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無自覚で【無属性】持ちの俺は最強みたいです~外れスキルを3年間鍛え続けていたら、ダンジョン配信中の亜人姉妹に襲い掛かるS級モンスターを偶然倒してしまいました~  作者: 早乙女らいか
第二章・因縁とは突然に

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第53話 目を覚ますと……

「……あれ?」


 目を覚ますと、そこはお風呂場ではなくリビング。

 柔らかいソファで仰向けになり、頭には冷たいタオルがのっている。

 裸だったのに、いつの間にかパジャマになってるし。


 ふと身体を横に向けると、パタパタとうちわを扇ぐ朝日と真白の姿があった。


「パパ、大丈夫?」


「色々とやりすぎたっすよね……ごめんなさい」


「あぁ……」


 何となく状況が分かってきた。


 俺は二人からの猛烈なアピールに耐えきれず、お風呂場で気絶。

 倒れた俺を何とかリビングまで運んだ後、罪悪感を抱いた真白と朝日が看病してくれた……って感じだろう。


「気にしなくていいよ、二人は甘えたかっただけなんだし」


「そうそう。ダーリンが変態なだけだもんねー♪」


「悪かったな変態で」


 俺だって自分を抑えるのに必死だったんだよ。

 あれでも相当頑張った方だ。


「て、ていうか……真白はともかく朝日が迫ったって本当なの……?」


「あ、あはは……」


 朝日の方を見ると恥ずかしそうに顔を逸らされてしまった。 

 その様子を見て、セリアが「本当だったんだ……」と驚きの表情を見せる。


 出会ってまだ一日も経ってないもんな……俺だってあまりにも進展しすぎてビックリしている。


「あ、あんなに何でも受け入れられたら……誰だって惚れちゃうっすよ」


 今日イチで頬を真っ赤にさせ、手で顔を隠しながら俺の方をチラッとみる朝日。


 受け入れたとはいえ、本当に俺の事が……

 乙女心というのは恐ろしい。


「「ほうほう……」」


 で、姉妹揃って何故俺を見る。

 またやったねーみたいな顔をしなくてもいいだろ。

 

 ……まぁ正直、朝日に求められるのは普通に嬉しかったけどさ。


「ねーダーリン♪ 今度はアタシとセリアちゃんとで洗いっこしよーね」


「あ、洗いっこ!? そ、そんなエッチな事、やる訳ないじゃない!!」


「えー? 洗いっこの何がエッチなのー?」


「いや、それは……うう……」


 れながニヤニヤしながらセリアに詰め寄っていく。


 れなって論争になると意外と強いんだよなぁ。

 俺が朝飯を疎かにしてた時も、正論と解決策と行動力で丸め込まれたし。


「なら甘えればいい。それなら問題ない」


「は、はぁ!?」


 真白の斜め上すぎる解決策に、更に顔を赤くする。


「べ、別に……ウチは朝日と違って愛してるとか、そういうのはないから!! 嫌いじゃないし、むしろ好きな方ではあるけど……とにかく違うの!!」


「それ、ほぼLOVEっすよ……」


「ちーがーうーのー!!」


 誰がどう見ても明らかな好意を、セリアは手から尻尾までぶんぶん振って否定した。

 相変わらず素直じゃないんだから……ツンデレな所は昔と変わらないみたいだ。


 というか俺、可愛い子から好かれ過ぎでは?

 口説いてるつもりはないけどなぁと思いつつ、セリアに目配せしながら手招きする。


「セリア、おいで」


「はぁ!? だ、誰が撫でたりギューされに行ったりなんか……」

 

「そこまでは言ってないんだが……こういうの嫌か?」

 

 なでなでのジェスチャーをすると、セリアがうぅ……としっぽを激しく動かしながら、欲しがるような目でじっとする。


 あらら、固まっちゃった。

 今の心境は「行ったら負けな気がするけど撫でられたい」といった感じか?


 セリアとの相手は、俺が少し大胆になるくらいがちょうど良さそうだな……


「ひゃっ!?」


 前に乗り出し、セリアの頭を優しく撫でる。


「あ……あぁ……」


 さらさらの黒髪が滑らかに指と指の間を通っていく。

 心地のいい手触りだ……動かす度にセリアの身体がビクッと震わせ、やがて気持ちよさそうに目を閉じる。


「ん……んぅ……♪」


 撫でる手の動きに合わせて僅かに頭を動かしている。

 目を閉じたことで全身の神経が過敏になり、快感を増幅させているのだろう。

 ツンツンしていた先程よりも、表情が柔らかくなっているのが目に見えて分かった。

 

(もう少し愛でたいな……)

 

 そういえば、片方の手が空いている。

 頭以外のところも撫でてあげれば、喜ぶのでは?

 

 俺は空いた手を……セリアの顎に向けて伸ばし、かくように撫で始めた。

 

「へにゃ……!?」


 が、顎に触れた途端、セリアは目を勢いよく開きバッと俺から距離を取ってしまった。


「なななななに!? ウ、ウチの顎を撫でたの!?」


「猫だから喜ぶかなと……」


「ウチは猫だけど猫じゃないの!! 勘違いしないで!!」


「でも動く物と魚好きじゃないっすか」


「それはただの好み!!」


 やっぱ猫じゃん、と思いつつもセリアを思って心の内に押し込めておく。


 うーん、やりすぎたか?

 前より素直になった気もするけど、少し大胆になりすぎたみたいだ。


 セリアみたいに過激なスキンシップを苦手とする子もいるし、少しづつ理解していかねば。


 と、自ら反省していると朝日がさりげなく俺に近づいてきた。


「パイセン」


「ん?」


「あーしも、その……」


「あーいいぞ?」


 まだまだ甘えたりみたいだ。

 俺の恋人はみんな甘えん坊なんだなぁ……朝日の頭に手を伸ばそうとする。


「違うっす……」


「え?」


 が、その手を捕まれ、頬にそっとくっつけられた。

 

 違うとは一体?

 少しだけ手にすりすりされた後、朝日は手を離して何故か俺の方へと顔を近づけ……


「……大好き、だから」


 お互いの唇を重ね合わせた。 


「「「「っ!?」」」」


 その場にいた全員が驚く。

 まさかキスまでいくとは、誰も思ってなかったからだ。


 熱っぽい視線のまま、唖然とする俺の懐に朝日が身体を預ける。 


「ヤバいっすね……今ならパイセンに全部捧げちゃいそう……」


 ここまで大胆になるものか!?

 れなも結構ぐいぐい来る方だったけど、朝日はそれ以上というか、ジワジワしつつ一気に攻めてくる感じだ……。


「じゃあ、次は真白も……」


「アタシもー♪」


「えっ!?」  


 ちゅっ

 ちゅっ


 負けじと二人までキスをしてくる。

 柔らかい物が唇と重なり合う感覚を三連続で味わい、幸せという名の脳内麻薬で頭がふらっとしてしまった。 

 

 連続でして分かったけど、三人とも唇の感触や味が少し違う。


 これがハーレムの特権というやつか……


「み、乱れてる……けどキスだし、エッチなことじゃないし、ううぅ……!!」


「次はセリちゃんの番っすよ?」


「はい!?」


 まさか自分もとは思っておらず、セリアは驚きながら固まってしまった。


「え、あぁ……うう……」


 さっきの反省から、俺は黙って見守る事にしよう。

 目を閉じ、セリアに何をされてもいいよう受け入れる体勢を整える。


 目を閉じても気配はわかるもので、バタバタとその場で歩き回るセリアの姿が容易に想像出来てしまった。


 そして、


「ウ、ウチはそういうのじゃないからー!!」


 恥ずかしさに負けてしまい、逃げるように個室へと入るのだった。

 ちなみに何だかんだあって、五人全員固まって寝る事にはなったが。

 

 コラボまでの一週間の間に、五人の絆を深められたのは良かった。

 ……深めすぎな気もするがな。

 

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