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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第九話 幻想の花/背負った命

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 大緋(ダイヒ)帝國。

 

 母の生まれた土地。

 

 初めて訪れた土地。

 

 期待は――していなかった、と言えば嘘になる。

 

 真っ赤な、嘘に。

 

 何かが変わるんじゃないか、とは思っていた。

 

 何かを変えられるのでは、とさえ思っていた。

 

 結論から先に言おう。

 

 ()()()()()()()()()

 

 巫術学校は大緋(ダイヒ)帝國の本土に七つ設置されている。

 

 ユイナが通っていたのは列島の南端に位置する久城(クジョウ)巫術学校だ。

 

 巫術学校。巫女の養成所。女の(その)――。

 

 言語の壁、人種の違い、文化の差異。どれが原因だったのかはわからない。わかりたいとも思えない。

 

 確かなことは一つだけだ。

 

 もう二度と会うまいと思っていた書面上の父とその家族。

 

 自分は遠く離れた異国の地で、アレの同類と出くわしてしまった。

 

 顔を合わす(たび)に髪の色で、肌の色で(さげす)まされ、顔を合わさぬ所ではあることないことを吹聴(ふいちょう)される。

 

 皮肉なことに、事の顛末(てんまつ)まで同じだった。

 

 混血児(ハーフ)の巫女は往々(おうおう)にして力が(おと)るというのが定説だが、ごく(まれ)()()が現れる。

 

 例外。緋ノ巫女の基準で見ても、規格外の化物じみた力の持ち主。

 

 ユイナがまさしくソレだった。

 

〝暴発〟という形でその事実が明らかになって以来、露骨な嫌がらせはおろか陰口さえパタリと()む。

 

 目を合わせようともしてこない。まるで〝そこには何もいない〟と自分たちに言い聞かせているかのように。

 

 あの時と同じだ。

 

 やっと――無関心がやってきた。

 

 以降は卒業まで穏やかで冷たい日々が続く。

 

 あまり記憶に残ってはいない。

 

 絵ばかりを描いていた気がする。

 

 昔から絵を描くのが好きだった。

 

 自分の心の空白を埋める――いや、むしろその空白の中にポツンと取り残された〝何か〟に形と色を与える。

 

 それがたまらなく好きだった。

 

 子どもの頃はあの男たちが寝静まった隙に家中の屑籠(くずかご)(あさ)り、どうにか使い物になるモノを探すしかなかった。

 

 たまに使用人に見つかってしまうこともあったが……大抵は(あわれ)みの目で見て見ぬふりをしてくれる。

 

 あの頃はクシャクシャになった紙の余白に、使い古しの潰れた硬筆(ペン)先で咲かせる幻想の花だけが、唯一の心の(なぐさ)めだった。

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