第11話 そんなにヤバいの?
コメント欄
・はああああああああ!?
・何が起きてんだぁ!?
・祭りだあああああああああ
・バケモンだ!!
コメント欄もめっちゃびっくりしてる。
さっきからコメントの流れる速度が早すぎて追い切れない。
「え、無名くんの中では魔法を使わないガードって普通なの?」
「普通も何も、無属性が弱いから、身体を鍛えるしかないだろ?」
「真白は光属性のバフをかけてからガードする……今の行動は理解不能」
「ただ流石に限界はあるから小手先のテクニックで騙し騙しって感じだよ。ずっと受け止めるのは流石に無理」
「それは普通の事だよー……?」
普通のことしか言ってないが……?
「一体どんな修練を……」
「えっと……三年前からモンスター相手に魔法なしで色んなガードを練習し続けて……あーでもBランク10体に襲われた時は流石に死にかけたなぁ……」
「一人で!?」
「当然」
「わーお……」
「潜在スキルランクEだった俺が相手にされるわけないだろ? 一人でやるしかなかった」
相手の立場になって考えてみれば、潜在スキルが低い俺を採用するメリットはほとんどない。
荷物持ちにしても、もう少しマシな人材がいるくらいだ。
というわけで、俺は二人と出会うまでは、ずっと一人でダンジョンに籠っていました。
「アタシ分かっちゃったかもー……無名くんって無属性魔法もヤバいけど素の身体能力もヤバいと思う。つまりヤバヤバのヤバって感じ」
「純粋な力でも真白達以上かもしれない……経験を重ねて技術にも磨きがかかっているし、ソロという過酷な状況がより化け物じみた身体能力を成長させたんだと思う」
「そんなに言うほどなのか……? Aランク以上の奴らはもっと過酷な探索をしているんじゃ……」
「「少なくともBランクダンジョンを一人では潜らない」」
「そっかぁ……」
そういや初めて一人でBランクダンジョンに向かおうとした時、協会の受付の人から
『一人でなんて死にますよ!! 後悔しませんね!? 本当に後悔しませんね!?』
と、ゲームのセーブデータを消す時くらい念押しされた。
死んだら俺が悪いんでーと軽く受け流してたけど、内心バックバクだったかもしれない……
コメント欄
・何者だよぉ……怖いめう
・無属性魔法ですら人外級なのに、身体能力も反応速度もイカれてやがる
・こいつ俺たちの常識が通じないな?
・ハハッ、ナンダコレ
コメントはコメントで俺のことを珍獣みたいな目で見てるし。
まさか俺……割と常識外れなことしてた?
「と、とりあえず!! 今日は無名くんを中心に探索していこう!! せっかくの新メンバー紹介配信なんだし!!」
「同意。真白も実力をもっと知りたい」
「ん、わかった」
そんな事ないよな......うん。
――――――――――――
~とあるコメントを抜粋~
”俺達は何を見ているんだ?”
「”跳剣”」
無属性魔法で出来た短剣を生成する。
こいつは不思議な特性を持っており、触れると形を変え、与えられた力に対して反発するという奇妙な動きを見せてくれる。
つまり、こいつを一回ぶん投げれば……
「け、剣が飛び跳ねてる……」
「スーパーボールみたい……」
ガキガキガキィン!!と金属音が響いているのに、ゴムみたいな跳ね方をするのだ。
「「「コォオオオオオン!!」」」
バウンドし続ける”跳剣”を、素早い動きでかわし続けるキツネ型モンスター。
Aランクのバーニングフォックスが三体もいる。
自慢の炎魔法で俺に攻撃したいが、”跳剣”に邪魔をされて思うように動けない。
”跳剣”に当たった壁がとんでもないえぐれ方をしているんだ、Aランクでも逃げるに決まっている。
「素早いな、だったら手数を増やすまで……”複製”」
なので逃げ場所を徹底的に潰させてもらう。
飛び跳ねている”跳剣”に新たな魔法を付与した瞬間、剣が五本に増えた。
「そらいけっ!!」
増えた”跳剣”のラッシュがバーニングフォックスに襲いかかる。
「「「コオオオオオオンッ!?」」」
さながら複数のボールで行うブロック崩しのよう。
ボールが跳ね返ってブロックを潰すように、縦横無尽に飛び跳ねる”跳剣”がズバババババッ!!っとバーニングフォックス達の体を痛めつける。
斬って跳ねてまたぶつかる。
斬って跳ねてまたぶつかる。
剣とは思えない不思議な光景だ。
「前に出たら死にそう」
「わかるー」
自分もアレを喰らう姿は想像したくないな……
寒気がする。
ズズーン……
「お? 終わったみたいだな」
バーニングフォックス達の動きが完全に静止したのを確認し、”跳剣”を構成している魔力を消した。
”剣山”が安全地帯を消すのに対して、”跳剣”は相手の動きそのものを制限できるみたいだ。
うーん、中々えぐい魔法達。
フィールドコントロールに関して言えば、俺はかなり強くなったのでは?
「お疲れ様ー。いやーぶっ飛ばしてきたねー」
「ありがとう。俺も色々試せて楽しかったよ」
「病院の時は結構弱気だったのに、結構自信ついてきたんじゃない?」
「確かに……やってみないと分からないこともあるんだな」
「だね!!」
油断してはならないと、今まで戦ったことがない強敵に対してもいつも通り対処していたが……案外何とかなるんだな。
もしかしたら俺はもっと強いのに、過去に囚われすぎて実力が発揮できてなかったのかもしれない。
それに気づかせてくれた二人には感謝をしないと。
「本当にありがとうな、二人とも」
「いえいえ!! どーいたしまして!!」
「ん、問題ない」
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