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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第拾参話 貫く意志

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209/226

10

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 同刻

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 中央管制室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 ミヅキはランカと共に中央管制室へと向かわざるを得なかった。

 

 本来なら部外者の立ち入りなどまず()り得ぬ中央管制室に、である。

 

 というのも、用意周到なことにランカは〝旧貴志摩(キシマ)鉱山崩落災害特別視察員〟なる立場に()いており(おそらく帝國上層部への気の遠くなるような根回しの末に勝ち取ったのだろう)、彼女には正式な視察権限が与えられていたのだ。

 

 とはいえそれが――〝月読ノ巫女(ハヅキ)〟の()を上回ることなぞあり得ない。不用意な発言の一つでも〝(カゲ)〟に拾われれば、ろくな結末にならぬだろう。

 

 (ゆえ)に当初ミヅキは必死に制止したが、ランカはその様子から何かを察したらしく、

 

『……わかりました。では、()()()()()は口走りません。少なくとも、ハヅキさんに直接会えるまでは。それならばよいでしょう?』

 

 と、逆に試すような視線でこちらの目を(のぞ)き込む。

 

 残念ながらミヅキにはそれ以上に説得の弁がなく、何よりそもそも時間がなかったため、結局こうして二人で中央管制室に駆け込むことになった。

 

「ミヅキ。遅かったじゃないか」先に来ていたシマメが振り返る。「む……」そして次にランカへと目をやった。

 

 まずい。早くも敵視されてしまったか? ああ、やはりどうあってもここへの入室は止めるべきだった――

 

(……え?)

 

 だが意外。シマメはすぐに視線を外し、淡々と状況説明に移った。

 

 まるで〝ランカ(そんな女)如き取るにも()らぬ〟といった様子で。

 

()()()()()()()()()、ということかしら……?)

 

 ミヅキにはそう思えてならなかった。

 

「それで、シマメ」だが顔には出さない。平静の仮面を(かぶ)って先を(うなが)す。「敵は?」

 

「もう間もなく具象化する。それも第五結界柱のごく近くで、だ」

 

「なんですって……⁉」

 

 これまでの鬼は総じてヒモロギの中心――黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)の近辺で顕現(けんげん)し、そこから各方面と侵攻してきた。

 

 それが今回に限ってはいきなり結界柱の付近で……?

 

「待って――」その時、ミヅキの脳裏に閃光が走る。「()()()()()……?」

 

「ああ、そうだ」シマメもおそらく同じ考えなのだろう。ゆっくりと頷いた。「前回の戦いで、第四の(マガ)()(オニ)()()()()()()()()()()()場所だ……」

 

「何らかの痕跡が残されていた、ということかしら……?」

 

「おそらくな。それを利用して具象化しようとしているんだ。とはいえ――」シマメの声が若干(やわ)らぐ。「前回のように、結界柱へ直接鬼門を形成する訳ではない。あくまでその()()だ。だから〝対消滅(ついしょうめつ)〟のおそれはないよ」

 

「その点だけは少し安心ね……」

 

「――鬼門形成が始まりました!」そこへスズの声。彼女も急いで駆けつけたのだろう。額には玉の汗が浮かんでいた。「鬼、具象化します!」

 

 前面の巨大描影装置(モニタ)が第五結界柱周辺の映像に切り替わる。

 

 大地に広がる漆黒の染み。魄子(ハクシ)密度の数値から禍ツ忌ノ鬼であるのは間違いない。解析官の意見も完全に一致している。

 

(こうも早くては間に合わないわ……!)

 

〈アマテラス〉と〈ウズメ改〉はまだ格納庫だ。

 

 遺憾ながら第五結界柱は捨てざるを得ないか――ミヅキがそう苦悩していた(おり)

 

「へ……?」

 

 思わず。間の抜けた声が口から漏れる。

 

「これが……鬼、なの?」

 

 描影装置(モニタ)に現れた、その映像は――

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