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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第拾参話 貫く意志

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201/226

02

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 (カン)ノ月、(ケイ)ノ週、()ノ日 夕方

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 高度性能試験場

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

(――カ)

 

 遠くで。

 

(――リカ)

 

 聞こえる。

 

(――ルリカ)

 

 声が。

 

 自分を呼ぶ、声が。

 

「~~っ⁉」

 

 瞬間、ルリカの意識が鮮明となった。

 

『ルリカ、聞こえてるかい?』

 

「は、はい。大丈夫です」

 

『そっか。じゃあ次の試験だ。今度は疑似太極炉(タイキョクロ)の実効稼働率を六割にまで高めるから――』

 

 技術部官長、カヤの声だ。通信機越しに聞こえる。

 

 ルリカが今いるのは、まるで機械仕掛けの寝屋(ねや)だった。

 

 ここは擬霊(ギレイ)式駆動人形の中、操者席(コックピット)である。

 

 ()()に比べれば格段に広い。細々(こまごま)とした(ボタン)操作棒(レヴァー)は合理的な配置でまとめられ、描影装置(モニタ)は画質と大きさの双方で向上しつつ、最適な位置と角度を保っている。たとえるなら贅肉(ぜいにく)が徹底的に()ぎ落とされ、気品ある骨格と筋肉が匂い立つような機能美を作り上げている、というところか。

 

(まったくすごいな……異ノ国々の技術力は)

 

 試験稼働が始まって以来、既に何度も操者席(ここ)には身を置いているが、ルリカはその(たび)に新鮮な感動を覚えずにはいられない。

 

 人形の名は――〈ウズメ()〉。

 

 第三の(マガ)()(オニ)との戦いで大破した〈ウズメ〉を、〈サグメ〉の予備部品の大半を投入して大改修した機体だ。

 

 (ゆえ)に以前の〈ウズメ〉に比べれば何もかもが進歩している。外観は〈サグメ〉とよく似ていた。二機が並び立てばまさしく姉妹の絵となるだろう。全長は旧〈ウズメ〉に比しておよそ三倍、関節や骨格は多少の(あら)さを残すものの、それでも大きく人体へと近づいていた。

 

 この〈ウズメ改〉ならば大型鬼など物の数ではない。〈アマテラス〉との連携次第では、禍ツ忌ノ鬼とすら真っ向から渡り合えるだろう。

 

 言うなればこの機体は現時点での人類が導き出した結論だ。これ以上の改善には地道に年月を重ねるより他ない。

 

 その操者として旧〈ウズメ〉から引き続き選ばれたルリカは心躍らせる思いであったが――

 

『……久しぶりですね、ルリカ』

 

 ふとその言葉が胸によぎる。仄暗(ほのぐら)い不安と(あせ)りの念と共に。

 

(お母さん――)

 

 母との再会から、既に二週間が()とうとしていた。

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