表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第参話 ヒトのナカ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/226

10

 汎用演習場は水を打ったように静まり返っていた。

 

 無理もない。あまりに早い勝負だった。

 

 観衆が息を呑む間もなく展開が動き、最後には瞬く間もなく勝敗がついていた。

 

 大半の者には開始と同時にヒミコを追い詰めていたはずのルリカが、ふと気づくと逆転されていた、としか映っていない。

 

「……よお、立てるか」

 

 ヒミコがルリカに声をかける。

 

縮空(シュックウ)〟で背後を取った後、背中から斬りつけ地上に落としたのだ。

 

 無論、咒牢帯(ジュロウタイ)で弱化させた上に元が緋ノ巫女の頑強な身体である。怪我は一つもない。

 

 ただそれでも、

 

「………。………………。………………………。」

 

 ルリカは茫然自失としていた。

 

 まるで何が起きたか、ややもすればここはどこで自分が誰かすら分かっておらぬように見える。

 

(まぁ無理もねえか……アタシだって最初()()()にやられた時は唖然(あぜん)としたし)

 

 アイツ。ツクヨミの統括司令官、夜代(ヤシロ)ミヅキ。

 

 ヒミコの縮空は彼女の見様見真似(みようみまね)だった。

 

 技としてはまだまだ粗いが、それでもこうして何も知らぬ相手に不意打ちで繰り出せば、必殺とほぼ同意義である。

 

「おーい、大丈夫か――」

 

「~~ッ⁉」

 

 何度目かの呼び掛けでようやくルリカが我に返った。

 

 青い瞳がキョロキョロと辺りを見回し、自分の置かれた状況を、最後にヒミコを捉える。

 

 捉える。いや、そんな生易(なまやさ)しいものではない。

 

 一瞬、ほんの一瞬だが、そこに現れた感情は――。

 

「はっはっは、参ったな!」ルリカは快活に笑いだす。「こうも見事にしてやられるとは!」

 

「……ん? お、おう」

 

「いやぁ、すごかったなー! 最後のアレはもしかして縮空かい? 夜代司令が使えるという」

 

「……ああ、そうだ。つってもただの猿真似に過ぎねーけどな」

 

「すごい技を見せてくれて光栄だよ! 私もまだまだだな……とにかく今日はありがとう、神越(カミコシ)。キミさえよければ是非また手合わせしてくれ」

 

 行ってルリカは起き上がり、爽やかな笑顔と共にその場を後にした。

 

(……なるほどな。()()()()()()だったか)

 

 ヒミコは目を細め、ルリカの後ろ姿をしばらく見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ