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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ
ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 中央管制室
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「太極炉、安定!」通信官が金切声で報告を上げる。「非調和因果律、閾値までの収束を確認! 〈アマテラス〉、問題なく稼働しています!」
「……全戦闘情報を記録しろ。〈アマテラス〉だけでなく敵の魄子応答も含めすべてだ」
シマメはやっとの思いで指示を出す。黒い瞳は前面の巨大描影装置に釘づけだ。
〈アマテラス〉と禍ツ忌ノ鬼との戦いを食い入るように見ている。
(初の実戦で……自分の手足のように機体を操っている……信じられん……この三年、誰一人として動かせなかったというのに……)
そもそも〈アマテラス〉が自ら封印を破り、ヒミコの元まで転移したこと自体が異例中の異例なのだ。
アレが黄泉比良坂のほとりから発見されて以来、そのような明確な意思を示したことなど一度たりとてなかった。
「あれが……神託に選ばれし巫女」




