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(現在)
闘ノ月、恩ノ週、備ノ日 朝
/結界封印都市ヒモロギ
高等巫術学校 北校舎 一階 一〇一教室
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哀しいことに、ヒミコには〝妙な所で生真面目〟という美点がある。
今回の場合、この美点が丸々そのまま失点に転じた。
正式なヒミコの所属はこうである。
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枢密院直属非公開準軍事組織ツクヨミ
戦略作戦部門 対鬼戦闘局
第一巫女部隊 桜組
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その戦闘員として、契約を結んだ。
結んで、しまった。
さすれば当然、我が身を死地へと送る危険性と引き換えに、支払われるものが支払われる。
そう、お給料が。
〝妙な所で生真面目〟というのがここで効く。
ヒミコはかつて、親代わりのヨウコから常々こう言われていた。
〝貰うものを貰う以上は最善を尽くせ〟
つけ加え、こうも言われている。
〝ましてや契約違反なんて論外だ〟
――詰んだ。
育て親の言葉をここまで思い出した時、ヒミコは既に詰んでいた。
だから諦めこうしている。
不気味なほど似合わぬピカピカの巫女装束に袖を通し、顔面神経痛のような笑顔を携え、同級生たちの奇異の視線に晒されている。
何ともあはれな光景だった。
「え、えっと……じゃあ神越さん、席はあそこに。ね?」
困惑を隠し切れぬ担任――やはり緋ノ巫女である――が着席を促した。
「………。………………。………………………。」
アレな〝笑顔〟をようやく崩し、元の仏頂面で席に向かうヒミコ。
学校なんていつ以来だろう。両親と姉を亡くして以来、行ってなかったのだから……九年ぶりか。
いくつになろうが人間の本質なんてさほど変わらぬのかもしれない。
ヒミコに向けられた視線は概ね想像通りのものだった。
野次馬的な関心と下世話な好奇心。
そしてその下に隠された――仄暗い敵愾心。
(めんどくせぇ……)
ヒミコは気怠そうに嘆息した。




