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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第九話 幻想の花/背負った命

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111/226

03

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

(三日前)

 (トウ)ノ月、(ケイ)ノ週、(ケン)ノ日 夕方

 /結界封印都市ヒモロギ

  ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部 中央管制室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

「何が起きたんだ⁉」

「〈アマテラス〉の回収急いで!」

「操者は無事か⁉」

「駄目です、通信繋がりません!」

 

 中央管制室を混沌(ケイオス)が支配していた。

 

 無理もない。

 

〈アマテラス〉が――これまで幾度となく鬼を(ほふ)りツクヨミを勝利へと導いてきた〈アマテラス〉が。

 

 ()とされた。

 

 装甲と一体化した巫女装束の大部分が消し飛び、残る僅かな箇所も漏れなく焼け焦げている。

 

 機械の素肌が、肉が、骨格が所々で剥き出しとなり、(おびただ)しい出血が周囲を緋色の海に変えていた。

 

 ――まさに、(またた)く間もない出来事。

 

 白光(びゃっこう)の矢が〝石環(セキカン)〟を貫いた途端、〈アマテラス〉目掛けて凄まじい破壊の奔流(ほんりゅう)が放たれたのだ。

 

「あれは」ミヅキが喉を鳴らしシマメを見遣る。「〝対消滅(ついしょうめつ)〟を利用した攻撃……⁉」

 

「ああ、間違いない」シマメは顔面蒼白で頷いた。「あの石環で対消滅を起こし、その上でなお――どうやっているかはまるでわからんが――生じた力を収束させ指向性を持たせている」

 

「あり得ないわ……〈アマテラス〉の〝(アマ)玉垣(タマガキ)〟すら破ってくるなんて」

 

「……それだけとてつもない威力ということだろう。この世の(ことわり)を捻じ曲げるほどにな」

 

「……ねえシマメ。正直に答えて」ミヅキが声を落とし訊く。「私たちに、もう打つ手はない?」

 

 ミヅキは残酷な事実を理解していた。

 

 既に〈アマテラス〉の回収は指示している。

 

 だが如何(いかん)せんあの巨体だ。すぐに済むとは思えない。

 

 ユイナが取り乱しつつ〈サグメ〉で協力してはくれているものの――それよりも早く、敵の第二射が来るだろう。

 

 そうなれば、今度こそ終わりだ。

 

 現状、ヒミコの安否すら確かめられぬが、少なくとも意識はないはずである。その状態で再び〝天ツ玉垣〟が発動するとは思えない。いや、仮に発動したとしても、また破られて同程度かはたまたそれ以上の損害を受けるだろう。

 

 だからやはり――〝詰み〟だ。

 

 この状況は詰んでいる。

 

 ミヅキにはそれ以外の答えを見出せなかった。

 

 だがシマメは、

 

「……一つだけ、方法がある」

 

 言葉少なにそう答えた。

 

 ただし――不安で不安で堪らない――そんな(かげ)った表情(かお)をしながら。

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