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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ 第七結界柱跡地付近
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日没から土砂降りの雨が続いていた。
「――そこだ!」
ズブ濡れの巫女装束が鬼の白濁とした血を吸い重さをいや増す。
「椛組は右翼から、楓組は左翼から攻め小型鬼を掃討してくれ! 桜組は私と共に大型鬼を討つぞ!」
ルリカはミヅキから直々に現場の指揮権を委ねられていた。
元々、第七結界柱の防衛担当はルリカの所属する桜組である。
今この瞬間にも敵の新手が出現し他の結界柱を侵攻するかもしれない(実際にそのような陽動も過去に数度あった)。故に、それらの防衛戦力をあてにはできない。
だが、既に失われた第一・第三結界柱を担当していた椛組と楓組は話が別で、この三日間こうして肩を並べ戦っていた。
第七結界柱も〝局所封鎖結界〟の形成で失われているので、この戦いを切り抜けられれば、桜組も後日同様の遊撃部隊として組み込まれるのだろう。
そう、この戦いを切り抜けられれば、の話だが――。
「椛組が劣勢だ! 楓組から後衛を数名回してやってくれ!」
針の穴を通すような超精密射撃で大型鬼を牽制しつつ、的確に指示を下すルリカ。
これが他の巫女なら組を跨いでの命令に多少の反発も生じただろう。
だがそこは流石のルリカ。
常日頃からのきめ細やかな気配りに加え、本人の実力と人望が遺憾なく噛み合い、まるで歴戦の指揮官が如く巫女たちを巧みに動かしていた。
(ユイナ……!)
しかし、どれだけ上手く戦況を制御できようとも、その胸中は決して穏やかではない。
ルリカも此度の作戦内容を事前に知らされていた。
(死ぬんじゃないぞ……絶対に……!)
自分にはそう願うことしかできない。
〈ウズメ〉が大破し、そばにいれぬことが歯痒くてならなかった。




