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同日 同刻
/結界封印都市ヒモロギ
高等巫術学校 南校舎 三階 美術室
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午後の訓練が終わり、多くの者は休憩を挟んだ後に選択制の授業である。
だが半年近く譜ノ国へ出向していたユイナには関係ない。
特別免除で単位も足りているため、完全に自由時間であった。
だから必然、ユイナの足はここ美術室へと向かう。
高巫では訓練や授業の他にささやかながら俱楽部活動も行われており、ユイナは美術俱楽部に在籍していた(と言っても、部員は彼女ただ一人だが)。
「あ~っ!」
え、すごい。
「あ~っ! あ~っ!」
すごい勢いで絵を仕上げていく。
「あ~っ! あ~っ! あ~っ!」
行為の時のような嬌声を上げながら。
下絵もなしに油絵三枚同時描き。
仕組みはわからぬが乾燥も巫術でどうにかしているらしい。
瞬く間に空白の帆布に緻密な絵が描き込まれていく。
ちなみに。
三枚が三枚、残らずヒミコの絵だ。
「あぁぁぁぁあああぁぁぁ~っ‼」
最後に喉奥から一際甲高い啼き声を漏らすと、ユイナはガクガクとガクガクと身を震わせその場に倒れる。
これだけの勢いで描き切ったのだ。
当然。そこら中に絵具が飛び散っている。
ユイナの前面がド派手に着色された。
なんだかまるで見るからにやべー毒を持ってる類の生き物のようである。
付け加えて言うとこの女、最初からこれを見越してか、はたまたそういう性癖なのかは知らぬが、とにかく端から全裸で作業に取り掛かっていた。
「ハッ――⁉」
うお。急に起き上がった。
せっかくの人形のように愛らしい顔が、どこぞの部族の戦化粧じみた紋様で装飾されている。
その上でキラッキラの輝く目だ。
正直こわい。
「あ、あ、あ――ッ!」
何をするかと思えば仕上げの仮漆だった。
これまた巫術ですぐ乾く。
「………。………………。………………………。」
蕩けるような顔で三枚の絵を順々に鑑賞していくユイナ。
次の瞬間、白目を剥いて背中からブッ倒れた。
今度は背面も着色される。
結局全身が絵具塗れとなった。




