第61話 モンスターの軍勢
こっちの投稿忘れてたあああああああ
本当にすみません……
「モンスターが来たぞおおおおお!!」
「「「「「っ!!」」」」」
声の方向を向くと、既にモンスターの一部が外へと広がっていた。
まだ現れたばかりか、一部は前線の探索者達によって既に討伐されており、倒し損ねたモンスターがこちら側へと向かっていく。
「「「グオオオオオオオッ!!」」」
ハイオークの軍勢が勢いよく進軍してくる。
俺は魔力を集中させ、手元に無属性の刃を作りだした。
その刃を前方へと向かって思いっきり投げる。
「”操剣”」
スバババババッ!! と肉の切れる音と共にオーク達の首が次々切り落とされていく。
”跳剣”の切れ味を残し、”操演”の操れる能力を足した新たな無属性を俺は”創造”した。
狭いダンジョン内と違って、外は広くて遮蔽物が少ないからな。
跳ね返ることが強みの”跳剣”を少しだけいじらせてもらった。
「ハイオークの軍勢を一瞬で!?」
「あれがウワサの音梨無名か……」
俺の戦う姿に興味を持った探索者達がこぞって集まってくる。
人がいてくれるのは嬉しいことだけど、ずっと見られていると集中できないんですが。
「第二陣来るよ!! ”ウィンドガトリング”!!」
「ああもう!! スリップオイルでも喰らいなさい!!」
更に押し寄せる軍勢に対し、れなとセリアが迎え撃つ。
れなが連射系の魔法でハイオーク達に攻撃を浴びせ続け、撃ち漏らした穴をセリアお手製の滑りやすいオイルで足止めする。
たった二人を前に、ハイオークたちは足を止めざるを得ない。
いつの間にこんなコンビネーションを。
この二人、意外と相性が良かったりするのか?
「ないすセリアちゃ~ん♪ もみもみ♡」
「やあああああ!? こ、ここここんな時何してんのよ!!」
「戦いばっかじゃ疲れちゃうでしょ? 癒しと休息も必要なーの♡」
「そんなの自分で解決しなさいよおおおおおお!!」
……相変わらずだなぁ、あの二人。
「”ダークアウト”」
「”シールドブレス”」
「「グォオオ!?」」
「ないすっすー♪」
「いえい」
と、横を見ればセリアと真白が完璧な連携でモンスターを次々倒していた。
仲の良さもそうだけど、四人それぞれ攻撃とサポートにうまく分かれていて物凄く隙が少ない。
「はぁ!!」
モンスターの数もさっきからあまり増えていないし、五人で何とか対処できている。
このまま行けば、と少し楽観視していたが
ダンジョンブレイクはそんなに甘いもんじゃない。
ドカァアアアアアアアン!!
「「「「オオオオオオオオオオオオ!!」」」」
「ッ!?」
教会の入り口を破壊してモンスターの軍勢が一気に現れた。
ゴブリン系、スライム系、ガーゴイル系、ゾンビ系……
様々な特性を持つモンスター達の猛攻に探索者たちは耐え切れず、徐々に後方へと追いやられてしまう。
マズいな、モンスター達が街に広がっている。
ここは”無砲天撃”で奴らを一掃して……
(いや、ダメだ!!)
”無砲天撃”を使おうと集めた魔力を引っ込め、俺は”操剣”を”複製”することで軍勢への対処を試みた。
確かに”無砲天撃”は強力だ。
だけど今使おうとしている街中では周りに人が多すぎる。
倒すべき存在だけじゃなく、守らないといけない者がいる状況で、広範囲に凄まじい被害をもたらす”無砲天撃”は使えない。
高すぎる火力っていうのも案外弱点があるんだなぁ……くそっ。
「”影竜召喚”」
そういえば、と俺は今まで使っていなかった【竜影剣】の召喚魔法を使用した。
前方に出現した魔法陣から全身が真っ黒の竜が四体も現れる。
影竜は目の前に広がるモンスターを視認すると、一斉に飛び掛かって攻撃を始めた。
主な攻撃は噛みつきや爪、突進による近接系か。
思わぬ援軍に心強さを感じていたが、まだ足りない。
モンスターの数があまりにも多すぎる。
「グギャアアア!!」
「おらぁ!!」
”操剣”で次々切り裂き、影竜が次々相手をしていくも、モンスターを倒す数よりモンスターが現れる数の方が多い。
自分の周りに迫るモンスターなら、近接攻撃で対処はできる。
だけど限界だってもちろんある。
「やっば!! 多すぎだよ!?」
「火炎瓶もうないの!? もう少し作っておけば!!」
「徐々に押し込まれるっすねー」
「朝日は後ろに隠れて援護。防御は真白がやる」
いつの間にか四人一緒で固まって対処していたが、それでも押され気味だ。
倒す事は出来ても、数の暴力に追いつけない。
やっぱり”無砲天撃”を使いたい。
被害を抑えて、”無砲天撃”の一掃能力を出す方法。
どうすればいい……?
「ッ!!」
ふと、頭に浮かんだ一つのアイデア。
これだ、これならいけるかもしれない!!
「”無砲天撃”!!」
俺は”無砲天撃”を空中に向かって放った。
無属性の塊が空中に向かって飛んでいき、爆発はせずに空中で留まる。
まるで空を漂う雲のように。
しばらくしてから爆発、ではなく空中で魔力の塊として設置できるように俺が調整した。
こういう時に魔法を創造出来る潜在スキルは本当に便利だ。
で、ここから影竜召喚もカスタムして、
「”影竜召喚”と”エアストブラスト”を組み合わせる」
召喚魔法は対象外か? と勝手に思っていたが出来てしまった。
創造魔法の万能さに驚いてしまうが、早速新しい影竜を召喚してみることに。
「”影竜召喚・飛翔”」
今度は翼の生えた影竜が召喚された。
なんで翼? と疑問に思ったが深くは考えないことにする。
影竜が先程より凄まじい速さでモンスターの元へと飛んでいき、俺のとある技を発動させた。
「パパの召喚獣が”エアストブラスト”を使ってる」
「ひええ、なんでもありっすねぇ」
影竜達はモンスター達の足元に潜り込むように移動し、”エアストブラスト”を使ってモンスター達を天空へと次々撃ち上げる。
撃ち上げられると、どうなるか?
空中に漂う”無砲天撃”がモンスター達を掃除機のようにモンスター立ちを吸い込み始め、”無砲天撃”に辿り着いた瞬間、身体をグチャグチャに潰してしまうのだ。
よし、上手くいった。
後は更に一掃するスピードをあげるだけ!!
「俺やれなであいつらを撃ち上げるから、皆は援護してくれ!!」
「「「了解」」」
「いくよ、ダーリン♪」
れなの風魔法と俺の”エアストブラスト”をまとわせた拳や蹴りで次々とモンスター達を天空にあげていく。
途中から他の探索者も俺達の意図を理解したのか、モンスター達の撃ち上げに協力してくれる。
かなりキツイ場面ではあったが、機転を利かせた事によりモンスターの数をなんとか最初の頃にまで戻すことが出来た。
しかし、脅威はこれだけでは終わない。
「うわあああああああああ!?」
今度はなんだ!? と声の方向へ振り返る。
そこにいたのは影をまとった騎士の姿。
一体だけじゃない。
二、三、四、どんどん増えていく。
まさかこいつが出てくるのか……!!
「uuuuuuu!!」
「影の騎士!!」
少し懐かしい相手を前に、思わず苦笑いを浮かべてしまう。




