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第42話 SSランクでの戦闘①

「という訳でSSランクダンジョンを探索しまーす!! まずはいっぱい身体を動かさなきゃ!!」


 れなの号令で前に進んでいく。

 案件の流れとしてはこうだ。


 ダンジョンを探索

 ↓

 珍しい物を見つけたりモンスターと戦う

 ↓

 お昼頃になったら

 例のレトルト食品を食べて感想を言う

 ↓

 終わり


 こんな感じだ。

 ざっくりまとめてみたはいいものの、ここはSSランクダンジョン。

 イレギュラーは起きるだろうし、スムーズに事は進まないだろう。


「松也ダンジョンはマグマ地帯……対策はしてきたけど……ぐぇ」


「見て見て!! 発汗スプレーが蒸発してるよ!!」


「暑すぎだろ!?」


 れなが発汗スプレーの中身を空けると、ぶわっと一瞬にして蒸気が舞い上がった。

 逆さまにしても容器から中身は落ちない。


 今、俺達が来ているのは”松也ダンジョン”。

 足場以外、全てがマグマで覆われており熱気で溢れている。

 歩く度に全身から汗が流れ落ち、水を飲む手が収まらない。


 水分とか塩とか対策は万全にしたつもりだけど……長居は出来なさそうだな。


コメント欄

・全部マグマか、やべー

・モンスターと出会う前に熱中症で死にそう

・水分しっかり取ってね!!

・水もお湯になりそうだな……


「こんな所にもモンスターは適応出来るんだから、すげーよなぁ」


 ラクダとかナマケモノとか、過酷な環境で生きられるよう進化した動物は結構いる。

 が、マグマ地帯となると生きるっていうレベルではないし、エサや呼吸をどうしているのか疑問に思う。


 と、ぜぇぜぇ言いながら奥へと進んでいくと


 コポッ……


「ん?」


 右に広がるマグマ地帯から、不審な音が聞こえた。

 そして音の方向からマグマを飛び出し、モンスターが現れた。


「シャアアアアアアア!!」


 ズゥン!! と全身を赤黒く染めたトカゲのようなモンスターが出現する。

 その大きさは岩山のように大きく、巨体に見合わないスピードが俺達に威圧感を与える。


 すかさず鑑定を行った。


 【ブラックサラマンダー】

 マグマ地帯で成長した、竜によく似たモンスター。

 炎を超えたマグマ攻撃を行う。


 推定ランク:SS

 

「通常のサラマンダーとは何が違うんだろうな……」


 普通のサラマンダーは炎魔法や舌を伸ばして攻撃したり、壁や天井を這って自由に移動してくる。

 通常個体で大体C〜Bランクくらいかな?


 だが、こいつはSSランク。

 

 先ほどから俺達の方をじっと見続けながら、同時に殺気も飛ばしてくる。

 図体はデカいのに、隙がまるで無い。

 ヤツのテリトリーに入ったら一瞬でやられそうな、そんな予感をさせた。


 ……ここは様子見ではなく、先手必勝だな。


「”跳剣”!!」


 飛び跳ねる短剣をブラックサラマンダーに向けて放つ。

 ヒュンヒュンと音を立てながら、壁や天井を跳ね返りながら短剣が迫っていく。


 斬れ味は抜群だが果たして……


 スパッ


「え?」


 斬れた……?

 無属性とはいえ、SSランクのモンスターが真っ二つになってしまった。

 耐久力はそこまでないのか?


「シャアアアア……」


「見て!! 斬れた身体が……!!」


 と思いきや、分かれた二つの身体が震えだし新しい肉体を生成し始めた。


「「シャアアアアア!!」」

 

「二体になった……」


「斬れば斬るほど身体が分裂するのか……厄介だな」


 切断される程増えていく、というのは厄介だ。

 斬撃以外にも魔法でちぎれる、という場面が想定される以上、ヤツの耐久力は凄まじいものがある。


 対処法としては……心臓を直接つらぬくしかないか。


「「キシャアアアアア!!」」


 二体のブラックサラマンダーの口から灼熱の弾が放たれる。

 恐らく、というか絶対マグマだろう。

 まともに喰らえば即蒸発は免れない。


「っ……四つに分かれた」


「うお!? こいつ追尾性能も高いぞ!!」


「弾は分身しなくていいでしょー!?」


 凄まじいスピードを持つマグマ弾が途中で四つに分裂した。

 オマケにかわした方向に向かって弾が追尾してくる。


 これじゃあ”神速”でも避け切れないぞ……!!


 れなも応戦して魔法弾を発射したのだが……


「うっそ!? 弾が全部燃えちゃうんだけど!?」

 

「それだけ熱々ってことか!!」


 衝撃弾が全て命中したのにもかかわらず、弾が全てマグマの高温によって溶かされた。

 れなの弾はそれなりに高性能のハズなのに……!!


「”神速”!! ”双演乱舞”!!」


 ”神速”で加速し、”双演乱舞”の二刀流攻撃でマグマ弾への対処を試みる。


 ガァン!!


「くっ!! 流石に一回じゃ無理か……!!」


 やはり、というか一度斬っただけではマグマ弾は破壊されない。

 ならば、何度も斬り続けるのみ!!


「はぁああああああああああああ!!」


 ザァン!!

 ザァン!!

 ザァン!!


 ”神速”の加速力、”双演乱舞”の副次効果である斬れば斬るほど斬撃のスピードが上がる特性。

 二つを合わせ、目にも止まらぬスピードで斬撃を繰り出し、マグマ弾を一つ一つ切り裂いていく。


「これで最後ォ!!」


 そして最後のマグマ弾も斬る事が出来た。

 

「っ……あっちぃ……!!」


 が、無傷とはいかないようだ。

 自分の身体を見れば、いくつもの酷いやけどの跡があり、痛そうに腫れあがっていた。

 

 攻撃を直接喰らっていないとはいえ、マグマ弾に何度も近づいた。

 それが原因で、俺に身体がやけどを負う事になってしまったのだろう。


 俺自身、防御力は並程度だしな……

 

「”ハイヒール”」


「おお……傷が」


「多少無茶しても、真白が回復する。大丈夫」


 真白が回復魔法を使うと、やけどで傷を負った箇所が徐々に治っていく。

 常に攻め続ける前衛としては、ヒーラーがいるのは非常にありがたい。


「でも真白も支えるだけじゃない」


「え?」


 そう言った後、真白は俺の前に飛び出した。

 盾を構えながら、ブラックサラマンダーに近づき、そのまま突撃するのかと思いきや。


「”飛翔”」

 

 ぐっと足に力を入れてジャンプをすると、真白の羽に青白い魔力が集まる。

 瞬間、真白の身体が宙に浮かび、羽を動かしながら飛び始めた。

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