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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

世界樹ユグドラシルに転生?

話の切りどころが不安定になるので、短編としての投稿にしました。


…おれは?ここは?


『お目覚めになられましたか』


…キミは?


『わたしはあなた』


…どういうこと?おれはどうして?


『あなたはわたし』


 うん。分からん。情報を整理しないと…


 周りは暗闇で、目の前にいるのは、30cmくらいの、ファンタジー世界に出てくる、フェアリーみたいな半透明の存在が、輝きながら、浮いている。

 やっぱり分からん。これは夢か?いや、意識がハッキリとしすぎている。まず、夢じゃない。


…あなたはわたし、わたしはあなたって言ってたな。


…じゃあ、触ってもいいよな。こんなカワイイのは愛でなくては。


『え?ちょっ、チョット待っ』


…うん。スベスベしててふんわりしてて気持ちいい。いくらでも触っていられる。モミモミ…ナデナデ。


『や、やめて〜。ごめんなさい。謝るから。もう、やめて〜』


…泣きそうになってきたので、撫で回すのを、チョットだけやめて落ち着くのを待ってみる。モミモミ。


『は、はなして〜』


…よし、話をしよう。キミはどういう存在?おれはどうしてここに?モミモミ。


『ちっが〜う。手を離して。そして私から離れて。このままじゃ話ができない』


…む。しょうがない。ほんのチョットだけ指を離し…あ、逃げた。


『もう。あちこちシワクチャになったじゃない。世界樹としての威厳も出せなかったし』


…シワクチャ?どこが?スベスベしてるのに。威厳?そんなのただの自己満足だろ…んん?世界樹?


『気持ちの問題よ…もう』


…さて、遊んでないで話をしようか。世界樹ってなんだ?


『もう。誰のせいよ。私はユグドラシル。世界樹とも呼ばれてるわ。そして、樹里。あなたはこの私、世界樹のサポート役として召喚をさせてもらったわ』


…そうだ。俺の名前は樹里だ。名前で呼んでくれて思い出した。

…思い出した?


『今のあなたは、異世界より召喚され、世界樹のサポート役として転生した存在。その影響で、元の世界の記憶が封印されているの。この世界に悪影響を与えないために。でも、安心して私達の成長とともに記憶は蘇ってくるはずよ』


…ふむ。記憶、か。俺の両親は生物学者だった。そんな両親は解剖やら、遺伝子配列の研究で異種配合とか接合とか、中々にマッドな事をしていた。そんな勿体無いことをしている両親がキライで、俺は研究施設内にある動植物園に入り浸って生活をしていた。


『ちょっ、チョット?』


…たまには研究の手伝いに駆り出されたりしたが、イヤイヤやっている態度や、解剖の度に解剖対象に泣いて謝るのが気に食わないのか、年を重ねる毎に研究の手伝いに呼ばれなくなった。そして、入り浸っている動植物園の中にある大樹が、鳥の巣やら小動物の棲家になっているのを見て、この大樹と一つになれたらどんなに幸せなのだろうと思いを馳せていた。


『ねえ、なんで樹里の記憶が流れてくるの!?』


…可愛いは正義だ。正義は無駄に命を奪うのを許さない。


 しかし、食物連鎖による、命を繋ぐ為なら許される。生存競争なのだから。極論、カビ等の菌糸類やウイルス等の細菌もまた命の一種ではある。もしも、菌糸類や細菌種を命の一種だと認めないのなら、菌糸類や細菌種は有機体ではなく、無機物だという事になる。

おっと、脱線した。まぁ、さすがに愛でる対象では無いので、どうでもいいのだが。


 だが、知識欲を満たすだけのために命を奪ってた研究者達は許されない。俺は許さない。だから、研究所は菌糸類や細菌で溢れさせた。


 今まで解剖をしまくったのだ。菌糸類や細菌種に解剖されても文句は言えまい。


『あ、あのう…』


…あの動植物園は同じ敷地内であっても、同じ建屋では無かったため。腐るような影響は無いはず。愛でる対象が腐って消滅とか、世界の損失であるのだから。


『樹里、あなた、人間?』


…失敬な。俺は人間じゃないぞ。俺はもう世界樹だ。試そうとしても無駄だぞ。


『ア、ハイ。ソウデスネ』


…ところで、お前はどうなんだ?やけに流暢に喋るじゃないか。世界樹としては感情も豊かにして。


『…実は、私も転生者なんですよ。ただ、樹里みたいな異世界からではなく、この世界での、世界樹を守る森の民からの転生でしたけど』


…なんか喋り口調がブレてないか?


『誰のせいよ。もう。樹里の記憶の封印も壊れてるし』


…記憶の封印って、これか?研究所のセキュリティよりもガバガバだったぞ


『なにやってんの!?ねえ、なんで壊せてるの!?』


…なんでって、この世界の魔術?の基本が理解できたから。


『いつの間に!?まだ何も教えてないわよ!?』


…いつの間にって、さっきモミモミしてる時に。すぐに手を離したから魔術しか理解できなかった。

もう少しモミモミが出来たならまだ他にも理解出来たはず。

…なあ、もう少しだけモミモミさせてくれない?


『もうやだ。だれかへるぷみー』


…ちがう。正確にはHelp meだ


『流れてきた記憶を真似ただけなのに…シクシク』


…なぜ泣く?なにが悲しい?


『もうやだ。こんなのがサポート役だなんて』


…ふむ。なら代わるか?


『代われるのなら、代わってもいいわよ』


…それならしばし待て


『なにをするつもり?』


………

……


「よし。代わったぞ。確認してみてくれ」


『ふぁ!?あれ?うそぉ。なんでぇ?私が樹里のサポート役になってる!?なんで、こんな事が出来るのよ!』


「出来そうだからやった。やったら出来た。それだけだ」


『それだけだ。じゃない!普通は、一般的にも、常識的にも、役割の変更なんて出来ないの!』


「ふむ。今まで暗闇だったのは世界樹としての意識内での事だからか。世界樹の外側は前の世界と基本的には変わらないな。青空で、緑豊かで、瘴気が存在している」


『無視しないで!ねえ!?なにやってるの!?なんで外の状態の事が分かるの!?てか、さっきのあんたの記憶にあった植物園とやらには瘴気なんて無かったじゃない!?なんで瘴気の事まで分かるの?』


「いちいち煩いな。世界樹なんだから、瘴気を感知する事ぐらい出来るだろ。そんな細かい事は気にするな。

 しかし、この世界樹は、樹木としてはまだまだ若木か。これでは誘鳥木として役に立たないでは無いか」


『煩いって、もう。ゆうちょうぼくって?なにそれ?』


「鳥を呼び寄せる木の事だ。まぁちょっと待て。少し集中する」


『はぁ…もうなにがなんだか』


 俺は世界樹。瘴気を浄化し、世界を調整し、生きる物、生物の中心となるモノ。世界の樹。


 瘴気は生物の根幹を乱し、本来の姿をも崩す。崩れた姿はカワイイとは言えない。美しくもない。


 さて、世界樹といっても結局は樹木だ。二酸化炭素を吸収し、酸素を出す。同じ事を瘴気に対して行えばいいだけだ。


 吸収。吸収。吸収。


『うぇ?世界樹が大きくなってる?太くなってる?急激に成長してる?なんで?どうして?』


「ふむ。思った通りに枝葉を広げる事が出来たな。これなら誘鳥木としての役割が最低限だが果たせるな。鳥類だけでなく、四足歩行する獣類がきてくれてもいいんだが」


『ねえ!樹里!何がどうしたら、こうなるの!?』


「あん?世界樹としての機能で、周囲の瘴気を吸収したんだよ。あとは、ついでに魔力やら魔素やらを吸収した。

 その結果として、急成長が出来たわけだ。もちろん、周囲に悪影響が出ないように瘴気以外は枯渇するまでは吸収していないけどな」


『なんで出来るのよ!私は前任者に教えてもらっても出来なかったのに!』


「それなら、俺が出来るように、教えてやろうか?」


『いいわ、お願い。ちょっと癪だけど、教えて』


「魔術の理論上、これが、こうなるだろ?だから、世界樹だと実際に、こうしたら、こうなるわけだ」


『え?これがこうなるの?だからって、これでこうなるの?』


「そうそう。実践したらもっと分かるだろ?やってみろ」


『でも、どうして樹里に出来るのよ。それも私よりも先に…』


「最初に言ってただろ【わたしはあなた。あなたはわたし】って。だったら、あんたに出来る事は俺にも出来る。俺に出来る事はあんたにも出来る」


『そんな屁理屈…』


「屁理屈かどうかは試してみたらいいだろ。具体的に、そうだな。瘴気を吸収して養分として変換し、世界樹を成長させてみろ。実行する権限はあるはずだからな。さあやってみろ。ユーフェルフ」


『分かったわ。って、ちょっと待って。その、ユーフェルフって何?』


「あんたの名前だ。いつまでもお前とかあんたじゃ不便だからな。勝手にだが名前をつけた。もしかして、元々の名前があったりしたのか?」


『元々の名前なんて無かったけど、どうしてユーフェルフなの?』


「ユーフェルフは、ユグドラシルからと、見た目が妖精のフェアリーみたいだからなのと、元々が森の民エルフだって事だったから、それぞれを繋げてみた。嫌だったならユグドラシルから、【ゆんゆん】とかでも…」


『ユーフェルフが気に入りました!はい。私はユーフェルフです!』


「そうか。それじゃよろしくな。ユーフェルフ」


『はい!私はユーフェルフです!』


「分かった。分かったから。それじゃ、話を戻して、実際にやってみろ。出来るはずだから」


『それじゃ、えっと…ここをこうして…これで…あれ?いままでは出来なかったのに、出来そう…やった出来た!


 うそぉ…うわ、本当に成長してる。大きくなってる。ほんのチョットだったけど。


 でも…キモチ悪い…なにこの気持ち悪いの?意識体だからいいけど、実体だったら吐いて気を失うくらいよ。これ』


「瘴気なんだから気持ち悪いのは当たり前だろ。もしかして、瘴気の吸収は初めてだったのか?」


『うん。瘴気の吸収は初めて。今までは育て役の世界樹である前任者がやってくれていて、知識として教えてくれる事はあっても、私には手伝いも何もさせてくれなかったの』


「そうか。だいじに育てられてたんだな」


『どういう事?なにもさせてくれなかったって言ったでしょ』


「それじゃ、確認なんだが、ユーフェルフは転生をする際に、どういった状態の世界樹に転生したんだ?」


『えっと、苗木の時よ』


「それじゃ、その苗木の時から、今の若木になるまでの間、瘴気の吸収を一切していなかったことになるよな。

 いくら苗木に瘴気の耐久性が無いとしても、若木になるまでに瘴気の吸収を一度もしないのはおかしいはず」


『あ…』


「その前任者とやらがユーフェルフの負担を全部肩代わりしてたんだろ」


『そんな、だって、前任者は…お母様は…』


「まあ、転生させたはいいが、適正が無かったとか、相性が悪かったとか、なんらかの理由があったから、瘴気の吸収をさせたくても、させられなかった、かもしれないんだがな。

 さすがにその時の事も前任者の事も知らないから、ただの憶測なんだけどな。ただ、ずっと守られていたのは事実だろう」


『お母様…』


「さて、話が脱線したな。で話を戻すと、成長がチョットだったのは、この辺りの瘴気が薄かったからだ。成長して世界樹が大きくなった分、吸収範囲が広がっていても、先程、この辺りを一度吸い尽くしたからな」


『どうして瘴気を吸い尽くしても、樹里は平気なのよ?』


「雑に言うと慣れだな。慣れ」


『瘴気に慣れって…さっきの記憶だと、前の世界では瘴気はなかったんでしょ?どうして慣れるのよ?』


「そりゃ前の研究所がこの瘴気よりもヒドイからだろ。研究所の暗部の事は、意識的に思い出さないようにしてるからな。なんだったらチョットだけ追体験してみるか?」


『チョットだけなら…』


※自主規制


※モザイク案件再生中


※見せられないよ


※ザーザー…砂嵐中…ザーザー


※自主規制…終了


『うっぷ…うぇ…も、もう、やめて…いやよ、なに、これ…』


「な?ヒドイだろ?」


『こんな、のが、本当に、あったの?』


「残念ながら本当にあった事だ。まあ、だから潰したんだがな」


『はぁ、もう。ヒドイ目に…ん?え?え?待って、マッテ、これで、チョット?』


「そうだ。ほんのちょびっとだな。」


『これでほんのちょびっと?樹里の世界ってなんなの?もうヤダァァァ』



◆◆◆


「この世界樹に集まった生き物が結構な数になってきたな」


『そうね。世界樹が急成長したのが昨日の事みたい』


「実際、昨日なんだが?」


『あ〜あ〜きこえな〜い』


「まぁいいんだが。世界樹の吸収によって、瘴気の空白地帯が出来て、その空白地帯を埋めるように瘴気が流れてくる。

 そして、流れてきた瘴気を吸収して空白地帯ができる。うん。我ながらいい循環を作り出したな」


『そういえば、ねえ、急に動物達が集まりだしたのって、どうしたの?瘴気を無くしたってだけじゃないんでしょ』


「そりゃ、樹皮からも甘い蜜がでるようにしたからな。…樹皮からの蜜を吸ってもらうのって、まるで授乳みたいだな。たんと吸って大きくなるんだぞ」


『もう。なに言ってるのよ。あと、樹蜜だけだと昆虫類だけしか集まらないじゃない。他にもなにかあるの?』


「そりゃあるさ。甘い香りのする、中身も甘い樹の実をたくさん実らせたからな。ぼくの実をお食べ。ってやつだ」


『最後のなによそれ。…って待って世界樹の実って、そんなたくさん実るようなのじゃないわよ?って、そう言われてよく見たらいっぱい実ってる!?いつの間に!?』


「昨日の急成長させた際に、樹の実が出来るようにもしてたからな」


『あの時の!枝葉だけじゃなかったの!?』


「そりゃ食べ物が無いと寄ってこないだろ。それに、甘い香りを風に乗せないと気付いてすらもらえないだろ」


『だからって、世界樹の実は貴重なのよ!?』


「そうだな。貴重な餌場だ」


『ちっが〜う。餌じゃない。世界樹の実なのよ!?』


「そうだな。樹の実だ」


『あぁ~もう。もう、もう。』


「どうした?牛になってるぞ」


『しくしく…』


 うん?なにか、瘴気の塊が近づいてきてるな。それも、これは吸収出来ない塊だ。なんだ、これ?


「なあ、ユーフェルフ。あの瘴気の塊って、なにか分かるか?」


『どれどれ?え〜っと…あれは…大きさから多分、ゴブリンね。瘴気に侵されて凶暴化してるわね』


「あれがゴブリンか…なんというが、雑に言うと、少しグロい感じなんだな…瘴気に侵される前の姿はどんな姿なんだ?」


『たいして変わらないわよ?』


「そう、か…思ってたのと…なんか違うな。よし、とりあえず瘴気の浄化をして凶暴化を解いてやるか」


『え?浄化?このまま攻撃して退治とかじゃなくて?凶暴化を解く?』


「ゴブリンも愛でる生き物に変わりはないだろ」


『えぇ…』


「まずは、蔦で絡め取って、動きを封じて、世界樹の根を刺し、瘴気を直接吸収して…見た目が悪いから、攻撃性が無くなるように、全体を丸いフォルムに…尖った目を、つぶらな瞳になるように…ヨダレだらけの口周りを整え…ツルツルな頭もいいが、髪の毛を生やし…真っ裸なのは論外だから、服になるようなのを、こうしてこうやって…よし。良い出来だ」


『………え?』


「見ろ。撫でたくなるような頭、ぷにぷにした顔、丸みを帯び、けれど太ってるとは感じないフォルム。ギザギザな爪も研磨したみたいにスベスベにして、攻撃性を無くしたから他の動物とも馴れ合える。我ながら素晴らしい」


『………え?』


「どうしたユーフェルフ。そんなに固まって。もしかしてゴブリンって珍しいのか?」


『ちっっが〜う!珍しいとかじゃなくて!なにやってんの?ねぇ、なにやってんの!?なにしてるの??』


「なにって。ゴブリンを愛でるために、凶暴化を解いたんじゃないか」


『凶暴化を解いたからって、あんなにはならないでしょ。なんで、見た目が、極端に、変わるのよ!』


「ゴブリンを愛でるためだ」


『あぁ、もう。もう、もう!』


「また牛になってるぞ」


『シクシク…』


◆◆◆


「もう増えなくなってきたな。どうしたら増やせるかを考えなければ」


『なに言ってるのよ。ゴブリンが増えてるじゃない。それも見た目を変えるのに、複数匹を同時になんて非常識な事してたし』


「ゴブリンが一匹だけなわけないだろ。だったら、他にもいるのは分かってたんだ。想定内なら増えた事にはならないし、複数匹を同時にするのもベースが決まってしまえば後はトレースするだけだろ。どこが非常識だよ」


『普通は、一般的にも、常識的にも、できないの!』


「いや、現にこうして出来てるじゃないか。それにユーフェルフも何も言わないで見てただけだから。こんなもんなんだろうなって」


『非常識すぎて何も言えなかったの!』


「それなら、そうと言ってくれよ。まとめてしない方がいいのなら、ゴブリンをちゃんと順番に、じっくり愛でながら変えていったのに。そうか、振り返って思うと勿体無い事をしてしまった」


『えぇ…』


「同じゴブリンと言ったって、個体差というのがあるだろ?その違うところを微調整をするのがいい事に気付いたんだよ」


『なにが違うっていうのよ』


「簡単に言うとオスとメスの違いとかもあるだろ?よし。次からはまとめてなんて勿体無い事をしないで、個体差の微調整をしないとだな。…そうだ。今居るゴブリン達を捕まえて微調整が必要なのかを確認しなければ」


『えぇ…』


 思い立ったが吉日。早速ツタを伸ばして、どのゴブリンを捕まえようかと探していると、鳥や兎に鼠といった小動物とゴブリンが戯れている。可愛い。素晴らしい。エクセレント。

 

 こんな至福な時間を壊せるのだろうか?いいや、無理。こんな時間を壊すやつは俺が壊す。カメラ!カメラはどこだ?無い!ならばスクショだ!スクショはどうしたら…出来ない?何故?くそ。慌てるな。まだ何か方法が…焦るな。まだ時間はある。そうだ。一緒に混ざって同じ時間と空間を共有したらいいんだ!よし、実体化をして…細かい調整は後回しだ!ユーフェルフ!後は任せた。いってくりゅ!


『ぽか〜ん』


 はぁ~幸せだ。世界樹としての存在定義の調整をしなかったから、そのままにした分、動物達が集まってきてくれる。近づいてきてくれる。擦り寄ってきてくれる。ハァ幸せだ。


 前世での研究所にあった動植物園だと遠目にしか眺められなくて、触りたくても逃げられていたからな。

 こんな触り放題、撫で放題な時間はなんて天国。ここはパラダイス。いい。実にイイ。

 ユーフェルフには感謝してもしきれない。この生涯を捧げようではないか。

 世界樹として、中から眺め、実体化して撫でて、永遠の至福の時間を過ごすんだ。


『ぽか〜ん』


◆◆◆


…瘴気の出処は把握した。邪神の眷属の邪竜が大元みたいだ。動かないで瘴気を出す事に集中しているみたいだな。


 ドラゴンって居たんだな。撫でたら気持ちいいんだろうか。触ってみたいな。どんな声で鳴くのかな。鳴き声が聴きたいな。


 しかし、瘴気を出すのを邪魔してはいけない。邪神の邪竜の邪魔なんて邪悪すぎる。このまま鑑賞…じゃない。観察…じゃない。監視。そう監視をしなければ。これも世界樹として立派な務めだ。


『ちょっと!樹里!』


「はい。樹里ですが。なにか?」


『なにか?じゃないわよ!樹里の考えてるのがこっちにも流れてきたのよ!なんで瘴気の出処を把握してるのよ』


「そりゃ俺が世界樹だからな。この世界の事は把握しないと」


『なんで瘴気を出すのを邪魔したら悪いってなるのよ。退治しなきゃ!』


「ちゃんと懸命に生きてるのに、攻撃して退治とか駄目だろ」


『瘴気を出してるのよ。あの瘴気を!』


「そうだな。その出してもらった瘴気を吸収して、世界樹の成長の素として貰ってるんだ。そうだ。貰ってばかりは悪いから、なにかお返しをしないと世界樹の実って食べてくれるかな?」


『なにを言ってるのよ!なんで邪竜に世界樹の実を食べさせるのよ!邪竜なのよ!』


「いや、だから、生きてるのに何も食べないのは可哀想だろ」


『ちっが〜う。そうじゃない!どこに邪竜のお世話をする奇特なヤツなんているのよ』


「ここに居るじゃないか」


『あぁ~もう、もう。もう!』


「おい煩いぞ。モーモー娘」


『シクシク…』


これ以上のエピソードは思いつかなかったので、ちょっと中途半端な感はありますが、ここまでです。

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