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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第肆話 不和と調和

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39/226

04

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 夕方

 /結界封印都市ヒモロギ

  高等巫術学校 北校舎 階段

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 ヒミコの緋色の瞳から光が消えていた。

 

 心なしか、頭からプスプスと煙がくすぶっているようにすら見える。

 

 遠くに聞こえるヒグラシの甲高い鳴き声が、なんだか逆にやべー感じを(かも)し出していた。

 

 端的に言うと、今にも奇声を上げて凶行に走りそうな不穏さがある。

 

 いったいヒミコの身に何が起きたのか?

 

 結論から言おう。

 

 過剰負担(オーヴァロード)だ。

 

 ただし肉体的なものではない。

 

 単に頭脳労働としての、である。

 

(アマ)逆鉾(サカホコ)……(コン)(ハク)の飛散……生命の誕生……」

 

 (うつ)ろな目をして頭に詰め込んだばかりの言葉をブツブツと呟くヒミコ。

 

 だが哀しいかな、その様子はどう見ても心太(とこてん)式のソレ。

 

 多分、明日には綺麗さっぱり忘れているだろう。

 

「魂は(ヨウ)……男も陽……魄は(イン)……女も陰……」

 

 ヒミコは覚束(おぼつか)ぬ足取りで階段を下り、教室へと向かった。

 

 幸い今日はこれで終了である。

 

 高巫(高等巫術学校)では始業時間こそ共通なものの、帰りは選択した授業によりマチマチだ。大半の者はヒミコ同様に一コマないし二コマの授業を受け下校するが、中には遅くまで残る者もいるらしい。

 

「は……?」

 

 ヒミコが()()うの(てい)で一〇一教室の引き戸を開けると、何故だか人で(にぎ)わっていた。

 

 それも。

 

 ヒミコの方を見て。

 

 クスクスと笑いながら。

 

「………。………………。………………………。」

 

 何とも嫌な空気である。

 

 今は疲れてるので正直関わり合いになりたくない。

 

 さっさと荷物を取って帰ろう。

 

 そう思い、自分の鍵付き棚(ロッカー)を開けようとするヒミコ。

 

「……?」

 

 一層、クスクス笑いが大きくなった。

 

 それもそのはず。

 

 ヒミコは一拍遅れて理解した。

 

 自分の棚。

 

 壊されている上に汚水をかけられビショビショだった。

 

 しかも鞄と私物が()られている。

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