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無自覚で【無属性】持ちの俺は最強みたいです~外れスキルを3年間鍛え続けていたら、ダンジョン配信中の亜人姉妹に襲い掛かるS級モンスターを偶然倒してしまいました~  作者: 早乙女らいか
第二章・因縁とは突然に

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第55話 セリア視点・求める家族とは

「ふぅ……」


 静けさが残る早朝。

 どこかスッキリしたい気分だったウチは、こっそり家を抜け出して散歩をしていた。

 六時という早い時間でも道にはそれなりの人が歩いており、ウチはその様子を眺めながら空を見上げていた。


(……家族、か)


 幼い頃から憧れ続けた、家族という存在。

 生まれて間もなく両親を失い、家族の愛というものを知らないウチは家族というものを心の底から欲した。

 

 無名の事をにぃにと呼び続けているのも、ごっこ遊びでもいいから家族の温もりを味わいたかったのだろう。


「あはは!! いくよレミー!!」


「もぉ、朝から元気ねぇ……」


 こんな朝早い時間だというのに、母と娘が犬の散歩をしている。

 娘がほぼ同じサイズの犬と一緒に歩き、リードまで持って楽しそうに歩いていた。

 無邪気に歩き回る娘に対し母親の方は眠そうにしていて、時々あくびをしながら追いかけている。


 ただ、母親は元気そうな娘を見て、微笑ましそうに見守っていて……羨ましい。


「……帰ろ」


 今から帰れば朝ごはんには余裕で間に合う。 

 というか今日はみんな休みの筈だし、もっと寝ているかもしれない。

 

 余分に寝るのはいいけど、寝過ぎというのも余りよろしくない。

 早めに帰って、色々準備をしておかなくちゃ。


 幸せな家族の姿という、いいものも見れたしね。

 

ーーーーーーーー


「あ、お帰り」


「ただいま……ってもう起きてたの?」


 家に帰ると、にぃにがソファでコーヒーを飲みながらくつろいでいた。

 なんでも深夜に起きてしまったらしく、寝たはいいもののウチが帰る少し前に再び目を覚ましてしまったのだとか。

 

 その時、朝日も起きていて、少し話した後に眠ったらしい。

 通りで、にぃにと朝日の寝ている位置が近かったわけだ。


「セリアもコーヒー淹れようか?」


「ウチはお気に入りのヤツがあるから……よっと」


「っ!?」


 ウチがどこからともなくコーヒー粉の入った容器を取り出すと、にぃにが二度見をする程驚いた。

 あぁ……そういえばウチの潜在スキルの話、してなかったわね。


「ウチは【荷物整理】っていう潜在スキルなの。カバンに入れた物を瞬時に取り出せるから……ほら」


「おお……」


 コップ、ハンカチ、携帯食品、パソコン。

 あらゆるものを手の上で出し入れし続ける。


【荷物整理】はサポート特化の潜在スキルだ。


 自分の使うカバンをスキルで登録し、その中にある者を手元に瞬時に取り出せる。

 登録できるカバンは一つだし、異空間収納ボックスよりも容量に制限はあるが、取り出しの早さではこちらの方が圧倒的だ。


 異空間収納ボックスは異空間を出し、その中に手を入れて、最低でも二~三秒取り出したい物を考え続けないと物を取り出せない。

 平時ならともかく、戦闘時に二~三秒のロスはあまりにも大きすぎる。

 

 一方で【荷物整理】で取り出す速度は僅か0.2秒。ほぼ一瞬だ。

 最初は0.5秒ほどだったが、訓練したおかげで今はかなりの速度で取り出せるようになった。

 

 まぁ色んな物が使いたいからという理由で、ウチのカバンは物凄く大きくなっちゃったんだけどね……


「手品みたいだな。一瞬、簡易的な異空間収納ボックスかと思ったが……戦闘時では【荷物整理】の方が優れているな」


「ま、ウチみたいな潜在スキル持ちはあんまりダンジョンに潜らないと思うけど。そこは亜人の身体能力と経験でなんとかって感じかしら」


 こういう動きとかも出来そうだ、等と朝なのにウチのスキルを活かした戦い方を考えるにぃに。

 真白も言ってたけど、にぃにって本当にダンジョンが好きなのね……


 まぁ第二の居場所って言ってたし、当然と言えば当然か。


「何か欲しいものでもある? 今なら何でも……あっ」


 ふと頭に浮かんでしまった物を手元に取り出してしまった。

 

 【荷物整理】にはもう一つ弱点がある……って弱点という程でもないが。

 それは取り出しが早すぎて、頭の中に割り込んだものでもたまーに取り出してしまう。


 で、今回手元に出してしまったのが。


「……首輪?」


 赤くてそれなりの大きさがある、犬の首輪。

 ご丁寧にリード付きだ。


 さっき親子の散歩を見たからか、犬のイメージから首輪に繋がってしまったらしい。

 というか、なんでこんな物がカバンに入ってるの!?


「……なるほど?」


「なるほどって何!? ウ、ウチはそんなえっちな事しないから!!」


「えっち?」


「あっ」


 何も言わなければ誤魔化せたのに!! 

 変な想像をしてしまったからか、思いっきり勘違いをした。


 ウチが首輪を付けられて、お散歩ごっことかMっぽいプレイを一緒に…… 


 あああああああああああ!!

 なんで変な事ばっかり考えちゃうの!!


 ここは冷静に、今すぐしまって話題を切り替えれば済む……


「ふわぁ……あれ? ダーリンとセリアちゃんもう起きてたの?」


 最悪だ。

 このタイミングで一番起きてほしくない人が来てしまった。

 いっつもエッチな事ばかりして、ウチにセクハラ下ネタをばらまく最大の天敵。


「おお……朝から首輪プレイだなんて、大胆だね♡」


 れなの事は嫌いじゃない。

 スキンシップは過激だけど、意外とTPOはわきまえているし恋人の為に怒ってくれる優しさもある。


 だけど、こーいう時の彼女はあんまり好きじゃない!! 


「ち、違うからあああああああああああ!!」


「セ、セリア!?」


 絶叫しながらウチは再び外へと出た。

 その叫び声で皆を起こしてしまったらしいが。


 ウチが家族に一番近いと思っている場所は、ウチが一番苦労する場所らしい。


 まぁ、そういう家族もありかしら?

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