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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第壱話 解き放たれた少女

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13

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 同刻

 /結界封印都市ヒモロギ 第六結界柱付近

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 その刹那(せつな)、夜が明けたのかとミヅキは錯覚した。

 

 だが違う。そうではない。

 

 ミヅキは顔を上げ、視線を空へ。幾重もの結界で(いろど)られた夜空へと移す。

 

 そこには――〝巫女〟がいた。

 

 違うと知っていても、そうとしか見えなかった。

 

 白衣(びゃくえ)緋袴(ひばかま)穿()き、仮面をつけた巫女。

 

 煌々(こうこう)と後光が()している。

 

「そんな――」

 

 ミヅキの心の内に生まれた感情。

 

 それは畏怖(いふ)に他ならない。

 

 彼女の目には、光輪を背負った巫女が(アマ)ツ国から舞い降りたが如く映っていた。

 

 地上で待ち受ける(マガ)()(オニ)が、奇しくもそこに鮮烈な対比(コントラスト)を添える。

 

 どちらも大きい。天と地、光と闇を象徴した巨神と巨神の対峙。

 

「自ら封印を解いて出たというの……?」

 

 よく見れば巫女の手足には幾重もの千切れた注連縄(しめなわ)が巻きつき、装甲には御札(おふだ)の残骸と(おぼ)しき燃滓(もえかす)が散見する。

 

 ――()()

 

 そう。それがあるからこそ、(かろ)うじて〝これは兵器だ〟と理性で信ずることができた。

 

 人型。完全な人型。〈ウズメ〉のように人類の技術という制限で歪曲(デフォルメ)されたのではない、人としての精緻な骨格、関節、肉。それらを無機物で代替し、その上から巫女装束と一体化した装甲を(かぶ)せている。

 

 これほど人に酷似していながら――人ではなく神が、〝月ノ神〟が創り(たもう)うたとされる唯一無二の作品。

 

神越(カミコシ)さん……⁉」

 

 その作品が今、下腹部の装甲を蓮華(れんげ)のように花開かせ、自らの体内へと――胎内(たいない)へとヒミコを導く。

 

「……目覚めるのだわ」

 

 鬼を討つ機械仕掛けの巫女。

 

 ()の名は――霊式駆動人形〈アマテラス〉。

 

 

 

 ~第壱話 解き放たれた少女 完~

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― 新着の感想 ―
なるほど! 全体的に、文脈の流れも良くて、読みやすかったです。 好機「チャンス」にしたり、独特の世界観があり、他にはない良さがあると思いました。 おそらくなんですが、暦? 最初にある暦も今後何…
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