表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第六話 夜ニ浮カブ白キ月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/226

07

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 同刻

 /()(ミヤ) 八重樹(ヤエジュ)

  貴族院第一議員会館 地下駐車場

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 車内灯のぼうっとした光が老人の顔に不気味な陰影を与えていた。

 

 貴族議員、金光(カナミツ)ノボルである。

 

「それで、古宮(コミヤ)よ――」金光(カナミツ)は鋭い目つきで運転席に座るもう一人の男を見た。「例のモノはしかと仕掛けたであろうな」

 

「はい、先生」古宮は無表情で応える。

 

「よし、ならば車を出せ」

 

「はい、先生」古宮の発する言葉の大半はそれだ。金光からそう教育されている。

 

「あの女狐(めぎつね)め……!」

 

 金光は小さな肩を精一杯に怒らせる。

 

 まるで老いぼれた鼠が毛を逆立て威嚇するかのようだ。

 

「こ、この(わし)を……この儂を、(かろ)んじおって!」

 

 往々にして、研究者というのは二種類に分けられる。

 

 純粋に研究へ没頭できる者と――そうでない者。

 

 後者の理由は様々だ。

 

 能力不足、加齢による衰え、古い主題(テーマ)への執着、そして……前者への嫉妬。

 

 奇妙なことに、そういう者ほど〝自身が優秀である〟という幻想に強く(すが)りつき、空虚な自尊心(プライド)を風船のように膨らませる。

 

 その風船が飛び、行き着く先は政治の世界だ。

 

 そこで得た他人の力を振るうことで、己の充実感を満足させる。

 

 金光はまさしくそのような(タイプ)であった。

 

「まったく、他のヤツらも腑抜(ふぬ)け揃いよな……! あんな小娘どもの言いなりになりおって……!」

 

〝馬鹿〟というのは知識の有無や知能の良し悪しで決まるのではない。

 

 どこまでが〝可〟で、どこからが〝否〟か――その境界を見定められぬ者を()す。

 

「女狐め、目に物見せてくれるわ……!」

 

 その意味では、まさしく今の金光は〝馬鹿〟であった。

 

「もっと車を飛ばせ、古宮。ヒモロギに急ぐのだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ