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無自覚で【無属性】持ちの俺は最強みたいです~外れスキルを3年間鍛え続けていたら、ダンジョン配信中の亜人姉妹に襲い掛かるS級モンスターを偶然倒してしまいました~  作者: 早乙女らいか
第二章・因縁とは突然に

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第79話 運命とは

『ケイゼルインダストリーの暴走・止めるものはいないのか?』


『ケイゼル社長の宣戦布告、”素晴らしいプロモーションだった”』


『現代の悪魔、音梨家に迫る』


 悲惨な末路をたどった記者会見後、ネット上に多くの記事があがる。

 どれもが不安を煽るものばかり。

 インターネット上での激論も合わさり、トレンドのほとんどをケイゼル関連の話題で埋めつくしていた。


「俺の批判もある、か」


 今までの行動は偽善だった?

 ダンジョンブレイクも事前に知っていたのでは?

 プロモーションの中心人物は音梨無名なのか?


 デマが次々と流され、目に入る度に頭が痛くなる。

 否定するのは簡単だし何度だって言ってやる。


 ただこれらの噂を”音梨家の人間”であるという事実が信ぴょう性を与えてしまった。


(けど、れな達を苦しめたのは俺の家だ)


 近くのベンチに座り、うつむいて考え込む。

 自分の親族が家族を苦しめたという事実。


 それが俺一人に重くのしかかる。


 正直に言えば、音梨家とはもう関わりたくない。

 俺は全てを救うヒーローでもないし、そこまで大きい存在じゃないから。

 

 だけどこのまま音梨家を放置したら?


 戦いを繰り返し、

 罪のない一般人が傷つけられ、

 ヤツらの思い通りの世界が出来上がってしまう。


 そうなった時、被害に合うのは俺だけじゃない。

 俺の居場所であり、俺の大事な家族みんなだ。


 ヤツらがいる限り、俺の居場所は奪われ続ける一方だ。


「だーれだっ」


「んぉ……れなか」


「当たり〜♪」


 突如、頭に当たる豊満な胸と共に目元が何かに隠された。


「どうしたんだ、皆と一緒にいたんだろ?」


「んー、アタシも外で色々考えたかったの。で、ダーリンがいたから来てみた!!」


「……そっか」


 暗い心の中に光が差し込む。

 彼女の笑顔というのは、あらゆる不安や悩みを浄化してくれる。


「アタシはね、音梨家の事を許せないって思う。ダンジョンブレイクもそうだし、アタシ達の両親が亡くなった原因も作ったから」


 いつものような軽い話し方の中に、怒りが込められている。


 当然だ。

 音梨家のせいで家族みんなが傷ついたのだから。

 

「でもダーリンは違う。ダーリンは何かを奪おうとするじゃなくて、大事なものを守ろうとしてくれた」


「れな……」


「自分が音梨の人間だからって色々抱え込んじゃってるでしょ? 仕方ないよ、自分の親が悪い事いっぱいしてるんだから」


「……」


 俺の心に寄り添ってくる。

 その優しさは強がっていた俺の心を少しづつ溶かしていき、


「俺も参ってるよ。色んなデマを書かれて、犯罪者の息子になって……」


 つい、弱音を吐き出してしまう。 


「れな達に迷惑がかかるんだって……」


 心の傷ついた彼女達に話す事では無いと思う。

 むしろ、頼りがいのある姿を見せて安心させた方がいいのに。

  

「迷惑なんか、これっぽちも思ってないよ」


「え?」


 それでも、彼女は俺を笑って受け止めてくれた。


「だってアタシ達は、どんな事があってもダーリンと一緒にいたいから」


 嘘まみれのケイゼルや実験部隊とは違う。

 真っ直ぐ、心の底から本心を話してくれる。


「ダーリンはどうしたい?」


 もう結論は出ていた。


 家族を巻き込んでしまうと思い、一人で全て終わらせようとしていたが違う。

 俺一人が犠牲になるような真似を彼女達は絶対に許さない。


「ケイゼルをぶっ潰そう」


 だから一緒に立ち向かう。

 俺も家族みんなを信頼しているから。


「全て終わらせるんだ。奪われ続ける生活も、音梨という呪われた家との運命も」

 

 これが俺の答えだ。


「ん!! ダーリンらしくなってきた!!」


「おうっ!?」

 

 ぴょーんと飛びつかれ、れなに乗っかられる形で地面に倒れ込む。

 相変わらず犬みたいな甘え方だなぁ……こういう所も好きだけどさ。


「あっ!! れなちとパイセンがイチャイチャしてるっす!!」


「ちょっと!! 外でナニしてるのよ!!」


「真白も仲間にいれて」


「皆……」


 どうやら心配して来てくれたらしい。

 家族皆が俺の周りに集まり、いつも通りわちゃわちゃした話が始まる。


「あのさ」


 俺の方に彼女達が視線が集まる。


「いつも、本当にありがとう」


 大した事は言っていない。

 日頃から伝えている感謝を改めて言っただけ。


「「「「どういたしまして!!」」」」


 それでも、彼女達は元気に返してくれた。

 

 この幸せな日常をケイゼルには絶対潰させない。

 心の中で強く決心する。


 抱えていた闇は、いつの間にか消え去っていた。


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