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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ 旧第七結界柱方面
仮設塹壕 其ノ二周辺
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もう、駄目だ――。
〝雷惑符〟と〝雷密符〟を維持したまま高速機動を続ける最中、ユイナははっきりとそう悟った。
要は単純な数学の問題である。
原点と、半径と、円周。それだけを考えれば十分に今の状況が説明できた。
まずは原点。この場合、宙に浮かぶあの〝石環〟である。
半径は自機と石環とを結ぶ距離だ。
そして、円周はこちらの逃走経路であり――半径に比例する。
だからこうして自分がいくら地上を素早く逃げ回ったとて、〝石環〟からすれば少し向きを変えるだけで簡単に砲撃領域内に捕捉できるのだ。
唯一の打てる手は距離すなわち半径を詰め、敵の射角が追いつけぬような回避機動に移ることだが……これも実質不可能だ。
極めて単純に――その時間がない。
ユイナも既に操者席内の描影装置で確認していた。
〝球〟。禍ツ忌ノ鬼。真っ二つに割れた身体の中から巨大な〝龍蛇〟が飛び出し、今にも白光の矢を放たんとしている。
だから、どう考えても無理だ。もう間に合わない。
けれどもそれで――別にいい。
(こうして最後に……ヒミコの役に立てたんだもの)
自分が。
こんな自分なんかが。
好きな女のために、死ねる。
ユイナはただそれで――満足だった。
直後。
〝龍蛇〟から白光の矢が、〝石環〟から破壊の奔流が放たれ――




