11
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
同日 夜
/結界封印都市ヒモロギ
ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 通路
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ヒミコは急ぎ作戦会議室へと向かっていた。
鬼出現後でこのような招集は異例である。いつもなら警報が鳴ると共に〈アマテラス〉に乗り込み出撃だが、何故だか今日に限ってはその直前に呼び出しが掛かったのだ。
……機胎に入る前でよかった。もう少し連絡が遅かったら、今ごろ霊水でびしょ濡れのままこの通路を突き進んでいたことだろう。
「お、凛堂」
道すがらルリカと出くわした。同じく招集が掛かったのだろう。緋ノ巫女の常人離れした脚力で廊下を疾走していた。
「お前も呼び出しか」
「……あ、ああ。そうだよ」
「………………………。」
どうにもやり辛い。以前の威風堂々としたルリカとはまるで別人のようだ。
特休から二週間、ルリカはずっとこの調子である。
(やっぱりまだ……引き摺ってんのか)
直接事情を訊けた訳ではない。だが、それでも多少の想像はついた。
あの女。日没と共に現れた、あの黒眼鏡の女。
ルリカの母親だと聞いている。
多分、その母親と何か揉めたのだ。
思えば特休の日――いや、その前の試験勉強の時からルリカは時折り懐中鈴を気にしていたが、きっとアレはそういうことなのだろう。
懐中鈴で母親と何らかのやり取りをしていたのだ。
それもおそらく、気の進まぬやり取りを。
(ま、アタシの知ったこっちゃねーけどな……)
ヒミコは内心でそう結論づける。だが彼女は気づいていなかった。
その結論の裏に潜む、
『ルリカがダメならその分アタシが頑張りゃいい』
とする思いに。
ましてや――いつの間にか自分がルリカを仲間として受けいれていた事実に。




