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無自覚で【無属性】持ちの俺は最強みたいです~外れスキルを3年間鍛え続けていたら、ダンジョン配信中の亜人姉妹に襲い掛かるS級モンスターを偶然倒してしまいました~  作者: 早乙女らいか
第二章・因縁とは突然に

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第47話 ケイゼルとは

「ぜぇ……ぜぇ……」


「お、お疲れ様……。」


「ウチの胸とブラ、ずっと見てたの知ってるからね」


「大変申し訳ございません……。」


 肩で息をするセリアから、当然のお叱りを受ける。

 とはいえ、再び本題に戻れそうだ。


「で、ウチはなんやかんやで高校までは卒業出来たけど、お金は必要だったワケ」

 

「いつまでも施設だよりって言うのも出来ないしな」


「えぇ。それで就職先を探していたら……」


「見つかったと」


 例のケイゼルインダストリーが。

 

「高校卒業して急にネコ耳が生えたせいで中々決まらなくてねー……でもダメ元で飛び込んでみたら受かっちゃった」


「へー、超大手企業に就職なんて、すごく優秀なんだね!!」


「と、当然よ!!」


 ふんす、と自慢げな表情。

 俺もセリアがあの会社に就職したことに驚いている。

 父親の会社と言う事で余りいい印象は抱けないのだが……それはそれだ。


「宣伝って何やるんだ?」


「そりゃあもちろん身体を売ったり……」 


「そんな如何わしい事はしないわよ!! これを見なさい!!」 


 バッと出されたスマホに表示されていたのは、二人の美少女が様々な企画に挑戦する動画だった。

 一人は知らないが……もう一人はセリアだ。


 踊ったり、

 社内の設備を紹介したり、

 激辛料理食べたり、


「……なんかおかしくね」


「き、気のせいよ!!」


 更に動画を読み込む。


 武器製造の裏側を紹介したり、

 実験の副作用で漏らしたり、


 宣伝部の一日の業務に密着したり 

 他部署の部長に落とし穴を仕掛けたり……


「芸人?」


「仕事よ!!」


「漏らしてる時のセリアちゃん可愛い〜!! 今ここで出してみない?」


「あんたおかしいんじゃないの!?」


 今日のれなはキレッキレだなぁ。

 面白いおもちゃを見つけたからだろうか。


 他にもれなはセリアのハプニング集を漁り続けては色々といかがわしい発言をし続け、その度にセリアの顔を真っ赤にさせた。


(けどちゃんと仕事はしてるんだよな……)


 一通り見た感想だが真っ当に広報をしていると思う。


 紹介動画だと普段のおふざけは控えめに、かと言って真面目すぎないように。

 バランスよくエンタメ要素が盛り込まれている。


 こういった身体を張った企画もお堅い企業に親しみを持たせ、興味を惹かせるという意味では効果的だろう。

 動画内でのセリアのリアクションはよかったし、コメント欄でも無茶ぶりを期待するようなものが多かった。


 最も、本人がやりたがるかは別だが。


「で? にぃにの方はどうなの?」


「俺は……」


 俺はこれまでの経緯を全てセリアに話した。


 実家を追い出されたこと。

 三年くらいは落ちこぼれだったこと。

 れな達と出会った事。

 そして配信者になって、色んな事をして……


 一つ一つの出来事を語る度に、セリアがややオーバー気味に反応するので、見ていて楽しかった。

 そして最後には……


「ひぐっ……な、泣いてなんかないんだからね……!!」


「ほら、ハンカチ」


「ありがとう……。」


 涙でうるんだ目を拭くセリア。

 ここまで感情的になってくれるとは思わなかったな。


「で、でもなんでダーリンのお父さんがケイゼルの社長なんかやってるの?」


「元々ケイゼル工房って名前だったのがいつの間にか大企業になってな……ほら、社長の苗字を見ろ」


 ケイゼルインダストリーの公式HPに飛び、会社概要を開く。

 そこの代表取締役欄には、確かに”音梨”と名の付く人物がいた。


「音梨和也……これがダーリンの?」


「ああ、俺の父さんだよ」


 オールバックで顎に少しだけ髭を生やし、高級感のあるスーツを着こなす初老の男性。

 社長挨拶に映りこんだ写真を見て、思わず追い出された時の記憶がフラッシュバックする。


 冷たく吐き捨てるように、息子を赤の他人のように扱う父親の姿。

 愛された事なんて一度も無かったな……


 才能と成功が全てだと思い込んでる人だ。

 成果も出さなければ才能もない俺の存在は、心の底から切り捨てたかったのだろう。


「ウチもこの人は苦手よ。何考えてるか分かんない」


「会ったことがあるのか?」


「新入社員への挨拶で一回だけ。なーんか周りの社員が持ち上げるような態度で気持ち悪かったけど」


 全員が全員、父さんを良い風に思っているわけじゃなさそうだ。

 同士が出来たみたいで少し心が軽くなる。


「ウチの宣伝部は特に嫌ってるわよ。というか、ウチらがケイゼルの中じゃ異質なんだけど」


「異質?」


「そ。荒くれ者を集めた厄介集団ってね……そうだ、せっかくだし来てみる?」


「え、いいのー!?」


「お礼もしたいし、さっきリーダーへ報告したら来て欲しいって」


 セリアのスマホに映し出された画面には


『面白い!! 是非私の元へ連れてきたまえ!! 最高のサプライズでお出迎えしよう!!』


 やたらと癖の強いメッセージが映し出されていた。

 セリアが荒くれ者を集めた厄介集団と言っていたが、あながち間違いでは無さそう。


「ケイゼル……ケイゼルか……」


 ただ、セリアの紹介とはいえ父さんの会社だ。

 あまりいい感情は抱いていないし、そもそも門前払いを喰らいそうな気もする。

 

 俺のせいで変な空気になるのもなぁ……

 

「パパは無理しなくていい」


「大丈夫だよ、真白」


 心配して近寄ってきたれなと真白の頭を撫でる。

 こういう時の癒しはすげぇ助かるわ……。


「にぃに、大丈夫よ。ウチのリーダーはよくこんな事を言ってるから」


「こんな事?」


 俺の複雑な気持ちを察してか、セリアは自信ありげな表情で話を続ける。


「いつか社長の顔面にバズーカを撃ち込みたいって」


「最高」


 ケイゼルや父さんは好きになれないが、宣伝部の人間とは仲良くなれそうだ。


◇◇◇


【予告】

明日、新キャラが出ます(二人)

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