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第80話 謎のUSBメモリー

「真白は大丈夫か?」


「色々悩んだけど、家族で乗り越えるって決めた」


「そっか」


 ぽんぽんと頭を撫でる。

 家族という居場所が、二人にとって辛い真実を乗り越えさせてくれた。

 

 勿論、救われているのは俺もだ。


「さて、ケイゼルをぶっ潰す為にも作戦を……」


 心がスッキリし、みんなと一緒に摩耶さんの所へ戻ろうとした時だった。


「貴方が無名ね……」


「ん?」


 白いワンピースの女性が突然、木影から現れた。

 

「にぃにの知り合い?」


「いや、でも懐かしい感じが……?」


 目元が黒い前髪に隠れていて、顔が分からない。

 だけど前にも会ったことがある気がする。

 

 こんな人と知り合いのハズがないんだけどな……


「貴方にも信頼できる人達が出来たのね……よかった」


「あの、どちら様ですか?」


「……今更、貴方に名乗る事は許されないわ。けど」


 小さいカバンから何かを取り出すと、俺の方へと放り投げた。

 突然の事に慌てつつ、何とか投げられた物をキャッチする。


「和也の暴走を、無名なら止められるかもしれない」


 渡されたのは何の変哲もないUSBメモリー。

 容量は16GB。

 家電量販店や100均でも買えそうな物。


 何が入ってるんだ?

 そしてこの人は何故、父さんを下の名前で呼んだ?


「私に出来ることはここまでよ、元気でね」


「あっ」


 色々聞きたい事があったのに、ワンピースの女性は無視してどこかへ去ってしまった。


「もう少しだけ話したかったな……」


 別にUSBの事だけじゃない。

 たわいのない日常会話でもいいから、もっとあの人との時間が欲しいと思っていた。


 好きになったから、というのじゃない。


 むしろそれとは別の愛のような……

 ダメだ、考えても分からない。


 とりあえずこのUSB含めて、摩耶さんの所で話し合いをしよう。


――――――


「ただいま帰りました」


「おう。気持ちの整理はついたか、無名よ」


「みんながいてくれたので」


「ふっ、そうか」


 安心した顔で迎えてくれた摩耶さん。

 全く世話がかかるのう、と小言を挟みつつも声が嬉しそうなのは言わないでおこう。


「さて、ケイゼルのせいで武器やアイテムの製造業者はかなり苦行に立たされておる。今回の件、流石のわらわも見過ごしてはおけん」


「おお!! 摩耶さんがいてくれるのは頼もしいです!!」


「わらわを過大評価しすぎじゃ。ブランクはあるし、あのレギオンとかいう兵器が相手じゃ流石に勝てん」


「まーさんもあくまで人間、ということ?」


「今も昔も人間じゃ!!」


 闇配信者と戦って一番ピンピンしてたの摩耶さんだったような。


「だったら勝てる戦いから始めましょう。まずは魔素爆弾を探す所からじゃないかしら?」


「さっすがセリちゃん。あーしもそれは考えてたんすけど……問題が一つ」


「なんだ?」


「肝心の魔素爆弾がある場所がわかんないんすよねぇ」


 朝日が申し訳なさそうにつぶやく。


「あれ? 朝日ちゃんさっき設置場所に付いて色々言ってなかった?」


「あれは設置候補の場所なんすよ。全部に設置なんて日本を中を敵に回したケイゼルに時間がなさすぎるっす」


「て、言う事は?」


「まずは設置場所を見つける」


 だよなぁ。

 場所が分かんないんじゃ止める事も出来ないし。

 

 朝日いわく

 「候補が膨大すぎて絞り込むのが不可能」らしい。

 つまり、絞り込む為のヒントが必要なんだが……

 

 そんなもんが落ちてたら苦労はしないんですよねー


「ん?」


 ふと、ポケットに入れていた物を取り出す。

 謎の女性から貰ったUSBメモリー。

 

 中身がなんなのか全く教えてくれなかったけど、もしかして……?

 いやいや、偶然がすぎるだろ。


「そのUSB、あーしも気になってたんすよねぇ。使っていいっすか?」


「別にいいが、ウイルスだったらどうするんだ?」  


「そういう時はサブノートPCくんの登場っす〜♪」

 

「用意周到だなぁ……」


 カバンからもう一つのノートPCを取り出し、俺のUSBを差し込んだ。

 すると二つのファイルが表示される。


 ・ボム

 ・メモリー


 これだけ?

 やっぱり普通のUSBじゃん。


「この中だとボムが気になるっすねぇ……ポチっとな」


 と、朝日がボムのexeファイルをクリックした。


「お?」


 すると何かのプログラムが起動し、いくつものアプリを自動的にインストールし始めた。

 

「やっぱりウイルスなのかしら?」

 

「んんー、ウィンドウは怪しげっすけどそれ以外は普通なんすよねぇ」


「とりあえず待つしかない」


「だな」


 サブのノートPCだからかインストールは比較的遅めで、全てが終わるまで雑談をする事に。

 話してる最中、摩耶さんもお茶とお菓子を奥から持ってくれたのだが、これが意外と美味しかった。


 れなが「おばあちゃんらしくなってきたね」と言ったせいで摩耶さんガチめにキレたけど。


「んふー、ダーリン甘やかしてー」


「言われなくてもやるよ。てか、さっきのはれなが悪いんだからな?」


「はーい」


 被害者ヅラをしたれなが全身で俺に抱きついて来たで、抱きしめ返す。

 彼女の中だとれなは一番大きいからか、こうすると包まれるような感じがして幸せだ。


 更にれなとのスキンシップには、もう一つオマケがある。 


「くふふ……♡」


 こっそり俺の手を掴み、豊満な胸と俺の身体の間に挟まるように持っていく。

 れなは俺から色々触られるのが好きらしく、これセクハラじゃないの? って所まで求めてくれる。


 勿論、俺としては大歓迎だし今もむにむにと柔らかい脂肪を味わえてあぁ幸せ…… 


「あ、パイセンがれなちの胸揉んでる」  


 やっべ、バレた。


「パパは姉さんの身体好きだから仕方ない」


「ちょっと!! こんな所で何してるのよ!!」

 

 特にセリアから色々詰められてしまう。

 まあ場所が場所だし仕方ないね。


 一応平謝りしつつ、裏でれなのお尻を触っているとそれもすぐにバレて更にキレられる。

 

 世間は深刻だって言うのに、俺たちは相変わらずみたいだ。 

 

 ピコン!!


「あ、終わったっすね」


 どうやらインストールが完了したらしい。

 騒がしい話を中断し、全員がパソコンの画面へ再び注目すると


「「「「「え!?」」」」」 


 ”魔素爆弾の設置ポイント”!?

 全員がその内容に驚いた。


「これは予想外の情報が入ってたっすね……」


「あぁ……」


 あの人は一体何者なんだ……?


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