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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第拾参話 貫く意志

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204/226

05

 凛堂(リンドウ)ランカ。

 

 ()暦一一五年から一二五年までの一〇年間、帝國巫女局長の役職に()いていた女傑(じょけつ)である。

 

 ついでに言うのならその前は、精鋭中の精鋭、時に〝帝國ノ花〟とも称される帝國巫女局が壱番隊、その巫女(がしら)(つと)めていた過去を持つ。因果なことに、この点でもランカはミヅキの〝先輩〟にあたるのだ。

 

 さらにさらに、もっと踏み込んでしまえば〝史上最年少の壱番隊巫女頭(みこがしら)にして帝國巫女局長〟などと持て(はや)されるミヅキであるが、その〝史上〟は案外せわしない。というのも、この賞賛はそのままランカが受けていたソレでもあるのだ。運の巡り合わせや上層部の意図と広報戦略が重なった結果、ミヅキが更新してしまった形である。

 

 ……そしてミヅキは知っていた。ランカが実は、その件にあまりいい感情を持っておらぬことを。

 

 現に今も、

 

「……そんな調子では〝史上最年少のなんとやら〟の名が地に()ちますよ?」

 

「ひゃ、ひゃい! ごめんなひゃい!」

 

 こうである。事あるごとにチクリ、チクリと刺してくるのだ。

 

 まったくいい性格をしている――とは口が裂けても言えぬ後輩の身の世知辛さであった。

 

 ……と、まあ。このように大層重複(オーヴァラップ)の多い二人だが、一方で帝國巫女局長の座を辞してからの道のりは大いに異なる。

 

 ミヅキに関しては言うまでもなく、こうしてツクヨミという得体の知れぬ組織で表向きの(おさ)(つと)めている。歴代局長の大半が、退任後、巫術管理省やその関連部署の重職に()くことを踏まえれば、異例の進路と言えよう。

 

 だが、異例の具合ではランカも決して劣らない。

 

 なんと彼女は省庁から綺麗さっぱりと身を引いたのも(つか)()、衆議院選挙への立候補を電撃表明し、さらには他の追随(ついずい)を許さぬ圧倒っぷりで当選を果たしたのだ。

 

 大緋(ダイヒ)帝國の議会は貴族院と衆議院に二分(にぶん)される。前者が世襲や身内の輪番(ローテイション)を前提とする閉鎖的なモノであるのに対し、後者は純粋に選挙で選出された議員から()る。過去に局長経験者の貴族院入りは数例あったものの、衆議院となると皆無であった。

 

 そんな状況にもかかわらず見事議席を勝ち取り、さらに昨今では衆議院内で超党派を結成し遺憾なく辣腕(らつわん)を振るうランカは、やはり女傑と以外に言いようがなく――ミヅキにしてみれば、厄介に輪をかけ服まで着せたような相手であった。

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