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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ 第七結界柱付近
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――嫌な気配がする。
宙に浮かぶ石の円環〝石環〟を一目見るなりヒミコはそう感じ取った。
理由は説明できない。ほとんど本能的な予感である。
(どうする……? 攻撃してみるか?)
いや、無駄だろう。
禍ツ忌ノ鬼ほどではないとはいえ、あの石環もかなり遠い。
御幣で衝撃波を放っても、届くまでには相当減衰する。
(……でも待てよ)ふと思い当たる。(コイツの御札なら届くか……?)
〈アマテラス〉の瞳が仮面の下で一瞬、後方の〈サグメ〉を見た。
石環も鬼の一部には違いなかろう。だが……アレも〝天ツ玉垣〟で守られているのだろうか?
いや、そうは思えない。
何故だがわからぬがヒミコには不可思議な確信があった。
玉垣は血肉の通った鬼の身体――球状の本体にしか施されぬと。
(なら、いけるかもしれねーな……)ヒミコはそう判断し、「おい方波見、試しにお前の御札で――」
だが。
次の瞬間、事態が決定的に悪化した。
『二人とも!』ミヅキからの緊急通信。『今すぐその場から退避して!』
言われる前にヒミコは動き出していた。やや遅れてユイナも
少女たちは既に直接目にしていた。
〝球〟。禍ツ忌ノ鬼の本体。
その身体が中央から真っ二つに割れ、中から巨大な〝龍蛇〟が出現する。
(前よりも――でかい!)
天と地を引き裂かんばかりに開かれる極大の顎。
一層威力が増しているに違いない。
(いや……でもここまでは届かねえはずだ)
大地を蹴り横っ飛びする最中、ヒミコは冷静にそう見定める。
実際、その読みは当たっていた。
一瞬、眩いばかりの白光。白き光の一閃にして一線。
だが描かれた軌跡は雨滴で著しく減衰し、到底ヒミコらの位置までは達し得ない。
せいぜい――その半分だ。
(まさか……!)
そう、半分。敵とこちらを結ぶ直線上の。
そこにはあの――石環がある。
白光の矢は端からそこ目掛けて放たれていた。
(やばい――っ!)
石環が白き光の煌めきを受けた瞬間。
〈アマテラス〉は凄まじい破壊の奔流に晒された。
~第八話 触れた指先 完~




