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同日 午後
/結界封印都市ヒモロギ
ツクヨミ 対鬼戦闘司令本部
月魅ノ塔 最上階 神託ノ間
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「ではあなたは――」ハヅキが瞑目したままシマメに問いかけた。「此度の鬼の変質、その原因は先日の事件にあると考えているのですね?」
「はい、〝月読ノ巫女〟さま」シマメが目を伏せつつ応える。「不幸に不幸が重なって、とでも言うべきでしょうか。金光が機械を取り込み鬼と化した際、鬼門を通じて逆具象化空間を満たす魄子そのものに何らかの悪影響を与えてしまったのだと思われます」
ミヅキの姿はない。
ハヅキと、シマメだけだ。
建前上は傷の癒えきらぬミヅキに代わってシマメが来た、という体だが――その実態は違う。
二人はこれまでに幾度となく、こうして秘密の会合を開いていた。
ヒモロギの設立以前から――。
「悪影響、ですか」ハヅキが消え入りそうなほど繊細い声で呟く。「というより〝穢レ〟と評した方が正しいですね」
「そうなのですか?」ピクリとシマメが片眉を上げた。
「ええ。アレは元々〝穢レ〟を引き寄せる性質ですから」
ハヅキは目を閉じたままそう答える。
月が出ていない時はいつもこうだ。
まるで。
その紫色の瞳は、月の光以外を決して受けつけぬかのように。
「ところで〝月読ノ巫女〟さま」シマメが話題を変えた。「金光の処分は如何なさいますか」
「これ以上、あの者が鬼へ影響を及ぼすことはないのでしょう?」
「ええ。鬼門形成時に既に吸い尽くされたはずです」
「ならあなたに任せます。必要な限りは使い、不要になったら始末なさい」
「かしこまりました」
一〇秒、二〇秒……シマメはハヅキの次なる言葉を待つ。
だが来ない。
ならばこれで終わりだろうか。
シマメがそう思い腰を上げかけた時、
「おそらく」ハヅキが唐突に話を再開した。「次の戦いはより厳しいものになるでしょう」
「……ええ、仰る通りかと」
敵は学習している。
前回の敗走を糧として、さらなる成長を遂げるはずだ。
「なので、あなたに一つ策を授けましょう――」
そこからハヅキはポツポツと語り出した。
話を聞くにつれ、シマメの顔が驚愕に彩られる。
「し、しかし〝月読ノ巫女〟さま、それでは結界柱がまた一つ――」
「構いません」
ハヅキはシマメの言葉を遮り、言った。
「どうせ最後にはすべて壊さねばならぬモノですから」




