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第91話 これで終わりだ

「”グラビティショット”!!」


「ほぉ、岩を浮かせるか」


 周囲にあった大岩が重力魔法で浮かされ、そのまま発射される。

 

 ただの物なら魔力はない。

 魔法に強い父さんに対しては最適な魔法だ。


「だが所詮は物だ」


 ズダァン!! ズダァン!!


 父さんの遠距離魔法で全て打ち砕かれていく。

 

「まだまだ!!」


 それでも構わず、れなは連射を繰り返す。


 岩に車に戦車まで。

 ありとあらゆる物を飛ばして、父さんへと攻撃を仕掛け続けた。


「ふん」


 それらが一つも届くことはない。

 父さんの物量の方が圧倒的に上だからだ。


 この連撃すら止めるか……

 れなの策は通じなかったが、彼女は動揺したりせず、何故かニヤリと笑っていた。


「はぁっ!!」


「っ!?」


 壊れ続ける瓦礫弾の一つかられなが現れた。

 まさか弾に隠れて突撃を!?


 急接近を許してしまい、父さんも新たな武器で応戦しようとするが……


「マジックブローーーー!!!!」


「ぐぅ……!!」


 れなの拳の方が僅かに早かった。


「いった!? 槍がかすっちゃったなぁ」


「姉さんは回復する。セリア、前をお願い」


「了解!! ”超加速”!!」


 吹き飛ばされる父さんにセリアが迫る。


「今度は生半可な攻撃じゃないわよっ!!」


 ”超加速”で一気に迫って取り出したのは……緑色のポーション?


 怪しげな液体を遠慮なく父さんの周囲に投げつけるセリア。

 一体どんな効果が?


 シュワワァ……


(溶けてる?)


 地面にぶちまけたポーションが煙を吹き出しながら地面を溶かしていく。

 まさか酸性のポーション?


 溶かす煙すら危険と言われる酸を取り出す辺り、セリアもなかなかえぐい事をやり出すな。


「”ウィンドジェット”」


 が、煙は既に慣れている。

 なんて事ない顔でジェットパックを出し、上空へと飛び始めた。


 一つ誤算だったのは、その対処法をセリアに読まれた事だが。


「甘いわねっ!!」


 セリアがぶん投げた紐が父さんの足に絡みつき、共に空へと飛んでいく。


「けん玉……だよな?」


 え? まさかあれおもちゃ?


 どう見てもけん玉にしか見えない物が、父さんに絡みついている。

 こんな面白アイテムまで持ってたのか。


「これはねー、リーダーが昔ハマってたアニメから作り出した”武器”よ」


「これが武器?」


「えぇ、社長を油断させるくらいには強力な、ね?」


 よく見ると持ち手の部分に小さなボタンがある。

 セリアがそのボタンをポチッと押すと


「っ!?」


 目に見えるレベルの電撃が流れ出し、父さんの全身を襲った。


「やった♪ 作戦大成功!!」


「お、のれ……!!」


「え!? あれを喰らってまだ動けるの!?」


 銃を無造作に取り出し、セリアに向けられる。

 マズイ!! 今のセリアは空中で自由がきかない!!


 慌てて”神速”で向かおうとした時、れなが俺の肩にポンと手を置いて静止した。


「だーいじょうぶだよ。ほらっ♪」


 れなが指を指すと、天使の羽を生やした女の子が父さんに向かって急接近していた。


「ふんっ」


「っ!? どこから……!!」


 構えていたシールドを”飛翔”の勢いで父さんにぶつける。

 ”飛翔”のスピードは遅い。


 音も気配も大きいし、戦闘慣れした父さんは何故気づかないのか。


 それは真白の背中に乗っていた、もう一人の美少女(?)の潜在スキルにある。


「”遮音”か……!!」


「それだけじゃないっすよ!!」


「喰らいなさい!!」


 すれ違いざまに朝日の闇魔法が父さんの視界を奪う。

 加えてセリアが地面に叩きつけるように、けん玉を思いっきり引っ張った。


 重なり続ける攻撃の前に、父さんの身体も流石に動けず武器を出さずにそのまま急落下していく。


「この程度で……!!」


「終わりね」


「何を……!?」


 で、後は俺の出番という事。


「”遮音”は真白だけじゃないのよっ!!」


「はぁあああああああ!!」


 落ちる父さんに俺が”神速”でジャンプをして近づいた。

 身体は動かず、俺が近づける一瞬の隙。


 潜在スキルの武器生成で苦し紛れの反撃をするが、それら全ては”神速”の前では遅すぎた。


「ガハッ……!?」


 近づいた瞬間、父さんの腹部を俺の右腕が貫き、大量の血と共に奥へとめり込んでいった。


「こ、の程度で……」


「いや? これで終わらせる」


「っ何を……うっ!?」


 突如、光り輝く父さんの身体。

 

 何をされるのか父さんは察したらしいがもう遅い。

 めり込ませた右腕から無属性の魔力を放出し、


「爆ぜろ」


 大量の血肉と共に、父さんの身体が粉々にはじけ飛んだ。


「……えっぐい殺し方ね」


「これしか無かったんだよ……うえっ」


 正面から全ての魔法を無効化されるなら内側から撃てばいい。

 所詮は人間の身体だし、身体の中から魔法を放たれたらひとたまりもない。

  

 これが俺の秘策。


 正直グロすぎて気持ち悪くなりそうだけど。


「っと、ごめんな、こんな体でキャッチして」


「大怪我よりはマシよ。真白がリフレッシュしてくれるだろうし」


「ん、任せて」


「これで一件落着っすね!!」


 落下するセリアを俺が受け止めたことで、彼女まで血まみれになってしまった。

 許してくれたけど、ちょっと申し訳ない。


「ダーリン!! みんなー!! お疲れ様!!」


 元凶は滅ぼした。

 まーだやることは多いけど、とりあえず一安心。


 これで”音梨家”の呪いともオサラバ、かな?


(全部終わったら寝たい……)


 ここのところ気を張り過ぎたからか、安心して眠たくなってきた。

 全部終わったらベットに直行しよう。


 ケイゼルとの長い戦いも、今日で最後。


 はぁ……本当によかった。


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