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幻葬鬼譚 ~神話ヲ殺ス少女タチ~  作者: K. Soma
第八話 触れた指先

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102/226

06

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 同日 同刻

 /結界封印都市ヒモロギ

  高等巫術学校 南校舎 三階 美術室

╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

 

 午後の訓練が終わり、多くの者は休憩を挟んだ(のち)に選択制の授業である。

 

 だが半年近く()ノ国へ出向していたユイナには関係ない。

 

 特別免除で単位も()りているため、完全に自由時間であった。

 

 だから必然、ユイナの足はここ美術室へと向かう。

 

 高巫(高等巫術学校)では訓練や授業の他にささやかながら俱楽部(クラブ)活動も行われており、ユイナは美術俱楽部に在籍していた(と言っても、部員は彼女ただ一人だが)。

 

「あ~っ!」

 

 え、すごい。

 

「あ~っ! あ~っ!」

 

 すごい勢いで絵を仕上げていく。

 

「あ~っ! あ~っ! あ~っ!」

 

 行為の時のような嬌声(きょうせい)を上げながら。

 

 下絵もなしに油絵三枚同時描き。

 

 仕組みはわからぬが乾燥も巫術でどうにかしているらしい。

 

 瞬く間に空白の帆布(キャンヴァス)に緻密な絵が描き込まれていく。

 

 ちなみに。

 

 三枚が三枚、残らずヒミコの絵だ。

 

「あぁぁぁぁあああぁぁぁ~っ‼」

 

 最後に喉奥から一際(ひときわ)甲高(かんだか)()き声を漏らすと、ユイナはガクガクとガクガクと身を震わせその場に倒れる。

 

 これだけの勢いで描き切ったのだ。

 

 当然。そこら中に絵具が飛び散っている。

 

 ユイナの前面がド派手に着色された。

 

 なんだかまるで見るからにやべー毒を持ってる(タイプ)の生き物のようである。

 

 付け加えて言うとこの女、最初からこれを見越してか、はたまたそういう性癖なのかは知らぬが、とにかく(はな)から全裸で作業に取り掛かっていた。

 

「ハッ――⁉」

 

 うお。急に起き上がった。

 

 せっかくの人形のように愛らしい顔が、どこぞの部族の戦化粧(いくさげしょう)じみた紋様(もんよう)で装飾されている。

 

 その上でキラッキラの輝く目だ。

 

 正直こわい。

 

「あ、あ、あ――ッ!」

 

 何をするかと思えば仕上げの仮漆(ワニス)だった。

 

 これまた巫術ですぐ乾く。

 

「………。………………。………………………。」

 

 (とろ)けるような顔で三枚の絵を順々に鑑賞していくユイナ。

 

 次の瞬間、白目を()いて背中からブッ倒れた。

 

 今度は背面も着色される。

 

 結局全身が絵具(まみ)れとなった。

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