05
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ
枢密院直属非公開準軍事組織ツクヨミ
対鬼戦闘司令本部 中央管制室
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「第五結界柱、損傷率が四割に達しました!」
「今すぐ修復班を向かわせろ!」
「既に他の結界柱への対応で出ています!」
「なら技術部に要請して有志を募れ! この際、正規の担当員でなくとも構わん!」
「了解! 技術部に電文を送信しました――――――え⁉ ふ、副司令! 黄泉比良坂が再度活性化! 第六結界柱付近に新たな魄子連鎖反応! これまでにないほど高密度です!」
「何――⁉」
「映像、そちらに回します!」
通信官が繊細い指を叩きつけるようにして手元の端末を操作すると、前面の巨大描影装置の画面が切り替わった。
「解析官からの報告です! 鬼門形成まであと一分! 予測規模は小型鬼が五〇、大型鬼が三とのことです!」
「大型鬼が一度にそんなに……⁉ ルリカは間に合うか⁉」
「現在〈ウズメ〉は第一結界柱の防衛についています! 到着までは早くとも一〇分はかかります!」
「構わん! 現場へ急行させろ! それと第七結界柱の桜組を援護に回せ!」
副司令、矢車シマメは眉を顰めた。
(これほどの軍勢か……となるとアレが現れるのはもう時間の問題だな……それまでに間に合ってくれればいいのだが)
シマメはずり下がっていた眼鏡を直してから通信官に訊く。
「まだミヅキから連絡はこないか⁉」
「尾沼崎を発って以降、夜代司令から連絡はありません!」
「ミヅキめ、何をモタモタしている。らしくないぞ……! 第六結界柱、状況はどうか⁉」
「鬼門形成! 鬼の具象化を確認! 椿組、苦戦しています!」
「彼女らではまだ荷が重い……! ルリカはどうだ⁉」
「〈ウズメ〉、現在第二結界柱付近を通過! 到着まであと八分!」
「……!」
シマメはゴクリと喉を鳴らす。
打てる手はすべて打った。これ以上、中央管制室からできることはない。
自分はただ、描影装置で見ているしかないのだ。
むざむざと。部下が犬死していく様を――。
「副司令! 西部結界に通行応答あり! 夜代司令です! 【たーげっと】との接触に成功したようです! 二人はそのまま第六結界柱に向かっています!」




