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無自覚で【無属性】持ちの俺は最強みたいです~外れスキルを3年間鍛え続けていたら、ダンジョン配信中の亜人姉妹に襲い掛かるS級モンスターを偶然倒してしまいました~  作者: 早乙女らいか
第二章・因縁とは突然に

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第45話 昔馴染みとの再会

「え!? ダーリンとその子って知り合いなの!?」


「昔、よく遊んだ仲だ……まさかこんな所で再会すると思ってなかったが」


「亜人美少女とお知り合い……びっくり」

 

 俺だって驚いている。

 たまたま訪れたSSランクダンジョンで、たまたま昔馴染みに再開するってどんな確率だよ。


 後、ネコ耳になっているのも気になる。


「にぃによね……? まさかこんな所にいたなんて……」


「セリアなんだな……十年ぶりか?」


「それよりもっとよ。会えてよかっ……」


「危ない!!」


 足元を崩し、倒れ込もうとした彼女を急いで身体で受け止める。

 感動の余韻に浸りたいが今は救命優先。

 セリアの身体を長椅子に運び、優しく寝かせつけた後、真白を近くに呼んだ。


「真白、とりあえず気力回復の魔法を……。」


「いいわ……大丈夫」


「無理はよくない」


「いいってば!!」


 一体何を無理しているのだろうか。

 俺だと分かった上でも、セリアは頑なに真白のヒールを受け入れない。

 明らかに苦しそうで、虚ろな目をして遠くを見上げているというのに。


「だから、これは……」


 放置すれば症状は悪化する一方だ。

 早く処置しないとヤバいのに……。


 どうすれば彼女は受け入れてくれるか、必死に頭を働かせていた時だった。


 ぐううぅ……


「「「ん?」」」


「……」


 今、お腹の音が聞こえたよな?

 しかも音は、先ほど横たわらせた長椅子の方から聞こえた。


 疑問に思いながら、セリアを見ると彼女は顔を真っ赤にさせながら俺達から視線をそらしていた。

 

 まさか……


「お腹すいてるのか?」


「そ、そうよ!! だったら悪い!?」


 ただの空腹じゃねえか!! 

 心配して損したよ……病気とかじゃないならいいけどさぁ。


 はぁ、とため息をつきながら俺は恥ずかしがるセリアを無理やり座らせると、皿をもう一枚彼女の前に用意した。


 テーブルの上には、半分ほど残っているレトルト食品達が並べられている。

 食べ進めていく内に少し冷めてしまったが、まだまだ美味しいハズ。

 空腹である彼女にとっては尚更だ。


「……いいの?」


「ご自由に」


 恐る恐るセリアがレトルトご飯を皿にのせ、一番近くにあったタイカレーをその上にかける。


「……いただきます」


 ごくっ……と食欲を抑えきれない様子でタイカレーを見つめる。

 そして、スプーンにタイカレーとご飯を乗せると、ゆっくり口へと運んだ。


「っ!? 美味しいーーー!!」


 口に入れた瞬間、耳としっぽをピンと立てながら満面の笑みを浮かべるセリア。

 そこからはもう早かった。


「これレトルトよね!? なんでこんなに美味しいのかしら……あぁ、次はこっちも……」


 目に付く物を更に乗せては食べての繰り返し。

 途中、ご飯を挟みながら口いっぱいに食べる姿はまるでハムスターみたいだ。


「んぐっ!?」


「あぁ、一気に食べようとするから……」


 喉を詰まらせたセリアにそっとコップの水を渡す。

 まあ、食べるだけの元気があるならよかった。


 懐かしい顔に出会えたし、配信を始めてよかったなー

 ……あっそういえば


「れな、配信って切ってる?」


「あ!! つけっぱなしだったかも……」

   

 恐る恐るコメント欄を覗く。


 コメント欄

 ・ネコ耳美少女だあああああ!!

 ・神回確定

 ・頬張りながら食べてるの可愛い

 ・早く切り抜かなきゃ


「「「……。」」」


 熱狂に包まれているコメント欄とは対象的に青ざめる俺達。  

 他人を配信に出す時は当人の許可が必要だ。

 ネコ耳美少女がやって来た、というインパクトに持っていかれて、カメラをオフにする事を忘れていた。


「どんくらい広まって……うわーお」


 視聴者数は約2万3000人。

 最大同接に至っては3万を超えていた。


 マズイぞ……!!

 セリアの存在を無許可で全世界に広めてしまった。


 一般人でもアウトだが、ネコ耳の亜人美少女というセリアは更に目立つだろう。

 知らない誰かに声をかけられ続けるセリア……

 容易に想像できるな。


「謝ろう」


「「いえす……。」」


 勝手に配信に出すなんて!! 

 と、怒られても反論は一切できない。


 食事に夢中のセリアを邪魔しないよう、そーっとテーブルへ向かい彼女の向かいの席に三人並んで座った。


「ん? 食べないの?」


 やけに静かな俺達の様子に首を傾げながら、モグモグご飯を食べるセリア。

 罪の意識からか顔を俯かせる俺達だが、流石にじっとしているのはダメだろう。

 俺は先陣を切って、ゆっくりと口を開き始めた。


「実はな……これ配信に乗っているんだ」  


「え? あー大丈夫よ。ウチが勝手にお邪魔してるようなものだし……。」


「それが、結構な人数が見ていまして……。」


「んー……?」

 

 セリアの正面にスっとコメントが表示されたウィンドウを見せると


「は、はぁ!? 何よこの人数!?」


 驚きのあまり、皿を持ったまま立ち上がった。


「えー、約三万人が見ています」


「さ、三万……」


「という事でこの度は誠に申し訳ないと思い……」


「い、いいのよ……大丈夫、大丈夫……」


 ゆっくり椅子に座りながら額に手を当てながら考え込む。

 まあ、びっくりはするよなぁ……。

 俺も二人を助けてバズった時も同じ反応をしたし。


「ってか見たことあるわね……確かオトプロだったっけ?」


「いえす」


「だいせいかーい♪」


 流石に二人の事は知っていたみたいだ。

 この様子だと、空腹すぎて周りの状況が良く見えてなかったと思える。

 

「すまんな、色々と驚かせて」


「あーいいのよ。ウチも似たようなことしてるし、気持ちの整理はついたから」


「似たようなこと?」


 似たような事、というのは配信をしているって事か?

 それかアイドル? モデル? タレント?


 今、着ている制服風の衣装は普段着にしては派手過ぎると思っていた。

 何かしら目立つ仕事をしているのは間違いないが……


「ウチ、ケイゼルインダストリーの宣伝部門にいるから」


「っ!!」


 再び皿に盛ろうとした手が止まる。


「ケイゼルって確か有名な武器会社だよね!!」


「国内シェアNO.1の大手企業。そこに勤めているのは凄い」


「ま、まぁウチって結構優秀だから!!」


 ケイゼルインダストリー


 俺でも名前を知っている会社だ。

 少しお高めだが武器の質や種類、アフターフォローが完璧で探索者からの信頼も厚い。


 更に武器に関しては実戦に基づいて制作されており、それら試験武器をテストするための実験部隊が設立されているのだ。

 実験部隊の実力は凄まじく、Aランク帯までなら余裕で突破できるほどだとか。


 他にも見栄え重視の配信者向け武器だとか、オーダーメイドの特注だとか武器に関する事なら基本なんでも聞き入れてくれる。

 

 まさしく最強の武器会社だ。 


「ダーリン? どうしたの?」


「パパ……?」


 無言で配信をミュートにする。

 リスナーや案件先には申し訳ないが、俺が今言おうとしている情報はかなり危うい。

 下手したら、れな達を巻き込む可能性だってある。


 重く閉ざされた口を開き、真実を語りだす。


「ケイゼルは……俺の父さんの会社だ」


「「「え!?」」」

 

 こんな所で、また聞くとは思ってなかったよ。

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