第43話 SSランクでの戦闘②
「そんな事も出来たのか……」
「真白ちゃんすごいでしょー!!」
天使の亜人とはいえ、人間の身体を羽だけで飛ぶのは難しいと思っていたが、まさか魔力を利用して飛ぶとは。
更に真白は自身に魔力で出来たシールドを付与した。
「”シールドブレス”」
上空から勢いを付けて落下攻撃が行われ、ズゥン!! という音と共に地面が揺れる。
すると、前方にいた二体のブラックサラマンダーの身体が空中に弾き飛ばされたのだ。
「「シャアアアアアア……!?」」
一体何が起きたのか、ブラックサラマンダー達は理解できていない。
だが宙に浮いている状況はよくないと、舌を壁に伸ばして移動しようと試みた。
その隙をれなが狙っていると気づかずに。
「二人とも、目閉じて!! ”フラッシュショット”!!」
「「ッ!?」」
れなが二つの光弾を発射する。
光弾はブラックサラマンダー達の目の前で爆発し、まぶしい光を放った。
ブラックサラマンダー達は唐突な光に目をくらませてしまい、思わず舌を引っ込めてしまう。
「ダーリン!!」
「パパ!!」
「あぁ、わかってる!!」
二人が無防備な状態を作ってくれたんだ。
このチャンスを無駄にするわけにはいかない。
使う魔法は身体を切断せず、心臓だけを的確に潰すものだ。
「”神速”」
まずはブラックサラマンダー達の元へ一瞬で近づく。
「”連装・竜撃斬”!!」
そして七つの魔力刃を生成し、それらを一つに集約させる。
今回は更に凝縮させて刀身が細くなるようにした。
心臓以外を消し飛ばさない為だ。
「はぁあああああ!!」
サラマンダーの心臓はC~Bランク帯での戦いで覚えている。
いくら進化したとしても、体の構造そのものはそこまで変化しないハズ。
記憶を頼りに、ブラックサラマンダーの心臓目掛けて、”連装・竜撃斬”の突きを喰らわせた。
「アアアアア……!!」
グサァ!! と刃が奥に突き刺さる。
傷口から血を流しながらピクピクと少しの間動いた後、ブラックサラマンダーの動きは完全に止まった。
よし、心臓の場所は合っていたようだ。
「シャアアアアア!!」
ブラックサラマンダーは後一体いる。
すかさずもう一体の方へ”神速”を使い迫ったのだが、
「っ!? 舌を俺に!?」
自慢の長い舌を伸ばし、俺の身体へと絡みつかせた。
何だこの熱さ!?
触れているだけで身体が溶けそうだ!!
「実体があるだけマシ……か?」
このままでは丸呑みにされてしまう。
俺は舌と舌の隙間から手を動かし、”跳剣”をヤツの目に向けて飛ばした。
「シャア!?」
「っ……よし!!」
目に攻撃を受けたことで、舌の力が弱まった。
俺は拘束から抜け出し、再びブラックサラマンダーの心臓部目掛けて飛び込む。
あの感じなら、こいつも一撃で葬れるはず。
なのだが、流石はSSランク。
簡単には倒されてはくれないらしい。
「シャアアアアアアアア!!」
「この至近距離で……!!」
近づく俺に再びマグマ弾を放つ。
四つに分かれた弾が俺に集中して襲い掛かった。
マズい。
あのマグマ弾が当たったら、ヤツに”連装・竜撃斬”が当たらないぞ。
防ぎたいところだが、壊せるであろう”無砲天撃”ではヤツの身体ごと葬ってしまう。
威力不足かもしれないが、ここは別の魔法で……!!
「”エアストブラスト”!!」
吹き飛ばしに特化した高威力の無属性魔法をマグマ弾にぶつける。
が、やはり威力が足りず、マグマ弾を完全に壊すことは出来なかった。
(けど、いくしかない……!!)
壊せなかったとはいえ、マグマ弾にひびは入っている。
ここは無理をしてでも突っ込むべきだ……!!
自らの身体に無属性の魔力を付与し、マグマ弾に向かって突進する。
「”エアストインパクト”!!」
ドガァアアアアン!!
無属性のタックルと壊れかけのマグマ弾が激突し、マグマ弾は粉々に砕け散った。
目の前にあるのは、無防備なブラックサラマンダーの姿のみ。
「”連装・竜撃斬”!!」
「シャアアアアアア!!」
もう一度、心臓部に目掛けて強烈な突きを放つ。
ブラックサラマンダーは叫び声をあげながらもがき苦しんだ後、やがて静止した。
「はぁ、はぁ……こんがり肉になるとこだった……」
「パパ、お疲れ様……”ハイヒール”」
「ありがとう真白……」
魔力を覆っているとはいえ、マグマ弾に突っ込むのは流石にキツかったな。
やけどに加えて酷い打撲までしてしまったし……
回復魔法がなかったら、あんな無茶な真似はしなかった。
コメント欄
・うおおおおおお!!
・何々!?
・三人ともSSランクに対応してる!!
・化け物パーティだ……
毎度のことだが、コメント欄も驚いているみたいだ。
ていうか、俺も驚いてる。
あの二人の魔法はなんだ?
「真白もれなも凄いな。あんなことが出来たなんて」
「ん、練習してた。パパの役に立ちたくて」
「アタシもー!! ダーリンの足手まといにはなりたくないからね!!」
「そっかぁ……」
二人とも俺の為に頑張ってくれたんだなぁ。
俺も二人に負けないよう、魔法の精度や戦い方を勉強しないと。
「ありがとうな」
「ん♡」
「えへへ♡」
ご褒美、にしては少し弱いが二人の頭を撫でる。
れなは撫でられると尻尾をふりふりする。
真白は目を閉じたままうっとりとした表情で甘えてくる。
姉妹で違った反応をするんだよなぁ。
天国だ……
コメント欄
・なんか真白ちゃんも加わってね?
・二人の美少女に囲まれてさぞ嬉しかろう
・納得できるけど許せねぇんだよなぁ
・やりやがったな、はべ太郎
……コメント欄は地獄だけどね。
ハーレムってメイン視聴者層の男からは反感買うよなぁ。
ただ、半分ふざけたような煽りも多いので、本気で批判してる人はそんなにいなさそう。
てか、はべ太郎って誰だ。
俺の事か?
「あ、そうだ!! お昼食べなきゃ!!」
「ん、大事な事」
「え、あぁ……」
この状況で食べようとする二人も凄い。
流石は配信者と言ったところか。
ただ……
「暑いから外で食べようぜ?」
「賛成ー……」
「真白も限界……」
この灼熱地帯でのご飯は、流石にしんどい。
俺達はブラックサラマンダーの素材を回収すると、足早にダンジョンを後にした。




