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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第拾参話 貫く意志

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17

(ここだな……)

 

 そのまま粘液の中を掻き進み、ヒミコはどうにか目標地点にまで辿り着いた。

 

 とはいっても、かなり大雑把なソレである。事前に与えられた指示は〝敵の玉垣タマガキを中和できる位置についたら()()()()に移れ〟という至極(しごく)単純(シンプル)なものだ。

 

(……やれやれ、簡単に言ってくれるよな)

 

 次の行動。

 

 当初はより高度に整形した〝(アマ)玉垣(タマガギ)〟で鬼の本体を露出させ、そこをルリカが遠距離から打ち抜く予定だった。

 

 だが今、ルリカはこの場にいない。かてて加えて、この土壇場で彼女専用に調律(チューニング)された〈ウズメ改〉に乗り込み、さらには極めて難度の高い狙撃をやってのけられる人材など望むべくもなかった。

 

 なので必然、その(しわ)寄せは現場のヒミコへとやってくる。

 

『ねえヒミコ……』ハクからの呼びかけ。『本当に、大丈夫なの?』いつになく、不安げな声である。

 

(さあな)

 

『絶対に無理だと思う』

 

(そーいうこと言うなよ……)

 

 あれからミヅキと各部門の責任者らが急遽立案した作戦はこうだ。

 

〝天ツ玉垣〟の代わりに御札で粘液を(しの)ぎ、その間に敵を討つ。

 

(前に訓練でやっといてよかったぜ……)

 

〈アマテラス〉が玉垣を展開しつつ、御札を取り出した。

 

 元々は〈サグメ〉用に仕立てられたモノで、〈アマテラス〉が手にすると御札というより短冊のような感がある。

 

 今は四方へ衝撃波を放つ汎用札(はんようふだ)が取り付けられており、これで粘液を一時的に吹き飛ばさんとする狙いだった。

 

(後はいつ仕掛けるか、だな)

 

 元より御札はさほど得意とせぬヒミコである。勝負の機会は一度っきりだ。

 

 その一度を、確実に掴まねばならない。

 

(敵の動きはなし、か……もしかして、こっちに気づいてねーのか?)

 

〈アマテラス〉の目で敵を見遣るヒミコ。

 

 敵は――(マガ)()(オニ)は、作戦会議室で見た映像と何一つ変わらない。

 

 木乃伊(ミイラ)のような身体が真っ二つに折れ、腹の辺りから出た〝龍蛇(りょうじゃ)〟が天に向かって巨大な(あぎと)を開いている。

 

 まず間違いなく、その口からは今も延々と粘液が吐き出されているはずだ。同じ粘液の中にいるため、それが見えぬだけである。

 

 要は世界で一番醜悪にして迷惑な噴水だ。

 

 そんなモノ。

 

 壊すより他にない。

 

(今だッ)

 

 意を決し、ヒミコが――〈アマテラス〉が動いた!

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