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無自覚で【無属性】持ちの俺は最強みたいです~外れスキルを3年間鍛え続けていたら、ダンジョン配信中の亜人姉妹に襲い掛かるS級モンスターを偶然倒してしまいました~  作者: 早乙女らいか
第二章・因縁とは突然に

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第67話 謎の訪問者

「荷物運びはスムーズに終わった。写真の男が愛想良く対応してくれて、ちゃんとハンコも押したから普通の配達業なんだって安心したの」


「まあ、こいつが出てきて違和感は感じないよな」


 人相で全てが決まるとは言わないが、第一印象は大事だ。

 恐らくこいつは闇配信者の中で、外部との取引をメインに行っているんだろう。

 

 段々怖くなってきたな。


「で、仕事が終わったウチは周辺のご飯でも食べようとウロウロしてたの。そしたら迷子になって、気づけばにぃに達の所に」


「アタシ達のとこに来た時って配達終わりだったんだ」


 何か仕事をしていた、とは言ってたが例の配達業だったのか。 


「え、じゃあ今回のダンジョンブレイクが起きたのも、関係のない人達が辛い思いをしたのも、全部ウチが……ウチが……」


 地面に膝をつき、頭を抱えながら涙を流すセリア。

 身体はさっきよりも震えを増しており、ひたすらに「ごめんなさい」と謝り続ける。


「セリア!!」


「っ!?」


 だけどセリアが全て悪い訳じゃない。

 ガシッと肩を掴み、俺を見ろと強く呼びかけて自分の中に閉じこもるセリアをこちら側へと引き戻す。


「セリアは利用されただけだ。会社の命令、ボーナス、断る理由なんて一つもない」


「でも!! ウチが察知出来てればこんな事!!」


「直接やったのはケイゼルと闇配信者っすよ。ただの荷物運びが事件に関わるなんて誰が分かるんすか?」


「そーだよ!! セリアちゃんを巻き込むなんて最低!!」


「真白も同じ。社員を利用して隠そうとしてるし」


「みんな……」


 皆の励ましに少しづつ表情に余裕が生まれてくる。

 この場でセリアを攻めるヤツなんて一人もいない。


 誰もが巻き込まれたと信じ、誰もが巻き込んだケイゼルが悪いと思っている。

 実際、多少怪しくても美味しい仕事なら乗っかってしまうのが人間というものだ。

 

 もしセリアがダンジョンブレイクに関わる荷物を運んでいると分かっていれば、すぐにでも対処する。

 セリアの優しさを知っているから、皆セリアの事を信じられるんだ。

 

(そういえば”アレ”も……)


 闇配信者関係でふと思い出した例のパワードスーツ。

 遥斗が使っていたヤツだが、確か”爆天”だっけ?

 

 性能面は凄まじいの一言に尽きるが、よーく考えれば入手経路は謎に包まれていた。

 あの時は戦いに集中してたから考える余裕もなかったけど、ただの闇配信者があそこまで高性能な兵器を持つ事が出来るのか?


 もしもの可能性が確信に変わっていく。

 レギオンを生み出したケイゼルなら、あのレベルのパワードスーツを作っていてもおかしくない。

 

 ケイゼルと闇配信者の関係は、だいぶ前からあった可能性が……


 ピンポーン


「ん?」


「誰だろ、荷物は頼んでないのに」


 はーい、と呼びかけながらモニターの映像を確認する。

 スーツに身を包んだ若い男だ。

 来客にしてはかっちりしすぎてる気がするけど。


「どちら様ですか?」


「招待状を届けに来ました」


「招待状?」


 身に覚えがない。

 後ろを向いて全員に確認をするしたけど、みんな首を横に振っているし。

 ますます怪しいな……


「おかしいですね? 確かにここへ招待状を届ける約束があったのですが」


 そうは言われても知らないものは知らないとしか言えない。

 このまま放置して帰るのを待った方がいいな。

 この家はオートロックだし、そうそう侵入される事は……


「なんででしょう……ねぇ?」


「っ!!」


 カメラ越しに映る、ギロリと殺意のこもった目付きに思わず寒気を感じる。


 本当にただの配達員か!?

 かなり手練の雰囲気を出しており、警戒心が強くなる俺に対してスーツの男は何事も無かったかのように表情を戻していた。


 ケイゼル側の人間か? 


「……すぐ向かうので少々お待ちを」


 ボタンを押してカメラを閉じる。

 俺はハンコを持ち懐に短剣を忍ばせて下に降りる準備を整えた。

 靴は勿論、”神速”が付与されているものだ。


 誰かは分からないが怪しい事は確実。

 最悪、実力行使になったとしても、少しでも話を聞き出したい。 


 素手で勝てる相手かは分からないが、用心しておくに越したことはないだろ。


「ダーリン、大丈夫?」


「少し話をしてくるだけだ。れな達は固まって戦闘態勢に入ってくれ。何かが起きてる」


「ん、分かった」


 れな達は戦闘用の武器やアイテムを取り出し、ドアや窓に向かってソファやクッションを固めて遮蔽物を作り始めた。

 かなりメンタルに来ていたセリアも暗い顔だが、何とか動いている。


 本当はずっとそばにいてやりたいが、少しの間だけ我慢してくれ。


 ガチャリと扉を閉めて、中央にあるエレベーターから下に降りていく。


「お待たせしました」


「いえ、わざわざ下までありがとうございます」


 エントランスホールから玄関へ向かう俺をお辞儀で迎え入れるスーツの男。

 俺は自動ドアが感知する位置より、少しだけ下がった場所で止まった。


「エントランスには入らないでください、彼女達が怖がっているので」


「分かりました」


 侵入されたら何をされるか分かったものじゃないからな。

 俺は警戒心を強めながら扉を開き、スーツの男に目配せして外へと誘導した。


 本音を言えばスムーズに終わって欲しい。

 が、セリアの件と例の殺意を知った感じ、何かしら揉めそうなんだよなあ。


 いつか、平和に事が済む日はこないのかね。

 

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