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第35話 決戦②

「ってぇ……!!」


 何が起きた……!?

 今、見えない位置から俺の腹に何かが撃ち込まれて……っ!!


 ズシン!! ズシン!! ズシン!! 


「なんだあれ……アーマー?」


「パワードスーツですよ……現代科学と魔法、魔銃の技術をフルに活かした究極の兵器!!」


「……SF世界に飛びすぎだろ」 


 大量の銃火器が搭載された鉄鎧が、重い足音を立てながらゆっくり近づく。

 大きさは俺の倍以上はある。

 銃火器も一つ一つが番崎や遥斗が使っていた物より大型かつ高火力が出そう。


 余りのスケールと規模に思わず失笑してしまう。


「私用にカスタマイズしたスーツ……”爆天”の底力を見せてあげましょう!!」


「スーツの中に入り込んだ……!?」


 再びスライム化した遥斗がパワードスーツ”爆天”の中に入り込む。

 すると、”爆天”の動きが更に機敏な物となり、俺に向けて銃口を向けた。


 ドォン!!


「ちぃ!!」


 轟音と共に撃たれた弾丸を紙一重でかわす。


 一発でこの威力かよ!?

 弾丸の当たった箇所が、クレーターのようにへこんでいた。


「”無砲天撃”!!」


 すかさず最大火力の魔法をぶつける。

 ゴォオオッ!! と凄まじい風圧の無属性魔法が”爆天”に直撃した。

 巨体が吹き飛ばされ、壁に勢いよく激突したのだが、


「流石ですね……”爆天”にも少しダメージが入りましたよ」


「これでも壊れないのか……!?」


「貴方の無属性魔法は強力です。しかし、Sランクモンスター以外の相手なら、ただ強いだけの魔法にすぎません」


「……確かにな」


 俺の無属性魔法は強い。

 Sランクモンスター相手に一方的なダメージを与えられる事実がそれを証明している。


 だが、Sランクモンスターにダメージが入るのは弱点だからじゃない。

 ヤツらに耐性がないだけだ。

 純粋な威力だけで言うなら、A〜S相当の他属性魔法とそれほど大差はない。


 無属性魔法の対策が、重装甲でがっちりガードする事とはな……


「私はSランクモンスターに勝てません。ですが、対人戦なら……どうでしょう?」


 ガチャッ!! と機械音を出しながら無数の武器が展開される。

 まずい!!


「さぁ、”フルバースト”の時間ですよ!!」


 砲門から弾が一斉掃射される。

 弾幕が俺の元へ一瞬で到達し、防御する暇を与えない。


「”神速”!!」


 更なる加速で弾幕の雨をかわし続ける。 

 隙間から隙間へ。

 かわせない攻撃は魔法で撃ち落とす。


 絶え間なく続く攻撃に、俺は全力で対処し続けた。


「うわあああああああ!?」


「やめてください遥斗さん!!」


「俺達が死んじまうよおおお!!」


「はっはっはっ!! 見てください!! 素晴らしい悲鳴ですよ!!」


 流れ弾が手下達に命中する。

 味方ごとやりやがって……本当にタチが悪い。


 ……味方ごと?

 待て、確かあの位置は摩耶さんが戦っていて……!!


「ぐうぅ……流石にわらわの武器じゃ持ち堪えられんか!!」


「摩耶さん!!」


 倒れている二人を守るようにバリアを張り、無数の花火型ミサイルで防衛する摩耶さんの姿。

 少しずつではあるが、バリアが削られている。


 このままだと突破される!! 

 俺は素早く摩耶さんの元へ移動し、再び無属性魔法で弾幕を吹き飛ばした。


「”無砲天撃”!!」


 弾幕を吹き飛ばしながら、無属性の塊が”爆天”に命中する。

 しかし、”爆天”は少し怯んだだけで、何事もなく立ち上がってしまう。


「助かった……しかし、あれの装甲を突破するのは至難じゃの」


「”無砲天撃”を2回も耐えるとは……関節くらいダンボールだったらよかったのに」


「ははっ、そうじゃな」


 ”無砲天撃”は今の俺が出せる全力だ。

 【竜影剣】の技はどちらかと言えばスピード特化だし、あの装甲を壊すには威力が足りない。


 それに、魔力だって底が尽きてしまう。

 後、何回魔法が使えるか……


「む……」


 万策尽きたかと諦めかけていた時、微かに真白の声が聞こえた。 


「真白? 今はゆっくり休んでも……」


「無……名……くん……」


「っ……!!」


 今……俺の事を名前で……?


「死なない……で……」


 虚ろな目から一粒の涙をこぼしながら、真白は精一杯の思いを言葉にした。


「……死なねえよ。絶対」


 あぁ、クソッ。

 諦めかけていた俺が情けない。


 自分の事より、俺の事を心配してくれた仲間がいるんだぞ?

 そんな彼女を不安にさせてどうする?


 ようやく心を開いてくれた真白の為にも、俺はここで逃げる訳にはいかない。 


 絶対死なないし、

 絶対勝つし、

 絶対にこの居場所は守ってみせる。


 約束だ。


「攻撃は当たるんだけどな……」


 スライム化して自由になっていた時より、動きは鈍いし攻撃も確実に当たる。

 後は突破する方法を見つけるだけなのだが、これが難しい。


 もっと効率的にダメージが与えられれば……


 ……待てよ?

 そういえば、俺の潜在スキルって、 


「何か策でも思いついたか?」


「長引くと思いますが、一つ」


「……援護はわらわに任せろ」


 摩耶さんに援護を任せ、俺は再び前へ飛び出す。


「ほれほれ!! まだまだぶっぱなせるぞ!!」


「そんなもの、効かないと言ったでしょう!!」


 再び花火の弾幕が展開されるも、全て”爆天”の攻撃に打ち消されてしまう。


「ふっ……!!」 


「相変わらず素早いですね……ですが、当たったところで!!」


 が、これは揺動。 

 俺は弾幕の間を通り抜けると、”爆天”に向かって魔法を放った。


「”エアストショット”……そして”複製”」


「「は……?」」


 非常に小さい無属性弾を”複製”し、一斉掃射する。

 その魔法は、重装甲を相手にしていると思えない程、貧弱な魔法だった。

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