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第10話「星の守護者」

(おかしい)


 戦闘を始めてから40分が経過した頃、アルファは違和感を覚える。


 というのも先程から多くのアヤカシを(ほふ)っているというのに一向に減っている気配がしないのだ。


 如何(いか)此処(ここ)がアヤカシのアジトだとしても、(いささ)か数が多過ぎる。


 直接戦闘では負ける気はしない。だがアルファには懸念点があった。


(アタシのスーツが酸素を供給し続けられるのは1時間だけだ。そして今の残量は半分以下、一旦離脱しないとマズイ)


 ここが惑星キョートであれば、活動時間など多少考えなくとも良かった。それにテッペーもいる。情けない話ではあるが前回のようにまた運んでもらえれば済む話。


 しかし今回ばかりは違う。今の戦場は衛星である為、無酸素空間だ。スーツに搭載されている酸素ボンベは1時間で、スーツ自体の活動時間も1時間ジャスト。


 つまり電源が切れると同時に酸素が無くなる。そうなればアルファには()(すべ)がない。活動限界(イコール)死、である。


「ちょっとコレどっかで無限に増えてたりしない!?」


「ああ、その通りダヨ!」


 彼女のボヤきに対して、遠くで銃を撃つハートレッドが反応した。まさか、本当に無限に増えているとでも言うのか。


「ここには間違いなく『女王』がいるヨ!」


「ジョウオウ? ……女王か!!」


「ヤツは()()()()()()()()()()!!」


「!!」


 アヤカシには稀に異能を持つ個体が存在する。それは時に『炎』であったり『音』であったりと様々だが、この手の群れでは特殊な異能が発現することもあった。


 ――『増殖』


 文字通り増やす異能。先程からアヤカシの数が減らないのはコレが関係していたのだ。


 そしてこの力、前提としてノーマル級やレア級は持ち得ない。低級は体格の大小だけで判断されるからだ。()()()()()は、異能の領域。


 (すなわ)ち、これから(めん)するはスーパー級以上という事である。


「にしてもその女王、どうやって見つけるんだ! アタシが女王ならこんな危ない所にいないぞ!」


「それダヨ!」


「どれだよ!?」


「女王は安全な所で僕達を見ているに違いない! 君は飛べるんだろう? ここは僕達が抑えるから上から探してくれ!」


 言われてアルファは飛び、上空から戦場を観察する。すると答えは簡単に見つかった。


 アヤカシ達には絶対に()()()()()()()()がある。そっちへ行こうとすると必ずアヤカシが立ちはだかるのだ。


 何も考えずに戦っていれば絶対に気付けなかった。こういう利口(クレバー)さも必要なんだな、とアルファはヒーローについてまた知る。


「成程、彼処(あそこ)をぶん殴れば女王が出てくるワケだ」


 そう言いながら急速に下降する。拳に力を込め、引き絞り――最初に地盤を崩したあの一撃を超えるつもりでそれを打ち出した。


「ダァリャァァァァ!!」


 破砕。同時に飛び込んでくる100体以上のアヤカシ。それを滅殺するテッペーとハートレッド。


 土煙の中、その中心にいたアルファは見た。


 ――赤みの帯びた巨大な(ミミズ)のようなアヤカシが、目の前にいるアヤカシを分裂させ形成している姿を。


(元がいなければ増やせない感じか! なら分かりやすい!!)


 アルファはソイツに向けて拳を振り下ろした。

 しかし、ここで大人しくやられるようなヤツであれば彼女らは苦戦しない。


「ギュイイイイイ!!」


「うおっ!?」


 蚯はアルファに向かって突進する。聴こえるハズのない突然の奇声に驚いた彼女は硬直し、その攻撃を真面(まとも)に食らってしまった。


 大きく吹き飛ばされるアルファ。突き出た蚯の身体はレア級よりも小さいが、持ち得る威圧感は暴力的だ。これが“星の破壊者(スーパー級)”。このような存在を放ってはおけない。


 そしてその姿を見たのはアルファだけではなかった。


「ようやくお出ましだネ! すぐに片付ける!」


 ハートレッドはシリンダーを回転させると(ビキッド)をアヤカシへ構える。


「『ビッグバン』」


 辺り一帯を眩しく照らす一条の光が射出された。ただの射撃とは違う、正真正銘の必殺。

 極大のそれは、群がる配下(ノーマル級)諸共(もろとも)消し去る。たった1回の攻撃で敵に甚大な被害を与えた。


「ギュォォォ……」


 ぶち抜かれた巨軀(きょく)は耐える。それでも致命傷、身体に空いた空洞は女王(アヤカシ)(ほう)じろと語りかけ続けていた。


 幾許(いくばく)も無くして――遂に、倒れる。


「任務完了ってネ」


 エネルギーを使い切った銃をホルスター(充電器)に仕舞い、どこかへ向けてウインクするハートレッド。ウザい。



 ◇



「アタシ時間無いから先帰る!」


 アルファはそう言うと飛んで大穴から離脱した。スーツの充電に帰る為である。


 そんな彼女を見送ったハートレッドはというと、少なくなったアヤカシの残党を狩り続けるテッペーに加勢する。銃の充電は3秒もあれば終わるのだ。


「『バン』! さて、もうひと頑張りしようか」


「…………」


 ここへ来てから終始、無音無言だったテッペーはさっさと帰ってしまいたかった。

 いくら生身で活動可能とはいっても酸素はあった方が楽だし、長く居ると剣の感覚がズレる。というかもう慣れ始めているのでリハビリは確定である。


 何より――先程から悪寒がするのだ。


(何か来る……!)


 最後のアヤカシを倒した辺りで、(とつ)として黒い閃光が(ほとばし)った。見返る2人。


 そこから現れたのは灰色の狼であった。いや今更ただの狼という事はないだろう。アヤカシだ。


「アレは――ぐォッ!?」


 狼の突進でハートレッドが跳ね飛ばされ壁に激突する。(はや)い。あまりに次元の違う速度。目にも映らなかった。

 長年の勘が働き、咄嗟に両腕を交差させて防御した彼だったがスーツはアルファのモノと違って頑丈では無い。その証拠に自身の命を繋いだ両腕の内、左腕が簡単に折れてしまった。


「脆イ。ヤハリ、アイツトハ違ウナ」


(何故声が聞こえて……しかも言葉を話しただと?)


 さっきの赤い蚯(アヤカシ)もそうだったが、この者達はこの真空の中でどうやって自分達へ声を届けたのだとテッペーは疑問に思う。

 加えて言語機能。人間と隔絶した存在が発声したのだ。


 この狼、他のアヤカシとは決定的に何かが違う。


「分カル、分カルゾ。オ前、俺達ト、()()ダナ?」


(!?)


 テッペーの驚愕に染まる顔を、化け狼は(わら)った。

(ミミズ)型アヤカシ(スーパー級):(ミミズ)型。赤色。少し大きい。

 持つ異能は『増殖』で、アヤカシを増やし続けることで物量で押し潰す戦法を得意とする。増殖させる元がいなければ使えない。


ビッグバン:充電されたエネルギーを全て使って撃つ必殺技。スーパー級を一撃で葬る。


エレキホルスター:ウルトラ級のアヤカシ『雷獣(らいじゅう)』から作られた装備。赤黒いホルスター。

 無限に電気を生み出す性質の為、それを利用してビキッドH-55の充電を可能にしている。3秒間の充電時間。


ウエステッドスーツ:レア級のアヤカシから作られた装備。茶色のテンガロンハットの付いたヘルメットに首に巻いた赤いスカーフが特徴。

 耐久力、防御力は高くは無いが重さが少なく、放射線を遮断出来る。動きやすい。

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