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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ 車道
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「それでいいですね、ルリカ………………ルリカ?」
その声に応えることはできなかった。
ルリカの青い瞳は釘付けとなっている。
黄泉比良坂を挟んだ旧・第五結界柱方面。
そこでまさに今、鬼と対峙せんとしている〈アマテラス〉に。
(神越……!)
ここからでもよく見える。
両手から格子状の緋色の壁〝天ツ玉垣〟を展開したまま、一歩、二歩と粘液の中を掻き分け進み、じりじりと禍ツ忌ノ鬼へ接近していた。
やがて、その歩みがピタリと止まる。
「あっ……」
〈アマテラス〉が懐から御札を取り出した。
いよいよもって仕掛けるらしい。
「!」
次の瞬間、玉垣が消失した。と同時に御札を展開する〈アマテラス〉。霊石で増幅された衝撃波が粘液を吹き飛ばす――だが、
「そんな⁉」
動いている。うぞうぞと蠢いている。
粘液が。飛び散ったはずの粘液が。
まるで再生しているかのように――いや、それどころではない――一つの意思を持った生き物のように。
「まずい、アレでは……!」
一足飛びで鬼へと迫っていた〈アマテラス〉もすぐさまそれに気づく。
四方八方から迫り来る粘液が今や津波の如く自機を押し潰さんとしていることに。
「神越――!」
すんでのところで〝天ツ玉垣〟の展開が間に合う。
〈アマテラス〉は崩落した天井を支えるかのような体勢で耐えた。
だが。
敵は、それすらも見越していたらしい。
「まさか……⁉」
あちこちへと浸食を広げていたに粘液が、急速に引き返しす。
元いた地点へ――〈アマテラス〉が粘液を耐え凌ぐその場所へ。
それはさながら、冷酷にして狡猾な蛇が獲物に巻きつき絞め殺すかの如き光景――。




