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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ
ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 高度性能試験場
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日が落ち、少しずつ夜の静寂が満ちてゆく。
あれから〈ウズメ改〉の試験は滞りなく終了した。
結果は良好。すべての課題を解決し、カヤからは〝これならすぐにでも前線で活躍できるよ〟と太鼓判を押された。
それ自体はうれしい。大変、うれしい。蘇った愛機と共にまた戦えるのだから。
だが、
『……久しぶりですね、ルリカ』
どうしてもあの日の言葉が――ランカの言葉が頭を離れない。
母は自分の耳元でこう続けた。
『事と次第によっては、あなたをツクヨミから連れて帰ります。いつでも発てるよう、準備をしておきなさい』
〝どうして〟とは言えなかった。ましてや〝いやだ〟などとは、口が裂けても。
おおよその事情は推測できた。おそらく自分はなんらかの駆け引きに使われているのだろう。
あの人は……そういう人だ。
今も、昔も。
(結局私は――)ルリカの青い瞳が薄闇の中を彷徨う。(何も変わっていない……あの人の〝人形〟のままなんだ……)
そうまでわかっていながら何もできぬ自分が情けなかった。
恥ずかしかった。
(このままでいいのか……? 私は、私は……)
その時、
(――警報っ⁉)
耳をつんざくひび割れた電子音。
その意味するところはただ一つ。
鬼が、来る――。




