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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第拾参話 貫く意志

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203/226

04

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 同刻

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 執務室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 白衣(びゃくえ)が嫌ーな汗でじっとりと濡れてくるのをミヅキは自覚した。

 

 ここは彼女に与えられた執務室である。光沢を放つ黒革張りの腰掛け、深みのある木目(もくめ)(あで)やかな調度品、片隅に置かれた植木鉢から伸びる若々しい緑の葉……部屋の(あるじ)の趣味と品格が嫌味にならない程度に主張されている。

 

 ()()()()

 

 それはそう、間違いなくこの自分――夜代(ヤシロ)ミヅキのはずだ。はずなのだ。

 

 だというのに。

 

 何故こうも、自分は肩を強張(こわば)らせ、身を(ちぢ)こまらせているのだろう……?

 

 何故こうも、相手は〝ででん!〟と腰掛け、バチバチと雷を落としてくるのだろう……?

 

 ここ最近、ミヅキは週末が訪れる(たび)に沈痛な面持(おもも)ちでそんな自問ばかりを繰り返していた。

 

「……ミヅキ。人の話を聞いていますか?」

 

「ひゃ、ひゃい! 聞いてまひゅ!」

 

 自答は実に単純(シンプル)である。

 

 女の社会にはなかなかどうして、(あらが)えぬし盾突(たてつ)けぬし口答えさえ許されぬ特別な関係がある。

 

 たとえばそう、過去に仕事で大変お世話になった……〝先輩〟とか。

 

「……あなたも来年でもう三〇でしょう。いつまでそんな女学生気分でいるのですか」

 

「ひゃ、ひゃい! ごめんなひゃい!」

 

 平身低頭(へいしんていとう)。ミヅキはペコペコと頭を下げるばかり。

 

 それもそのはず。

 

 彼女の前で今、一切の妥協を許さぬ凛とした態度で雷を落とし続けているのは――大緋(ダイヒ)帝國が巫術管理省、()()()()帝國巫女局長を(つとめ)め上げた、凛堂(リンドウ)ランカ。

 

 三年前まで()()()()帝國巫女局長の役職に就いていたミヅキの、紛う事無き〝先輩〟にあたる。

 

 ちなみに現役時代はミヅキも含め、多くの巫女たちから畏怖と畏敬の念を込めこう呼ばれていた。

 

〝青鬼ランカ〟

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