼は背面から防壁に激突し、ようやく停止する。

 

 無論、損傷(ダメージ)など通っていない。逆に鬼を受け止めた防壁の方がピシピシと蜘蛛の巣が如く亀裂を走らせている。

 

(機械仕掛けの鬼……それも混じり()なしの人型……まるで(マガ)()(オニ)みたいに)

 

 ミヅキは冷静に敵を観察していた。

 

(でも、何だか(いびつ)な身体だわ……)

 

 印象としては、大きさの違う二つの人形の手足を()げ替えたかのようである。

 

 小柄な胴体に反して長い手足。

 

 平衡(バランス)が取れているとは言えない。

 

 何故(なにゆえ)にあのような姿形をしているのだろう。

 

(起き上がった……!)

 

 鬼が立つ。

 

 そのままこちらへ攻撃――かと思いきや、

 

(何を……しているの?)

 

 鬼が取ったのは予想外な行動だった。

 

 しげしげと、己の手足を見詰めている。

 

 手を握り、開き、具合を確かめていた。

 

 そして唐突な、

 

『カッカッカッカッカッカッカッカッカッ』

 

 (わら)い。

 

 声を伴わぬ高嗤(たかわら)い。

 

 大口を開いたまま(あご)だけがカクカクと動き、内部の部品(パーツ)が干渉して音が生じる。

 

 次の瞬間、

 

「くっ⁉」

 

 鬼は()()()()()()()()()()()()

 

(そんな……! まさか〝縮空(シュックウ)〟⁉)

 

 ――否、違う。

 

 専門家(エキスパート)のミヅキだからこそ、確信できた。

 

 その証拠に、少し遅れてから()()が届く。

 

(足からも……爆発を起こせるのだわ! それを推進力にしている!)

 

 ミヅキは間一髪で敵の攻撃を(かわ)し、縮空で距離を取った。

 

 だが敵はすぐさまこちらに振り向き、第二の爆発を起こして追い打ちを仕掛ける。

 

 どうやら鬼独特のあの空白の眼窩(がんか)で、ミヅキの霊気を(じか)に感じ取っているらしい。

 

(冗談じゃないわ……! 全身が火薬庫みたいなものじゃない……! これでは迂闊(うかつ)に近寄れもしないわ)

 

 手か足で触れたものを爆発させる。

 

 それが敵の力だ。

 

 様子見などまずできない。隙あらば爆発に巻き込まれる。

 

 かと言ってこのまま逃げ続けるのも土台無理な話。

 

 全盛期ならいざ知らず、今のミヅキでは縮空を使える回数に限りがあるからだ。

 

 この速さ(ペース)で戦闘を継続されれば、こちらの霊気が底をつくのが先だろう。

 

(とても増援まで持たないわ……ううん、そもそも増援が間に合ったとしても生身の巫女じゃよほどの数が揃わないと厳しいかも……あの鬼を確実に始末できるのは〈アマテラス〉か〈ウズメ〉だけだわ……)

 

 しかし、二機は共に大型鬼への対処で出ている。合流はまず見込めない。

 

(となると……やっぱり何としても私が食い止める。それが最善手ね)

 

 ミヅキは腹を決め、縮空で空へ()ぶ。

 

 長期戦が不利な以上、狙うは短期決着だ。

 

 一瞬で、勝負をつける。

 

『カカカカカカカッ』

 

 鬼が喰いついた。爆発で上空のミヅキを追う。

 

〝もう貴様に逃げ場はない〟まるでそう嘲笑(あざけわら)うかのようにカツカツと喉を鳴らしていた。

 

「……いいえ、あなたの方よ」

 

 もう逃げ場がないのは――次の瞬間、ミヅキは縮空を連続で使い、()()()()()()()

 

「ここにはないでしょう、()()()()()()()()()()

 

 すべてはミヅキの目論見通り。

 

 今、ここは間違いなく安全地帯だ。

 

 敵はこれ以上に宙を動けず、かつ人体の構造上、背後への攻撃は(かな)わぬのだから。

 

 そう確信し、ミヅキは御幣(ごへい)で敵に斬り掛かる――。

 

「え」

 

 だが。

 

 彼女は一つ、決定的な過ち(ミス)を犯していた。

 

 確かに敵は腕が二本に足が二本、極めて人に酷似した基盤(プラットフォーム)だが……しかし、それでも()()()()()()

 

 あくまで鬼の身体である。

 

 まるでその事実を誇るかのように、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その腕が、ミヅキ目掛けて襲い掛かり――、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ