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(数秒前)
同日 同刻
/逆具象化空間内
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その実、ヒミコ自身にも何が起きたかがわかっていなかった。
『この神体のチカラは、こんなものじゃないもん』
ハクのその言葉と同時に、ヒミコは闇へと沈んだ。
闇――いやさ違う、鬼門だ。
突如として大地に広がった漆黒の染み。自分はその中へと落ちたのである。
闇を抜けた先には白い世界が広がっていた。
逆具象化空間。よく覚えている。以前にルリカと共に捕らわれた。
ここではヒミコが〈アマテラス〉に、〈アマテラス〉がヒミコへと入れ替わる。
突然の転移に驚く暇もないまま、今度は白い空間の中で再び漆黒の染みが広がった。
――わかる。
本能で、わかる。
この黒い扉を抜ければ、人の世に戻れるのだと。
これは〝こちら〟から〝あちら〟へと繋がる鬼門なのだと。
だからヒミコは迷わず飛び込む。
しかしその刹那、ありえぬモノを目にした――いや、目にした気がする。
(ツララ……⁉ それに……シズクとクレハ⁉)
かつての仲間。肆番隊の巫女たち。
(コハク姉、メノウ姉……御頭ッ‼)
通称〝死ノ巫女〟。
彼女らがまるで死人のような生気なき眼でヒミコを見ていた――気がする。
………。
………。………………。
………。………………。………………………。
……いや、やはりソレらは極限状態が見せた幻想かもしれぬ。
ヒミコはすぐにそう思い直した。
――何故ならば。
そこにはいなかった。
全員が、揃っていなかった。
マユリとサユリに……そしてハザマを欠いていたのである。




