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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第弐話 そうやって、生きていく

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22/152

09

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

(現在)

 (トウ)ノ月、(ニン)ノ週、(ジン)ノ日 朝

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部

  医療棟 特別治療室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 最悪の気分で目が覚めた。

 

(またこの夢か……)

 

 嫌な夢。昔の夢。身を斬られるように辛い記憶。

 

 でも。

 

 今となっては〝みんな〟と会える唯一の一時(ひととき)

 

(どこだここ……?)

 

 一瞬、あの監獄を想起した。

 

 だが違う。あそこにこんな質のいい布団がある訳ない。万に一つあったとして、自分がそこに寝かされるなど未来永劫あり得ない。

 

(ちげーよ。そもそも出たんだ。もうあそこからは……。そんでアタシは、()()()に連れられて――)

 

「あら、気がついたのね」

 

「!」

 

 思考と現実の映像とが一致した。

 

「アンタか……」

 

 夜代(ヤシロ)ミヅキ。自分をここまで連れて来た張本人だ。

 

 そのミヅキが、ヒミコの布団のすぐ横でのほほんとお茶を(すす)っていた。

 

「……?」

 

 いや、ミヅキだけではない。

 

 部屋の片隅にもう一人いた。

 

 膝を抱え(うつむ)く白い少女が。

 

(誰だアイツ……?)

 

 奇妙な、とても奇妙な外見である。

 

〝白い少女〟としか言いようがない。

 

 死人に着せるような白装束は勿論のこと、肌や体毛に爪、果ては瞳の色まで白一色だ。

 

 あまりに白が過ぎ、目に焼きつきそうなくらいである。

 

 しかも幼い。

 

 五歳に達するかどうか、尋常小学校にすらまだ通ってないであろう年頃だ。

 

 背丈など、自分の腰にも届かぬだろう。

 

「なんだか戸惑っているみたいね」

 

 ミヅキが意味ありげにヒミコの顔を覗き込んだ。

 

 ……まあ、いい。なんとも薄気味悪いが、あの少女に関しては一旦置いておこう。いずれミヅキから話があるはずだ。

 

 それより今は、

 

「……鬼は、どうなった」

 

 そのことが気になる。

 

 鬼。

 

 あの三本角(サンホンツノ)の鬼。

 

 みんなの仇。

 

 アイツはいったいどうなったのだろう。

 

「なあ、教えてくれよ局長サマ。あのでけー鬼はくたばったのか?」

 

 だがその質問に対するミヅキの反応は予期せぬものだった。

 

 ミヅキは(かす)かな動揺と共に視線を落とし、震える指先で湯呑みの(ふち)をそっとなぞる。

 

 やがて、ぽつりと言った。

 

「……あなた、()()()()()()()?」

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