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同日 夜
/結界封印都市ヒモロギ
ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 中央管制室
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「〝局所封鎖結界〟の消失まであと三分です!」
あちこちで情報が飛び交う喧騒の中、ミヅキの耳がスズの報告を捉える。
(あと三分……!)
既にヒミコとユイナはそれぞれの持ち場についていた。両名の機体は突貫工事で仕上げた二つの塹壕で別々に待機している。
〈アマテラス〉は禍ツ忌ノ鬼の付近に、〈サグメ〉は〝石環〟から少し距離を挟んだ場所に配置した。
何もかもが――作戦通りに進んでいる。
進んで、しまっている。
(結局……何もできなかった……)
ミヅキは机の下で強く拳を握りしめた。
ここまで惨めだと自嘲の思いも湧いてこない。
最初は自分に期待した。
この状況を覆せる起死回生の閃きを、と。
だが駄目だった。
次に周囲に期待した。
せめて少しでも戦局を改善できる策を、と。
だが駄目だった。
とうとう最後に――ミヅキは神に祈った。
大緋帝國の国教、白き月を崇める月神教。
その信仰の御柱たる〝月ノ神〟に――母が〝月読ノ巫女〟と化して以来、常に黒い憎悪を抱き続けてきた月神に。
どうか。
どうか自分に天啓を授けて下さい、と。
だが――――――駄目だった。
「〝局所封鎖結界〟の消失まで一分を切りました!」
「ミヅキ……」隣に立つシマメが心中複雑そうな顔でこちらを見遣る。「大丈夫か?」
「……あなたにだけは正直に言うわ」
大丈夫じゃ、ない。
「そう、か……」シマメはまるで我が身を切られたかのような哀し気な目でミヅキを見た。「だがここまできた以上、もう我々には信じることしかできまいよ」
「信じるって何を?」ミヅキが絶望しきった能面顔で訊き返す。「人? それとも神様のことかしら?」
「両方だ」




