第24話 VS神速のミミック②
「さぁこい……」
「ダーリンどうしたの!? 目なんか隠したら見えなくなるよ!?」
「……まさか」
「ミミックの目を見ないようにするためだ。かなしばりはこれで封じられる」
「で、でもどうやってミミックと戦うの?」
「気配を感じる、それだけ」
「え!?」
俺は目隠しをした状態でミミックがいると思われる方向に飛び立った。
「……」
「キョエエエエエエ!!」
目に頼らない戦い方は今まで何度もやってきた。
暗闇だったり、目くらましだったり、ミミックのような速すぎる相手との戦いだったり。
空気の流れや鳴き声、そして気配……目以外の情報に集中しミミックとの戦闘に備える。
動きにはついていける。後はあいつの存在を感じ取れば……
「そこっ!!」
「ェッ!?」
ガキィン!!
ミミックの身体と俺の剣がぶつかる。
よし!! 見えなくても動きが分かるぞ!!
「相変わらずダーリンは無茶苦茶だね……」
「らしいと言えばらしい」
できることをやっただけなんですけどね。
うまくいく保証もないし。
後は……ヤツの隙を作る事だ。
「れなも出来ると思うぞ?」
「……そっか!! 真白ちゃん、アタシの後ろをガードして!!」
「ん、わかった」
最初の不意打ちもかわしてたし、れなの気配察知能力ならミミックの攻撃も対処できるはず。
彼女の援護で妨害しつつ、俺はトドメの方法を考えよう。
「キョエ……キョエエエエエエ!!」
気配が消えては現れるの繰り返し。
縦横無尽に飛び回り、俺へ攻撃を当てるチャンスを狙っているのだろう。
「キョエエエエ!!」
「はっ!!」
キィン!! ガァン!!
”神速”を発動させ、動きを最低限に抑えた状態で、スピード特化の”無影斬”を当て続ける。
一見すると互角のように見える戦いだが実は違う。
俺はミミックの攻撃を受け流し、更に真白の【自動回復】のおかげでダメージは殆どない。
一方のミミックは何度も無属性の斬撃を喰らっており、少しずつではあるがダメージが蓄積されていく。
ダメージが重なれば当然、ヤツの動きも鈍くなり……
「そこぉ!!」
「キョエエエエ!?」
刃で受け流し突きを入れると、先ほどよりも悲痛な叫び声をあげる。
「ダーリンいけそうじゃない!?」
少しずつだが追い込めている。
このままいけば……
「キョエ!!」
と、再びミミックの気配が目の前から消えた。
「……まさか!!」
れながいた方向に神経を集中させると、高速で向かうモンスターの気配が。
俺と相手をするより、れな達を狙った方がより効率的に倒せると判断したか。
「れな!!」
咄嗟に呼びかける。
ミミックの判断は正しい。
数的に不利な状態ならば、後衛を狙いに行くのは普通のこと。
人数差を埋めることで、自身の戦況を大きく覆す事が出来るからだ
だがミミックにとって、れなという存在は少し不利だと俺は思っていた。
「任せてダーリン!! ”クイックスタンショット”!!」
「キョエ!?」
れな達の方向に向かった瞬間、ミミックの動きが止まる。
「”エアストスラッシュ”!!」
「キョエエエエエエ!?」
その隙を見逃さず、俺は強力な無属性の一撃をミミックに放つ。
固い箱が真っ二つに切り裂かれるような感覚があり、やがて気配は完全に消え去った。
「ふぅ……ありがとうれな」
「えへへ!! ナイスタイミングだったでしょ!!」
目隠しを外すと、満面の笑みでピースをするれなの姿が。
彼女の元に魔石と素材を持って近づくと、ダッシュでこちらに駆け寄ってきて、俺を思いっきり抱きしめてくれた。
しっぽもブンブン振っててかわいい。
「やっぱすげぇな……れなの【狙撃手】は」
「んふー♪ だいぶハラハラしたけどねー、うまくいった!!」
「真白もれなをサポートしてくれてありがとうな」
「ん、大丈夫」
れなの【狙撃手】は敵の感知に優れた潜在スキル。
その能力を生かし、ミミックの動きを捉えることで、ヤツの動きを止める魔法を使えたワケだ。
最初の突撃をギリギリ回避する姿を見て、もしやと思ってれなに提案した。
後ろを真白がガードする事で、ミミックの攻撃範囲を絞れるし、れなの狙撃能力ならヤツを止められるって信じていた。
「これがドロップか……どれどれ」
ミミック自身にもドロップ品があるらしい。
早速”鑑定”をしてみる事に。
【ミミックのコア】
丈夫であらゆる物を防ぐコア。
アイテムボックスの材料になる。
推定ランク:S
「アイテムボックス!?」
「超高級品の素材……しかもSランク」
「アタシ達も持ってないよね……うわぁ」
あらゆる物を異空間に収納し、圧倒的な容量を誇るアイテムボックス。
安くても1000万以上する高級品の素材を、まさか手に入れられるとは。
これがあれば持ち物で圧迫されなくなるし、何より長期的なダンジョンでの探索に役立つ。
早く使ってみたいなぁ。
コメント欄
・うおおおおおお!!
・Sランクモンスターを倒した!!
・三人とも無事じゃん!!
・でも何が起きてるのか全く分かんなかった……
コメント欄も大盛り上がり。
ただ、高速戦闘が多すぎてうまくカメラに収められなかったらしい。
見栄えを考えたら、”神速”はあまり使わない方がいいかな?
「んー、事務所に言って、ハイスピード撮影機能のアップグレードしてもらおうかな?」
「賛成。規格外の戦闘も増えたから、強化するのは大事」
へえー更に性能をあげられるのか。
今でも十分高性能だと思うのに……すげぇや。
「同接34000!? 記念枠以外なら過去最高じゃん……」
「え!? そんなにいったのか!?」
「Sランクモンスターなんて滅多に見られない。それを倒したとなれば当然だと思う」
Sランク討伐もすれば、注目も集める。
コメント欄がいつも以上に加速し、何から読みあげれば良いのやら。
ま、モンスターは倒したし、休憩がてらゆっくりコメントを読み上げるとしよう。
れなも「コメントを読むのは大事!」って言ってたし。
コメント欄
・200万人おめでとおおおお!!
・200万人だあああああああ
・やったああああああああ!!
・うおおおおおおおおお!!
「「「ん?」」」
200万人?
桁の数字を見る限り、登録者の事だよな?
えーっと確か俺が最後に確認した時は140万人だったから……そこから60万人増えたって事?
「ほんとだ……200万人だ」
「えー……アタシ達、そこまでバズった事ないよー……」
oh……
次から次へと規格外な事が起きるなぁ。
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