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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第九話 幻想の花/背負った命

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13

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 夜

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 中央管制室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

「〝局所封鎖結界〟の消失まであと三分です!」

 

 あちこちで情報が飛び交う喧騒(けんそう)の中、ミヅキの耳がスズの報告を捉える。

 

(あと三分……!)

 

 既にヒミコとユイナはそれぞれの持ち場についていた。両名の機体は突貫工事で仕上げた二つの塹壕(ざんごう)で別々に待機している。

 

〈アマテラス〉は(マガ)()(オニ)の付近に、〈サグメ〉は〝石環(セキカン)〟から少し距離を挟んだ場所に配置した。

 

 何もかもが――作戦通りに進んでいる。

 

 進んで、()()()()()()

 

(結局……何もできなかった……)

 

 ミヅキは机の下で強く拳を握りしめた。

 

 ここまで(みじ)めだと自嘲の思いも湧いてこない。

 

 最初は自分に期待した。

 

 この状況を(くつがえ)せる起死回生の閃きを、と。

 

 だが駄目だった。

 

 次に周囲に期待した。

 

 せめて少しでも戦局を改善できる策を、と。

 

 だが駄目だった。

 

 とうとう最後に――ミヅキは神に祈った。

 

 大緋帝國の国教、白き月を(あが)める月神(ツキガミ)教。

 

 その信仰の御柱(みはしら)たる〝(ツキ)(カミ)〟に――母が〝月読(ツクヨミ)ノ巫女〟と化して以来、常に黒い憎悪を抱き続けてきた月神(ツキガミ)に。

 

 どうか。

 

 どうか自分に天啓(てんけい)(さず)けて下さい、と。

 

 だが――――――駄目だった。

 

「〝局所封鎖結界〟の消失まで一分を切りました!」

 

「ミヅキ……」隣に立つシマメが心中複雑そうな顔でこちらを見遣る。「大丈夫か?」

 

「……あなたにだけは正直に言うわ」

 

 大丈夫じゃ、ない。

 

「そう、か……」シマメはまるで我が身を切られたかのような哀し()な目でミヅキを見た。「だがここまできた以上、もう我々には信じることしかできまいよ」

 

「信じるって何を?」ミヅキが絶望しきった能面顔で訊き返す。「人? それとも神様のことかしら?」

 

「両方だ」

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