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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ
ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 中央管制室
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「し、司令――!」通信官の浦島スズが金切声を上げた。「黄泉比良坂が再度活性化しています! 新たな魄子連鎖反応を検知しました! 場所は、」
スズが報告を終える前に――爆発音。
描影装置の音響装置からではない。
ここだ。
まさしく今、この場所である。
壁が吹き飛び、残骸が散弾銃のように中央管制室へ飛び込んできた。
運悪く、スズはその凶弾に晒され――
「大丈夫、おスズちゃん?」
「夜代司令……!」
次の瞬間、ミヅキはスズのそばに立っていた。
それだけではない。御札で簡易的な防御障壁を展開し、被害を最小限に留めている。
「うん、怪我はないみたいね。よかった」言うや否や、ミヅキは姿を消す。
空間を折り畳み圧縮した超高速移動。
最難関に位置する巫術〝縮空〟だ。
ミヅキは懐から御幣を抜き、息つく間もなく敵に斬り掛かる。
(え……?)
敵。
敵、なのだろう。どう考えても。こうして襲撃してきたのだから。
だが……なんだ、コレは?
(こんなの……見たことない)
鋼鉄の腕でミヅキの斬撃を受け止めた敵。
その外見に生物としても面影は微塵もない。
皮膚は硬い装甲と化し、肉と骨は駆動系に置き換わっていた。
それらの隙間から覗き見える体内には血管のように鉄索が張り巡らされている。
あろうことか、額の角ですら光沢を持った金属で代替されていた。
そう、それ即ち――
「機械仕掛けの鬼……?」




