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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第伍話 冷たい血、温かい血

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53/226

08

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 同刻

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 中央管制室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

「そん、な……!」

 

 ミヅキは崩れ落ちそうになった身体を(かろ)うじて机に(とど)めた。

 

「だ、第一防衛線、すべて消滅しました……!」スズが健気に職務を遂行する。「〈アマテラス〉、〈ウズメ〉両機の反応ありません」

 

「ヒミコと、ルリカが――」

 

 死んだ。

 

 信じられない。

 

 信じたくない。

 

 だが。

 

 それでも、知らなければない。

 

 真実を。

 

「いったい、何が起きたの……?」

 

「わ、わかりません……ただ、観測記録には非調和因果律の瞬間的な発散傾向が見られます」

 

「映像は出せるかしら?」

 

「はい」

 

 巨大描影装置(モニタ)の右端に再び小画面が現れ、コマ送りで記録映像を再生した。

 

 自らが起こした血煙の中で活路を見出し、(マガ)()(オニ)へ攻撃を仕掛けた〈アマテラス〉。

 

 手にした御幣(ごへい)が敵を斬り伏せようとしたその刹那――。

 

「なんてこと!」

 

 ()()()()()()()()()()

 

 まるで口が裂け、身体全体を(あぎと)と化した蛇である。

 

 一瞬の内に血煙を虚無に変え、姿を消し、さらには〈アマテラス〉と〈ウズメ〉を周囲一帯ごと呑み込んだ。

 

 後に残るは()()かれたような痕跡を晒す大地のみ。

 

 ――その大地から、

 

「っ⁉ 禍ツ忌ノ鬼、再度出現しました!」

 

 現れ出る鬼の王。

 

「禍ツ忌ノ鬼、第二防衛線へと向かっています! このままでは(カエデ)組と接触します」

 

(ただ)ちに最終防衛線まで引かせなさい!」

 

 ミヅキは苦悶に顔を(しか)め、そう指示した。

 

 ――だが。

 

 どうする。

 

 引かせたところで、どうしようもない。

 

 あれだけ苦労して作り上げた〈ウズメ〉でさえ、禍ツ忌ノ鬼の前では赤子同然だ。

 

 如何な緋ノ巫女でも、生身の部隊では手も足もでまい。

 

(このままでは敵が第三結界柱に辿り着くのは時間の問題だわ……!)

 

 ヒモロギに設置された計九つの結界柱。

 

 それらがすべて破壊された時、鬼は外界へと放たれ、人の世に終焉が訪れる。

 

(最悪の場合、第三結界柱は破棄するしかないわ。自爆装置を作動させれば少しは時間稼ぎになる。でも……)

 

 さりとて、打つ手がない。

 

 禍ツ忌ノ鬼に対抗し得る唯一の(すべ)、〈アマテラス〉は失われてしまったのだから――。

 

「ミヅキ」その時、シマメが中央管制室へと戻ってくる。「すまない、待たせたな」

 

 隣には技術部官長、根問(ネドイ)カヤが立っていた。

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