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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第六話 夜ニ浮カブ白キ月

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05

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

(八日前)

 (トウ)ノ月、(オン)ノ週、(シュン)ノ日 夜

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部

  月魅(ツキミ)ノ塔 最上階 神託ノ間

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

「は……?」

 

 ミヅキは唖然(あぜん)としていた。

 

 月魅(ツキミ)ノ塔、神託ノ間。

 

月読(ツクヨミ)ノ巫女〟こと夜代(ヤシロ)ハヅキが祈りを捧げる神聖な場だ。

 

 ミヅキは昨日(さくじつ)(マガ)()(オニ)との戦闘報告でここまで足を運んでいた。

 

 特に、第三結界柱の喪失。この大き過ぎる代償についての詳細と、今後の対応について。

 

 だが、ハヅキから返ってきた言葉は、

 

『そうですか。わかりました』

 

 たった二言だけだった。

 

「お、恐れながら〝月読ノ巫女〟さま――」ミヅキは戸惑いを隠し切れずに訊く。「そ、それだけでしょうか?」

 

「それだけ、とは?」

 

「報告の通り、第三結界柱はもはや手の施しようがありません。修復・再建ともに不可能です」

 

「そのようですね」

 

 こんな時ですら、ハヅキは――目の前にいる小さな少女は、夜に浮かぶ白き月だけを見詰めている。

 

「すべての責任は、私にあります。如何なる処罰をも受け入れる覚悟でございます」

 

 自分のことを、見てくれない――。

 

「ですが、結果として土禍(ツチマガ)()(オニ)は討たれました」

 

土禍(ツチマガ)()……?」

 

 第二の禍ツ忌ノ鬼のことだろうか。初めて聞く名である。

 

 だがハヅキはそれには触れず、淡々と続けた。

 

「すべての禍ツ忌ノ鬼を討つ……それこそが、ツクヨミの使命です。あなたは立派に役目を果たしました」

 

 褒められた……?

 

 いや、違う。そこには感情などまるで(こも)っていない。

 

「第三結界柱のことは、仕方のないことです。必要な犠牲だったと割り切りなさい」

 

「で、ですが来週には査問委員会も控えています。どう申し開きをすれば――」

 

「ありのままを報告なさい。それで万事うまくゆくでしょう」

 

 ハヅキの言葉はそこで打ち切られた。

 

 これ以上は何も得られまい。経験で熟知しているミヅキは、戸惑いを引き()ったまま(きびす)を返そうとした。

 

 だがその最中(さなか)

 

(あら――?)

 

 ふと気づく。

 

(あの彫像………………増えているわ)

 

 ()()()

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