表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/90

第83話 新たなヒロイン(?)

「な、なんでリーダーがここに!?」


「ケイゼルと実験部隊がまた馬鹿な事をやり始めたからだ。それに、セリアくんと朝日くんを痛めつけた礼はしっかりしないと……なぁ?」


 目が笑っていない。

 これは相当頭にキているな。

 

 リーダーからして見れば、大事な部下を一方的に苦しめられたのだから、怒って当然だ。


「というかよくここに魔素爆弾があるって分かりましたね」


「連中の動きは常に警戒していた。この辺りは出入りも激しかったし潜入して正解だったよ」


「終わったら二人に電話してあげてくださいね?」


「うむ!!」


 極秘で動いてたから連絡が取れなかったんだろうな。

 無事帰れたら真っ先に二人に報告しないと。


「まぁ、ヤツらが変な事をしだすのは昔から変わらないよ」


 昔から? 言い方に妙な引っ掛かりがある。 


「……何か知ってるんですか?」


「知ってるも何も、私は元実験部隊だ」


「え!?」


 リーダーが元実験部隊!?

 いや、思い返せばそれっぽい部分はあった。


 リーダーの妙な圧とか、兄貴に対する強気な態度。

 それに実験部隊を警戒していたという発言やこのSSランクダンジョンの監視を突破する能力など、リーダーは異様にハイスペックだ。


 またすげぇ人と一緒にいるなぁ俺……


「昔はエリートなんて言われてクソ真面目にやってたよ。だけど、ある日暇つぶしに見たドッキリ番組が面白くてな……」


「それで宣伝部を?」


「うむ!! クソ真面目に任務をこなすより、クソ真面目に人を楽しませた方が良いじゃないか。まあ、本当は辞めるつもりだったが上から圧力をかけられてな?」


 で、宣伝部を作ったと。  


「さて、ここの監視網を突破する方法だが……」 


「監視が多いですね」


 俺達が行こうとしている建物は人の出入りが多く、なかなか近づけない。

 正面突破しようとしても時間はかかるだろうし、どうしたものかな。


「そこで私は一つ作戦を考えた!! まずはその為に着替えを……」 


「っ!? ちょ、な、なんでここで!?」


 摩耶さんが急に自分の服を脱ぎ始めたので、俺は慌てて後ろを向いた。 

 なんで俺の周りは露出に抵抗のない人ばっかなんだよ!!

  

「ん? 私の貧相な身体で興奮するのか?」


「おたくの男の娘に俺は超興奮しましたよ」


「ハッハッハ!! 朝日くんも素敵な相手に出会えて何よりだな!!」


 貧乳だろうが巨乳だろうが、好きな相手なら興奮するんだよ。

 まあ朝日と出会うまで、男に興奮するとは思わなかったけど。


「おお、そうだ。無名くんの分もあるぞ」


「ん?」


 そう言って服のセットを手渡される。


 えーと?

 

 丈が短めの白いキャミソールに革ジャン。

 ミニタイトスカートとニーソにハイサイブーツ。


 キャミソール以外は黒らしい。

 

 後はカラフルなエクステに胸パッド、ピンク色のレディースブラとショーツ……



  



 えっ女装するの? 


「……これを着るんですか?」


「作戦の為だ。それにメイク等は私がするから安心したまえ!!」


「下着も?」


「見られない所までこだわるのが大事なのだよ?」


「拒否という選択肢は無いのね……」


 俺が女装かぁ。

 朝日から「しないんすか?」とたまーに言われてたけど、遂にこの日が。


 なんだろう。着たくないというより、似合わなさ過ぎて事故を生みそうなのが嫌だ。

 ただ作戦の為だし、リーダーも色々準備してくれたからなぁ。


「よし……」 


 覚悟を決めて俺も着替え始める。

 途中、ブラやエクステの付け方をリーダーに教わりつつ、ぎこちない動きでなんとか服を着ていく。 

 

 そしてリーダーにメイクしてもらったのだが……あまり時間がかからなかった。

 意外と似合っていたからナチュラルメイクで済ませてみた、とリーダーは言うが果たして。


 手鏡を渡されたので、俺は自分の全身を遠目で眺める。


「……誰?」


 クール系の美少女だ!! 

 なんで!?


 レディースの服装だが、黒をベースにしたかっこいい系で揃えており、男性らしい体格がむしろメリットに昇格されている。

 元々身長も高く童顔って感じでもなかったので、かっこいい系の女装とはかなり相性がいいみたいだ。


 あまりにも似合いすぎて、自分でも見とれてしまう。


「無名くんの顔立ちはいい方だし、こーいう路線の女装はかなり似合うと思っていたんだ。可愛い系の朝日くんとは違った感じでいいだろう?」


「女装に目覚める人の気持ちがわかったような気がします……ていうか、リーダーも随分印象変わりましたね」


「ふっふっふっ!! テーマは外国の幼女だ!!」


 対するリーダーは茶色の髪を金髪のウィッグで覆い、目に青いカラコンを入れていた。

 服装も普段よりやや幼めの物を着ており、パッと見で小学生に間違えられてもおかしくないと思う。


「私は可愛い系で無名くんはかっこいい系、確実にヤツらには刺さるだろう!!」


「ああ、女の子の格好で油断させようっていう」


「そういう事だ!! あ、かっこいいだけだと可哀想だから下着は可愛くしておいたぞ?」


「いらない配慮をありがとうございます……」 


 勢いで履いちゃったけど、レディースの下着って凄い心もとないな……

 タイトスカートだからヒラヒラした感じがなくてまだマシだけど、下がスースーするし普段の服よりお尻のラインが出て少し恥ずかしい。


 と、リーダーが俺に近づいてパシャリと自撮りをし始めた。


「どこに送るんです?」


「ん? 宣伝部のグループSNSだ。というかもう送った」


「はぁ!?」

  

 パッと画面を見れば「金髪幼女とかっこかわいい”無名ちゃん”、ここに参上!!」と写真付きで投稿されていた。


 宣伝部って事は確かセリアと朝日も見ているよな?

 て事は……


 ピコン!!

 ピコン!!


『えっ!! ダーリンめっちゃ可愛くない!? 後でもっかいやって!! byれな』


『↑って言ってたわよ。ていうかにぃに凄く似合うわね……今度からねぇねって呼んでもいい? byセリア』


『パパがママになった? でも、これはこれで好き。凄くキュンとした。 by真白』


『まっしー凄く照れてたっすよ〜!! 後、パイセンといつか女装デートとかしたいっす。 by朝日』


 あーあ、家族全員に見られちゃったよ。

 宣伝部を二つのチームに分けたから、グループSNSに入っていないれなと真白にも見られちゃったし。


 内心バックバクで凄く恥ずかしい。


 きっと帰ってきたらこの件で色々詰められるんだろうなぁ。


「大好評でよかったじゃないか。あ、服装やメイクのコツも後で送るよ」


「……助かります」


 ここに来る時より疲れたかもしれない。

 とはいえ、まずは作戦だ。


 別に遊びで女装した訳じゃないんだからな。


 ……まぁ、少し楽しかったけど。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ